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角田裕毅、レッドブルの候補へ:2025年シート争いの行方

F1におけるシート争いは、ドライバーたちのキャリアを大きく左右します。そして、レッドブル・レーシングの2025年シーズンに向けたドライバーの候補として、ついに日本人ドライバー角田裕毅が名前を挙げられました。

レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、もしセルジオ・ペレスとレッドブルが2025年に契約を解消することを決めた場合、誰がそのシートを引き継ぐ可能性があるのかについて、これまでで最も明確な見解を示しました。

レッドブルの現状とペレスの未来

2024年シーズン、セルジオ・ペレスは序盤5戦で4度の表彰台を飾り、良いスタートを切りましたが、シーズン中盤以降の低迷は否めませんでした。第7戦イモラからアブダビGPまでの17戦で獲得したポイントはわずか49。この不振がコンストラクターズ選手権の順位にも影響し、レッドブルはマクラーレンとフェラーリに敗れ、3位に甘んじる結果となりました。

クリスチャン・ホーナーは「チェコ(ペレス)のチームへの貢献は計り知れない」と評価しつつも、今後の道筋について慎重に見極める必要があると述べています。「急ぐ必要はない」とする一方で、もしペレスが契約を途中で解消した場合の候補として、リアム・ローソンと角田裕毅を挙げました。

角田裕毅の候補者としての地位確立

このコメントは、角田にとって特別な意味を持ちます。これまでもホーナーは、角田のシート獲得について質問されても、明確な意思を表せず、はぐらかしていました。2019年にレッドブル・ジュニアプログラムに参加して以来、彼はF1の舞台で戦い続けてきましたが、トップチームであるレッドブルの候補者として正式に名前を挙げられたのは、今回が初めてです。

ホーナーの発言は、角田がRB(レーシングブルズ)で見せた安定感、成長曲線、そして速さが認められた証です。特に2024年シーズンは、チームメイトやライバルとの接戦を制し、重要なポイントを積み重ねるパフォーマンスを発揮しました。その努力が実り、アブダビGP後のRB20でのテスト参加へと繋がりました。このテスト後、角田は「このマシンがなぜチャンピオン争いをしているのかを感じた」と語り、その手応えを笑顔で表現していました。

角田が候補として認められた背景には、単なるレース成績だけでなく、チームの期待を超えた貢献があったと考えられます。ホーナーが「角田も良い仕事をしている。だから、もしチェコ(ペレス)との間で何かが決定された場合、彼らが候補になるだろう」と述べたように、角田の安定感とメンタルの強さは、彼が次のステップに進むための大きな武器となるでしょう。

ローソンとの比較

一方で、リアム・ローソンもまた有力な候補です。2024年シーズン終盤、ダニエル・リカルドの代役としてレッドブルのマシンをドライブし、短期間ながらもその実力を証明しました。ホーナーは彼を「与えられた限られた時間で素晴らしい仕事をした」と高く評価しており、若さと即戦力としての期待感が大きなアドバンテージとなっています。

ただし、ローソンはまだ経験面で課題を残しているのも事実です。F1という競技の特性上、安定した結果を出し続けるにはレース経験が欠かせません。その点で、4年間のF1経験を持つ角田が優位に立っているとも言えるでしょう。

レッドブルの戦略と角田の未来

レッドブルのセカンドシート争いには、競技面以外の要素も絡んでいます。角田の日本市場での影響力は、チームにとって魅力的な付加価値です。ホンダとの提携終了が迫る中、日本人ドライバーの存在は、アジア市場におけるブランド価値を高める重要な要素となります。

ホーナーが「急ぐ必要はない」と語る一方で、2025年シーズンに向けて決定を先延ばしにすることはできません。ペレスが復調する可能性も完全には排除されていませんが、現時点での状況を見る限り、角田とローソンのどちらかがそのシートを手にする可能性が高いといえます。


角田裕毅がレッドブルのシート候補者として、初めてホーナーに認められたという事実は、彼のキャリアにおける大きな転機です。この機会を生かすためには、2025年シーズン前の数ヶ月間が決定的な意味を持つでしょう。

日本人ドライバーとしてトップチームのシートを獲得する可能性が現実味を帯びてはいますが、角田がレッドブルのシートを手に入れるには、まだ多くの困難が待ち受けているでしょう。そして最終的にどのような決断が下されるのか。日本人F1ファンにとって、これからの展開は見逃せません。

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