厳しい試練のレーシングブルズ：角田とローソンの奮闘と不運_メキシコGPレビュー
メキシコGPの決勝レースは、レーシングブルズにとって波乱に満ちた週末となった。チームの両ドライバー、角田裕毅とリアム・ローソンは、共に厳しい状況に直面し、ポイント獲得の機会を逃す結果に終わった。
まず、角田はスタート直後に不運に見舞われた。アウト側に追い詰められた彼は、避ける余地がないままアルボンと接触し、結果として芝生に飛び出してバリアに激突。無念のリタイアを余儀なくされた。この接触について角田は「スペースが足りなかった。レーシングインシデントだと思う」と振り返り、自身の予選パフォーマンスが理想通りでなかったことが、このような厳しいスタートポジションに繋がったと語った。「チームには申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と述べ、次戦ブラジルでの巻き返しに意欲を見せた。さらに、「予選での失敗が全ての始まりだった。より良いポジションからスタートできれば、こんな不運にはならなかったと思う」と悔しさを滲ませた。
一方のローソンも、決して平穏なレースではなかった。ハードタイヤでスタートした彼は、ライバルとは反対の戦略を選択し長い第1スティントを走行。その中でペレスとのホイール・トゥ・ホイールのバトルを繰り広げるなど、一時は見応えのある戦いを見せたが、最終的にペレスと接触。後半にはコラピントにも接触し、フロントウィングにダメージを負ってピットインを余儀なくされた。
これにより順位を大きく落とし、最終的には16位でのフィニッシュに終わった。「今日は悔しいレースだった。ポイントを獲得できるチャンスがあっただけに、何も持ち帰れなかったのは残念だ」とローソンは語り、「クリーンエアを得ることができなかったのが苦しかった。前回うまくいった戦略を試したが、今日はうまく機能しなかった」と振り返った。また、「スタートでのタイヤ選択も結果に影響したかもしれない。次回はもっと柔軟に対応したい」と今後の改善策についても言及した。
チーム代表のローラン・メキーズも、今回の結果に対して悔しさを隠せない様子だった。「メキシコでポイントを持ち帰れなかったのは非常に残念だ。オースティンで導入したアップデートにより、ここ2戦で車が改善されていると感じているが、今回の結果は期待外れだった」と述べた。
特に角田のクラッシュが週末全体に影響を与え、ドミノ効果でローソンの予選にも悪影響が出たことを指摘しつつ、レースのオープニングラップでの不運な接触が両ドライバーのレースを厳しいものにしたと振り返った。「裕毅のクラッシュは非常に痛かった。彼のミスではないが、あれがなければローソンももっと良い位置からスタートできていたはずだ」と語り、予選とレースが密接に関連していることを強調した。
また、車両パフォーマンス責任者のギヨーム・デゾトーも、今回のレース結果に対して残念な思いを述べている。「今日はもっと良い結果を期待していた。メカニックたちは昨日のクラッシュ後に裕毅の車を修理する素晴らしい仕事をしてくれたが、スタート直後にアルボンとの接触があり、彼のレースは終わってしまった」と述べ、メカニックたちの尽力にも関わらず、角田がリタイアを余儀なくされたことに対する無念さを語った。
また、ローソンについても「ハードタイヤでのオフセット戦略を選び、第1スティントではしっかりとした走りを見せたが、ピットイン後はずっと交通渋滞に巻き込まれ、最後にはフロントウィングの損傷で再度ピットを強いられた」とし、競争力のあった車にも関わらず、戦略がうまく機能しなかったことを嘆いた。「特にコラピントとの接触は不運だった。あれがなければ、少なくともポイント圏内でのフィニッシュが見込めたはずだ」と悔しさを滲ませた。
今回のメキシコGPでは、レーシングブルズの競争力が確かに向上していたことが見て取れた。アップデートが成果を上げ、純粋なペースではトップ10に位置することができたが、結果としてポイントには結びつかなかった。角田のクラッシュ、そしてローソンの逆張りの戦略がともに実を結ばなかったことで、チームはポイントを持ち帰ることができず、悔しいレースとなった。「今週末は結果が出なかったが、ポテンシャルは確かに感じられた」とデゾトーは語り、チーム全体としては車の改善に手応えを感じていることを示唆した。
次戦ブラジルGPでは、両ドライバーに同じアップデートが施される予定であり、チームはよりスムーズな週末を目指している。メキーズは「今の車のペースがどこまで通用するか全力でプッシュしたい」と語り、チーム全体が前を向いて次の挑戦に備えている。また、メキーズは「ブラジルではもっと戦略を練り直し、両ドライバーにとって最適なアプローチを取りたい」と述べ、今回の経験を活かしてチームとしての改善を図る意欲を示した。メキシコでの悔しさをバネに、レーシングブルズがブラジルでどのようなパフォーマンスを見せるのか、期待が高まる。