奇跡の追い上げ!歴史に刻まれた劇的逆転勝利5選
今日はキミ・ライコネンが日本GPで劇的な逆転勝利を挙げた日から19年目です。F1の歴史では、後方スタートから劇的な逆転勝利を果たしたレースがいくつか存在します。以下に、スタートグリッド10位以下から勝利した代表的な5つのレースを挙げ、振り返ってみます。
1. ニキ・ラウダ - 1984年ポルトガルGP(スタート位置:11位)
ニキ・ラウダは1984年の最終戦ポルトガルGPで、マクラーレンのチームメイトであるアラン・プロストとワールドチャンピオンを争っていました。ラウダは予選で苦戦し、11位スタートという不利なポジションからのレースとなりましたが、レース中は安定した走りで次々と順位を上げていきました。ただこの時、ラウダの右側のターボが壊れておりフルパワーが使えず、いつ止まってもおかしくない状態でした。しかもレース終盤には燃料不足の懸念もありました(当時は今ほど燃料消費量を正確に測れなかった)。チームメイトのプロストはレースをリードして優勝しましたが、ラウダの堅実なペースと冷静な判断と少しの幸運により、最終的に彼はプロストについで2位でフィニッシュ。この結果、わずか0.5ポイント差でラウダはワールドチャンピオンに輝きました。このシーズンはラウダのキャリア最後のワールドチャンピオンシップ獲得(3回目)であり、ラウダの粘り強いレース運びが光った一戦でした。
2. キミ・ライコネン - 2005年日本GP(スタート位置:17位)
2005年の日本GPは雨が絡む波乱の予選となり、ライコネンは17位スタートを強いられました。しかし、レースが進むにつれて、他車のトラブルやアクシデントが頻発し、ライコネンは次々とオーバーテイクを成功させます。特に注目すべきは、レース終盤にジャンカルロ・フィジケラとの激しいバトルが繰り広げられたことです。ライコネンはラストラップの1コーナーでフィジケラを外から抜き去り、そのままトップでチェッカーを受けました。このオーバーテイクは今でもF1ファンの間で語り継がれる名シーンであり、ライコネンのドライビングテクニックが際立つ逆転勝利となりました。
3. ルイス・ハミルトン - 2021年ブラジルGP(スタート位置:10位)
ルイス・ハミルトンは2021年のブラジルGPで、予選でリアウィングの規則違反が見つかり、スプリントレースを最後尾からスタートするも15台を抜き、5位でフィニッシュ(当時はスプリントレースでの結果が、レースでのスタート順位だった)。しかしハミルトンは追加のPUエレメント使用によるペナルティにより決勝レースで10位スタートとなりました。このシーズン、ハミルトンとレッドブルのマックス・フェルスタッペンは熾烈なタイトル争いを繰り広げていました。ブラジルGP決勝では、ハミルトンが素晴らしいレースペースを見せ、次々と上位陣を追い抜いていきました。特に、フェルスタッペンとのバトルは激しく、二人はレース中に何度も接触しそうになるシーンが見られましたが、ハミルトンは冷静さを保ち、最終的にはフェルスタッペンを抜いてトップに立ちました。この勝利により、ハミルトンはタイトル争いに再び火をつけ、2021年シーズンを代表する重要な勝利となりました。
4. ジョン・ワトソン - 1983年アメリカGP西(スタート位置:22位)
ジョン・ワトソンは1983年のロングビーチで行われた西アメリカGPで、22位という非常に後方のグリッドからスタートしました。ロングビーチは市街地サーキットで、22位スタートは通常なら上位フィニッシュは難しいとされます。しかし、ワトソンはスタートから驚異的なペースを発揮します。その後も上位陣がタイヤ戦略やトラブルに伸び悩む中、安定したペースで次々とライバルをかわし、最終的にはトップでチェッカーを受けました。これには当時のタイヤ戦争も有利に働きました。この当時は、持ち込むタイヤセットの制限がなく、かなりの数のコンパウンドが持ち込まれていました。そしてこの日、最も状況にあったタイヤを選択したのが、ワトソンでした。ちなみにチームメイトのニキ・ラウダも23位スタートから2位でフィニッシュし、22位と23位スタートからの1-2フィニッシュという、こちらも長いF1の歴史でも見たことも、聞いたこともない、とんでないレースとなりました。22位からの優勝はF1史上最大の逆転勝利の一つであり、今でも語り草になっていますし、私もこのレースがF1史上最大の逆転劇だと考えています。
5. フェルナンド・アロンソ - 2012年ヨーロッパGP(スタート位置:11位)
フェルナンド・アロンソは、2012年のヨーロッパGP(バレンシア)で母国スペインのファンの前で劇的な勝利を収めました。アロンソは予選で11位スタートとなりましたが、決勝では驚異的なペースを見せ、特にセーフティカーが導入された後にその機会を最大限に活かしました。彼はピットストップ戦略を駆使しつつ、他車がトラブルやミスに見舞われる中で徐々に順位を上げていきました。アロンソの最大のライバルであったセバスチャン・ベッテルがリタイアし、他の上位勢がトラブルに見舞われると、アロンソはレース後半でトップに立ち、そのまま優勝を果たしました。この勝利により、アロンソはシーズンのタイトル争いをリードし、スペインのファンにとっても感動的な瞬間となりました。
これらのレースは、ドライバーの才能やチームの戦略、そして状況の変化を活かした勝利であり、F1ファンにとっては歴史に残るドラマチックな瞬間です。それぞれのドライバーが、困難な状況から勝利を掴む姿勢が強く印象に残るレースでした。
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