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26年ぶりの栄冠、マクラーレンの頂点への道:アブダビGP決勝レース総評
ランド・ノリスの輝きとチームの努力が結実し、マクラーレンは1998年以来のコンストラクターズチャンピオンシップを手にした。最終戦アブダビGPでは、チームとドライバーが一丸となり、歴史的な成果を達成した一方で、レースの裏側には各チームのドラマがあふれていた。
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ノリスの完璧な勝利
ランド・ノリスは最終戦アブダビGPでスタートからフィニッシュまでリードを守り切り、シーズン4勝目を挙げました。この勝利はマクラーレンにとって1998年以来となるコンストラクターズチャンピオンシップの決定打となりました。
「信じられない気持ちだ。今年は多くの困難があったが、チーム全員の努力が報われた」とノリスは語ります。さらに、「シーズン序盤の状態を考えると、この成功は奇跡のようだ。チームのアップグレード、そしてファクトリーの全員の努力があったからこそ、今ここにいる」と彼は感謝を述べました。マクラーレンはシーズン序盤の低迷から劇的に復活し、強力なアップデートとドライバーのパフォーマンスで頂点に立ちました。
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一方で、チームメイトのオスカー・ピアストリは波乱の展開に見舞われました。フェルスタッペンとの接触で最後尾に沈み、その後もロックアップやペナルティに苦しみながらもトップ10入りを果たし、貴重な1ポイントを獲得しました。「厳しいレースだったが、チームの成果が最優先だ」とピアストリはコメントしました。「マクラーレンの一員として、このような結果に貢献できたことを誇りに思う」と彼は続けました。
アンドレア・ステラも「マクラーレンは2024年のコンストラクターズチャンピオンシップの勝者だ。現場、そしてファクトリーの全員を心から誇りに思う。26年ぶりにタイトルを獲得したことは素晴らしい気分だ。この成果は全ての努力の賜物であり、皆で祝いたい」とチーム全員の努力を賞賛した。
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フェラーリのダブル表彰台もタイトルに届かず
フェラーリもこのレースで見事なパフォーマンスを見せ、カルロス・サインツが2位、シャルル・ルクレールが19番グリッドから3位まで追い上げ、ダブル表彰台を達成しました。
サインツは「僕たちは持てる全てを出し切った。ランド(ノリス)にプレッシャーをかけようと全力を尽くしたけれど、今日はマクラーレンの方が全体的に少し速かった。コンストラクターズチャンピオンシップを獲得したパパイヤチーム、おめでとう。彼らは懸命に戦い、その価値がある! チームとして、今年成し遂げたことを誇りに思うべきだ。5勝と数多くの表彰台は、こんなに競争の激しい選手権で簡単なことではない」と悔しさと祝福の言葉を残しました。
一方、ルクレールは「レース自体は素晴らしかったけれど、コンストラクターズタイトルを勝ち取るという最大の目標を達成できなかったので、今日はやはり悔しさが残る」と語り、さらに「カルロスについて話すと、4年間チームメイトとして一緒に戦えたのは本当に素晴らしい経験だった。僕たちはお互いを高め合い、チームを前進させてきたし、常にお互いをリスペクトしていた。今日ここにいるのも、コンストラクターズタイトルに14ポイント差まで迫ったのも、彼の貢献があったからこそだ。彼の今後に幸運を祈るし、何をするのかとても楽しみだ」とサインツの貢献を褒め称えた。
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フェラーリのフレッド・バスール代表は、「我々は最終ラップの最終コーナーまで全力を尽くした。今日は本当に良い仕事をしたと思う。特にシャルルがグリッドの後方から3位まで上がったことを考えると予想外の結果だった。シャルルが素晴らしいレースをしたのは間違いない」とルクレールの仕事を賞賛した。
「今シーズンの進化は明らかだが、目標は常に1位だ」と語り、来季に向けた課題を明確にしました。「今年は大きな成長を遂げたが、改善すべき点がまだある。この結果を土台に、さらに上を目指す」と彼は来年に向けて決意を表明しました。
「最後にカルロスに一言。彼は常に非常にプロフェッショナルで安定していた。そして彼とシャルルが激しく戦い合ったことは、チームがより速く成長するための良い材料だった。僕はチーム全員が同じ方向に向かうことを望んでいたが、カルロスはその実現に大きく貢献してくれた」とサインツの存在がチームにとっていかに重要だったかを述べた。
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メルセデスの最後の輝き
メルセデスのルイス・ハミルトンは16番グリッドから4位にまで浮上し、メルセデスの章を感動的に締めくくりました。「厳しいけれど本当に楽しいレースだった。序盤はハードタイヤで我慢しなければならず、なかなか進展できなかったけど、最後のステージでミディアムタイヤで追い上げるのは素晴らしい気分だった。16位から4位まで挽回できたことに本当に満足しているし、今夜のレースやマシンの感触にはとても嬉しく感じている。素晴らしい締めくくりになったと思うよ」と表彰台には一歩届きませんでしたが、メルセデス最後のレースを満足そうに振り返りました。
そして最後に「チェッカーフラッグ後は、メルセデスのコックピットで最後の時間を過ごしていることを実感し、その瞬間をかみしめながらすべてを受け入れることに集中していた。この12年間、僕たちが一緒に経験してきたこと、喜びも悲しみも、そして成功もすべてを振り返りながら座っていたんだ。このチームが本当に恋しくなるよ。僕はこの12年間、毎日彼らと一緒に働いてきたし、そこには深い愛がある。その絆は消えない。来年、僕たちがレースで競り合うことになってもね」と語り、チームに感謝の意を表しました。
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ジョージ・ラッセルも5位でフィニッシュし、堅実なパフォーマンスを見せましたが、「今日は4位以上を争えるペースがなく、それが残念だった。週末を通して速さが足りず、こういう形でシーズンを終えるのは悔しい。何が原因だったのかを調べる必要があるね。それでも、今シーズンの多くのポジティブな要素を忘れてはいけない。僕たちはレースで勝つ力を取り戻し、時には実力でフロント争いに加わることができた」と来季への課題を挙げました。「しかし、今年学んだことは多く、これを次のシーズンに活かしていく」と彼は語ります。
トト・ウルフ代表は「ルイスとの12年間は、スポーツ史上最長かつ最も成功したドライバーとチームのパートナーシップだ。それだけの期間、共に歩んだことで生まれた絆、信頼、共有された価値観は、今の時代には稀なものだ。この期間は僕たちの心にいつまでも残り、個人的にも永遠に大切にしたいと思う」とその絆を称えつつ、「選手権争いに戻るために全力を尽くす」と決意を新たにしました。「ブラクリーとブリックスワースの全員が、この目標に向けて全力を尽くしている」とウルフは付け加えました。
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レッドブルの波乱
すでにドライバーズタイトルを確定させていたマックス・フェルスタッペンは、スタート直後の接触とそれに関するペナルティで苦戦し6位に終わりました。「オスカーには謝罪したい。厳しいレースだったが、シーズン全体を通して学びが多かった。今日のレースは厳しかったし、タイヤがオーバーヒートして苦労した。不運にもそのポジションに留まるしかなく、ペースを取り戻すことはできなかった」とフェルスタッペンは語ります。
「来年に向けて改善すべき点があり、良いアイデアも持っているけど、実際にクルマに乗ってみてどうなるかだね。シーズンを通じて浮き沈みがあったけど、マクラーレンはマイアミ以降非常に強力だった。チームには感謝している。長いシーズンだったけど、みんなで力を合わせ、最終的にドライバーズタイトルを獲得できたことは素晴らしかった」と彼は来シーズンに向けての意欲を見せました。
一方、セルジオ・ペレスは序盤の接触でリタイアを余儀なくされ、今シーズンの不振を象徴する形となりました。「今年はあまり良い年ではなかったし、今日ももっと良い結果を出したかったけど、最終的にはシーズン全体を象徴するような結末だった」とペレスは述べました。
「このシーズンが終わったことにはほっとしている。とても苛立たしく厳しい年だったからね。ただ、これですべてが終わったことに満足しているし、前を向いて進むことに集中したい。今後どうなるかは分からない。契約はあるし、チームとも話している。これからどう進むべきかを議論している段階だ」と彼は付け加えました。
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クリスチャン・ホーナー代表は、「まず、マクラーレンを祝福しなければならない。チャンピオンシップを勝ち取るのは非常に難しいことで、彼らはシーズンを通じて全く手を緩めなかった。賞賛に値するし、トロフィーにふさわしいチームだ」とライバルチームを讃えつつ、「我々にとっては、9勝を挙げ、他のどのチームよりも多くのレースに勝ち、ドライバーズチャンピオンを守ったシーズンは並外れたものだった」とシーズンを振り返った。
「マックスは本当に素晴らしかった。24レースに及ぶ長いシーズンで、現場とミルトンキーンズの皆のハードワークがなければこれらは実現しなかった。彼らの努力と決意に感謝している。また、パートナーの皆さんの支援にも感謝しており、これからも共に築き上げていきたい。ホンダにも感謝している。彼らの一貫した貢献が大きかった」とファクトリーの全員とPUを供給したホンダに感謝の意を表しました。
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次なる戦いへの準備
アブダビGPを終え、F1は2025年シーズンに向けて新たなスタートを切ります。各チームが次なるタイトルを目指し、戦略と技術を磨く中、2024年を締めくくるこのレースは、F1の魅力とドラマを改めて示すものでした。「我々は学び、進化し続ける」とステラはコメントし、マクラーレンの未来への意欲を示しました。
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