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レーシングブルズのカタールGPスプリント予選:期待と課題の明暗

カタールでのスプリント予選は、レーシングブルズにとって期待と課題が交錯する内容となった。角田裕毅とリアム・ローソンはそれぞれ異なる運命を辿り、チームとしての成長と個々のチャレンジが浮き彫りになった。

まず、角田裕毅はプラクティスセッションで好調な姿を見せ、マシンのポテンシャルを十分に感じ取っていた。しかし、スプリント予選のSQ1では不運にもトラフィックに阻まれ、アタックラップの準備が整わないまま最終的に17位に終わった。

彼自身はラップ中に大きなミスを犯すことはなく、特に高速セクションでのタイムロスが響いた形だ。角田は「カタールでのマシンには正しいポテンシャルがある」とし、もっと良い結果を引き出せるはずだったとの悔しさを滲ませていた。彼は「自分ではミスをしなかったが、ラップを適切に準備することができなかったことが非常に残念です。チームと協力して改善点を見つけ、次回のアタックに繋げたい」と語り、チームと共にデータを見直し、スプリントレースや翌日の予選で挽回を図る構えだ。

一方、ローソンはSQ2に進出し、その勢いでトップ10入りを果たす快挙を見せた。彼はチームが朝から取り組んできた改善の成果を感じ取っており、その努力がトラック上で結果として表れたことに満足感を示している。特に、SQ2で記録したラップタイムは彼自身を大いに喜ばせたが、SQ3ではトラックリミット違反により最速ラップタイムが削除され、9位から10位へと順位を落とすこととなった。それでも、ローソンは前向きで「今日得た自信を持ってスプリントに挑む」と語り、さらなる順位アップに向けて意欲を見せた。さらに彼は「チームの努力が実を結び、結果に結びついたことはとても嬉しいです。まだ改善できる部分があるので、今夜しっかりと分析して明日に備えます」とコメントしている。

レーシングブルズのレーシングディレクターのアラン・パーメインも、ローソンのパフォーマンスを称賛している。「彼はラップごとに改善し、トラック、マシン、タイヤに対する理解を深めながら、それらをまとめてトップ10入りを果たした」とその成長を評価した。また、ターン6でのわずかなトラックリミット違反によりラップタイムを失ったことは「不運だった」としつつも、スプリントでの巻き返しに期待を寄せている。パーメインは「ローソンのアプローチは非常に冷静で、彼の成長は目を見張るものがあります。明日のスプリントでも良い結果を期待しています」と述べ、チームとして彼を全面的にサポートする姿勢を示した。

角田については「高速セクションでのタイムロスがSQ1突破を妨げた」と分析しており、これからのデータ解析とセットアップの調整によって、スプリントと翌日の予選でのパフォーマンス向上を図ると述べた。角田のマシンバランスに対する満足感は高く、ポテンシャルは十分にあるとチームは見ている。問題は、いかにそのパフォーマンスを安定して引き出し、トラフィックやラップ準備の問題を克服できるかだ。パーメインは「裕毅の速さは確かです。問題はラップを整えるためのタイミングとトラフィックの影響でした。私たちは全てのデータを精査し、次のチャンスで彼が持てる力を発揮できるようにします」とコメントしている。

今回のスプリント予選を通じて明らかになったのは、レーシングブルズが抱える期待と課題の両面だ。ローソンは勢いに乗り、チームのセットアップの改善が功を奏した結果として、SQ3進出とトップ10入りという目覚ましい成果を挙げた。一方で、角田はその実力を完全には発揮できず、スプリントレースでの挽回が求められる立場に立たされた。

カタールのサーキットは、その高速セクションがドライバーとマシンの限界を試すコースだ。角田は高速コーナーでのタイムロスを補うために、いかに効率的にマシンを操り、バランスを維持できるかが鍵となる。トラフィックに影響されない状況でのクリアラップが確保できれば、角田にも十分に上位進出のチャンスがあるだろう。角田は「明日はとにかくクリアなラップを確保し、全力でアタックすることが重要です。マシンの感触は悪くないので、自分の力を信じて挑みます」と意気込みを語った。

一方でローソンは、トップ10からのスタートを活かして、スプリントレースでのさらなる上位進出を目指している。アルピーヌやハースといった競合チームとの競り合いが予想されるが、彼の成長著しいパフォーマンスとチームのサポートがあれば、ポイント獲得も十分に視野に入る。ローソンは「スプリントは短いですが、その中でも全てを出し切ることが求められます。競合との戦いは激しいですが、自分のペースに集中して、できる限り前に出たいと思います」と述べ、気合を入れている。

スプリント予選での明暗は分かれたものの、レーシングブルズのドライバーたちはそれぞれに課題と希望を抱えている。角田の悔しさとローソンの自信が交錯する中で、チーム全体としての成長がどのように進んでいくのか。カタールでのスプリントレースと翌日の予選は、レーシングブルズにとって重要な試金石となるだろう。彼らの挑戦はまだ始まったばかりであり、今後の展開に注目が集まる。パーメインも「このチームはまだ発展途上です。しかし、ローソンと裕毅の成長を見れば、我々が正しい方向に進んでいることは明らかです。全員で力を合わせ、次のレースでも強さを見せたい」と語り、チームの結束力と成長への期待を強調した。

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