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ペレス レッドブル離脱へ:その背景と未来への展望

セルジオ・ペレスがシーズン最終戦アブダビGPをもってレッドブルを離れること可能性が出てきた。もしペレスが自発的か強制的かはさておいて、レッドブルから離脱した場合、レッドブルは次なるドライバーの選択に向けて決断する必要がある。ペレスはマックス・フェルスタッペンの隣で戦った数シーズンの間に、時には素晴らしい活躍を見せたが、今シーズンはその評価を保つことができなかった。

チャンピオンシップ陥落の一因となったペレス

2024年シーズン、レッドブルは前年のチャンピオンシップを連覇したチームとして臨んだが、そのタイトル防衛は厳しいものとなった。ペレスがマックス・フェルスタッペンのポイントに大きく遅れを取ったことが、その結果に影響を及ぼしたのは否めない。特にブラジルGPやラスベガスGPでのペレスの成績は、レッドブルの期待を裏切るものであり、これがタイトル争いからの後退を決定づけた一因と見られている。

ペレスはこれまで、マックスの強力なチームメイトとして数々の役割を果たし、特に2021年のハミルトンとの激しいタイトル争いではレッドブルにとって重要な盾となった。しかし、2024年のパフォーマンスは明らかに落ち込み、チームにとっては新たな方向性が必要だとの判断が下された。ペレスが離脱すれば、レッドブルにとって痛みを伴う決断であるが、それ以上にチームの未来に向けた大きな一歩と考えられている。

コラピントのチャンスとその失望

一方で、ペレスの後任候補として名前が挙がっていたフランコ・コラピントは、最終的にその候補から外れることとなった。ウィリアムズでの印象的なデビューによって注目を集めたコラピントだったが、ブラジルGPやラスベガスGPでのクラッシュが致命的となった。経験不足が露呈し、レッドブルはトップチームのシートを託すにはまだ早いと判断したのである。

コラピントは、アルピーヌやレーシングブルズといった他のチームでの可能性も模索していたが、それも次々と閉ざされた。一時はアルピーヌでジャック・ドゥーハンに代わる候補として報道されたが、その可能性も大きく低下しており、アルピーヌのフラビオ・ブリアトーレが彼への関心を失ったことも、この若いアルゼンチン人ドライバーにとっては打撃であった。

カタールGP後、クリスチャン・ホーナーはコラピントについて次のようにコメントしている。「彼は間違いなくF1でレギュラーシートを得られる才能ある選手だ。しかし我々のレッドブルジュニアチームには素晴らしい才能が揃っており、フランコもいつかはグリッドに戻るだろう」

クリスチャン・ホーナーは、コラピントの将来性を高く評価したものの、現段階ではトップチームでのシートは遠のいたと言わざるを得ない。


後任は角田かローソンか

ペレスのパフォーマンスがレッドブルのチャンピオンシップ陥落の一因となったことから、シーズン最終戦での驚異的な結果がない限り、トップチームでのシートを失う可能性が高くなっている。

ペレスが離脱するとなると、レッドブルの次期ドライバー候補として注目されているのは、リアム・ローソンと角田裕毅の二人だ。ローソンはアメリカGPで結果を残し、その走りは評価が高い。一方で、角田はファエンツァを拠点とするチームで安定したパフォーマンスを見せ、チームのポイントの多くを稼ぎ出している。

この二人のうちどちらがペレスの後任となるかはまだ決定していない。ホーナーは両者に対して高い期待を寄せているものの、その発言は明確ではない。特に角田は、長年レーシングブルズで育成されてきた背景もあり、チームにとって信頼のおけるドライバーとして見られている。一方で、ローソンの将来性も捨てがたく、どちらが選ばれてもレッドブルに新たな風を吹き込むことになるだろう。

しかしながら、ペレスの後任としては、リアム・ローソンが有力視されている。角田裕毅もシーズン終了後の火曜日にアブダビで予定されているレッドブルのテストで良い印象を残せば、候補に入る可能性がある。ただし角田に関しては、ホンダとの関係が強いドライバーであり、そのホンダが2025年を最後にレッドブルと袂を分かつことが、大きな障害になっている。

もしローソンか角田がレッドブル・レーシングに昇格する場合、フォーミュラ2で現在2位につけているレッドブルのジュニアドライバーであるイサック・ハジャーがレーシングブルズに昇格する見通しだ。ホーナーはこう述べている。「イサック・ハジャーがフォーミュラ2で今日も良い仕事をしたのを見るのは良かった」

ペレスの将来とレッドブルの戦略

ホーナーはペレスの将来について明言は避けつつも、次のように述べている。「彼は素晴らしい人間だ。しかし、彼が現在置かれている状況を楽しんでいないのも確かだ。彼はこのビジネスのプレッシャーを理解しており、我々はアブダビでのチェッカーフラッグまで彼を全力でサポートするつもりだ。そして、最終的にどうするかは彼自身の決断だ」

ホーナーは、最終的な決定がチームに委ねられるのか、それともペレスが続けるかどうかを決めることになるのかについても問われたが、契約にある破棄条項については明言を避けた。「彼は十分に年齢を重ね、賢明な判断を下せるはずだ。ただ、まだ1レース残っているので、アブダビを終えてから状況を見てみよう」とホーナーは結論付けた。

ペレスが自発的にチームを離れる場合、レッドブルは彼に対してアンバサダー的な役割を提案する可能性が高い。これは、ダニエル・リカルドがオファーされた役割に似たものであり、ペレスの経験と人気を活かした形での新しいポジションとなるだろう。彼のメキシコや中南米での存在感は貴重なものであり、レッドブルにとってもペレスとの関係を完全に断ち切るよりも有益な選択肢である。

2025年シーズンに向けて、レッドブルは新たな体制で再びタイトル奪還を目指すことになるだろう。ペレスの離脱は、チームにとって痛みを伴う決断となるかもしれないが、これにより新たな才能を発掘し、再び栄光を取り戻すための布石となることが期待される。角田、ローソン、そしてジュニアプログラムからの新たな顔ぶれが、レッドブルの未来をどのように形作っていくのか、ファンとしても楽しみにしたいところだ。ペレスのこれからのキャリアにも、彼のF1での経験を活かした新たな挑戦が待っていることを願うばかりである。

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