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メルセデスのシンガポールGP振り返り:アリソンが語る戦略ミスと次戦への決意

シンガポールGPを振り返る中で、メルセデスのジェームズ・アリソンが語る内容は、期待と失望が入り混じった複雑なものでした。金曜日から土曜日にかけての車の改善や予選での好調さは、レース結果に繋がるものではなく、むしろ戦略のミスやタイヤ選択の誤りが大きな影響を与えたと彼は振り返っています。アリソンのインタビューは、このシーズンを通じて続くメルセデスの苦悩を如実に表しています。

まず、アリソンはシンガポールGPの難しさについて、金曜日の段階でチームがすでに困難なレースを予感していたと述べています。「日曜日の結果はチームにとって非常に困難だったと思うし、金曜日はすでにその困難さが少し予想されていた」と、彼はレース前の状況を説明しています。メルセデスにとって金曜日は予想通りの厳しい一日であり、そこでのデータや走行からは苦戦する未来が見えていたのです。

しかし、驚くべきことに土曜日の予選では、期待以上の成果を上げ、ポジションを大きく向上させました。アリソンはこれについて「金曜日の予想を覆してグリッドを大幅に上げてくれたファクトリーのチームに大いに感謝しなければならない」と感謝の意を表しつつも、「結果的には残念だったが、決して壊滅的なものではなかった」と述べ、予選結果とレース本番とのギャップを強調しました。

メルセデスにとって特に痛手となったのは、ルイス・ハミルトンのソフトタイヤ選択でした。アリソンは「ソフトタイヤでスタートしたのは間違いだった。もし時間を巻き戻せるなら、周りのチームがしたようにミディアムを選んでいただろう」と、タイヤ選択が大きなミスだったことを認めています。

ソフトタイヤはスタートでの加速力が期待されましたが、「スタートは予想通りには進まず、ひとつのポジションも上げられなかった」と彼は振り返ります。その結果、タイヤのデグラデーションが早く進み、ピットインを早めざるを得なかったことで、ルイスのレースは台無しとなったのです。

一方で、ジョージ・ラッセルはフェラーリのシャルル・ルクレールとの激しい戦いの中で、終盤まで粘り強く走り抜きました。アリソンはラッセルのレース終盤のパフォーマンスについて「ジョージがレース終盤にタイヤをうまく保っていたことは評価に値する」と称賛し、さらに「ルクレールはジョージに追いつくまでにタイヤをかなり消耗していた」と、フェラーリの反撃が裏目に出たことを指摘しました。ルクレールが追いついた時点で、彼のタイヤはすでに限界に達しており、オーバーテイクする余力が残っていなかったのです。

また、シンガポールGPでは新しいDRSゾーンが追加され、オーバーテイクが少しは容易になったのではないかという質問に対して、アリソンは冷静な評価をしています。「シンガポールは常に難しいコースで、通常、パフォーマンス差が大きくないと抜くのは難しい」と彼は述べ、新しいDRSゾーンの影響は大きくないとしました。シンガポールの狭くてテクニカルなサーキットでは、抜きにくさが依然として課題であることが分かります。

このレースは、ルイス・ハミルトンにとって350回目のF1スタートとなる節目の一戦でした。アリソンはハミルトンのキャリアを称えつつも、「その350回目がもっと明るい週末にならなかったのは残念だ」とその偉業が祝えなかったことに対する無念さを語りました。ハミルトンのメルセデスでのF1キャリアは間もなく終焉を迎えようとしていますが、それでもメルセデスとの長い旅が彼の功績を際立たせています。

今後の展望として、アリソンはオースティンに向けて多くのアップデートを用意していることを明かしています。「オースティンに向けてかなりの新しいパーツを用意しているので、シーズン最後の数レースに向けて準備を整えなければならない」と述べ、今後の巻き返しに向けた意気込みを感じさせました。

総じて、シンガポールGPはメルセデスにとって期待外れの結果となりましたが、それでもチームは次のレースに向けて着実に準備を進めています。シーズン終盤戦、メルセデスの戦い方に注目が集まることでしょう。

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