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シンガポールGPを振り返って:角田裕毅とレーシングブルズの挑戦
シンガポールGPは、角田裕毅とレーシングブルズにとって期待と課題が入り混じるレースウィークエンドとなった。予選では見事にQ3進出を果たし、8番グリッドからスタートした角田だったが、最終的には12位でレースを終えることとなった。最大の要因は、スタートでの失敗によるポジションダウンだ。レースの後、角田は自身の感情を率直に語った。
「レースのスタートにはとても苛立った。何台かの車に抜かれて、大事なポジションを失ったからだ」と角田は振り返る。「第1スティントではできる限り引っ張って、ミディアムタイヤで33周目まで走ったけど、かなり厳しかった。その時点では、セーフティカーを待つしかない状況だったが、レースはクリーンなままだった」シンガポールの市街地コースは追い抜きが非常に難しいため、序盤の失速は痛手だった。角田は最終スティントでソフトタイヤに履き替え、ペースアップを果たすも、ポイント圏内に届かずにレースを終えた。
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チーム代表のローラン・メキースも、角田のレースを振り返り、次のように述べた。「スタートでポジションを失ったことが決定的だった。8番グリッドからのスタートでポイント圏内フィニッシュを目指していたが、スタート直後のポジションロスが非常に大きかった。フィールドがこれほどタイトな中で、スタートの出来がレース結果を左右することが多い。角田は予選で素晴らしいパフォーマンスを見せ、Q3に進出できたことは大いに励みになったが、今後はスタートの改善が急務だ」
ギヨーム・デゾトー、車両パフォーマンス責任者も同様の見解を示している。「スタート時のポジションロスが全てを決定づけた。我々はミディアムタイヤでできる限り長く引っ張る戦略を取り、セーフティカーを待つ形になったが、レースはクリーンに進行した。最終スティントではソフトタイヤで良いペースを見せたものの、追い上げが難しい状況だった。前を走るドライバーとの差を縮めるにはペースが少し足りなかった」
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一方で、ダニエル・リカルドも苦しいレースを強いられた。後方からのスタートとなり、追い上げのためにソフトタイヤでアグレッシブな戦略を採用したが、結果的にポイントを獲得することはできなかった。それでも、リカルドは「タフなレースだったが、ファンからドライバー・オブ・ザ・デイに選ばれたことは特別だった」と満足感を語っている。また、最終ラップで最速タイムを記録したことについても、「レースの中で光る瞬間を見つけることができたのは嬉しかった」と振り返っている。
メキースはリカルドについても、「彼は全力を尽くした。特に序盤でアグレッシブなアプローチを見せ、ファンからドライバー・オブ・ザ・デイに選ばれたことは彼にとって大きな励みになったと思う。今回が彼にとって最後のレースになるかもしれないということで、彼に最速ラップのチャンスを与えることはチームとして重要だった」と語っている。
チーム全体として、シンガポールGPではスタートの重要性が再認識された。角田も、「スタートが悪かったのが今日の最大の問題で、それがポイントを取れなかった原因だ」と悔しさを滲ませている。レーシングブルズとしては、次のレースに向けてスタートの改善を図ることが急務となりそうだ。
レーシングブルズの今後の課題は明確だ。チームとしては、スタートでのポジション改善や、タイヤ戦略のさらなる向上が求められている。シーズン後半に向けて、角田とリカルドの両ドライバーがどのような成長を遂げ、結果を残せるかが注目される。