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アブダビGPでの6位争いを振り返る:アルピーヌ、ハース、レーシングブルズの戦い

2024年シーズン最終戦アブダビGPは、コンストラクターズ選手権6位を巡るアルピーヌ、ハース、レーシングブルズ(RB)の熾烈な戦いが展開されました。各チームが持つリソースを最大限に活用し、ドライバーたちも見事なパフォーマンスで答えました。この戦いの裏側に迫ります。

アルピーヌの驚異的な逆転劇

まず注目すべきはアルピーヌの劇的な逆転劇です。わずか4戦前には選手権9位に沈んでいたアルピーヌでしたが、シーズン後半のパフォーマンス改善により、一気に6位へと浮上しました。この背景には、マシンアップデートの成功やチーム全体の結束がありました。

ピエール・ガスリーはこの日も素晴らしいスタートを見せ、1周目で3位に浮上。序盤にはメルセデスのジョージ・ラッセルを抑えるなど、確かな速さを見せました。ガスリーはレース後、「序盤にトップ3を走るのは夢のようだった。ただ、それが僕たちの本来の戦いではないことも分かっていた」と振り返りました。その後、ペースが落ちる中でも冷静にレースを進め、ハースのニコ・ヒュルケンベルグを抑えて7位でフィニッシュ。チームに重要なポイントをもたらしました。

また、デビュー戦を迎えたジャック・ドゥーハンは、トラブルを避けつつも15位で完走。レース後、「デビュー戦で学んだことは多い。ピエールのような経験豊富なチームメイトから学ぶ機会を得たことは幸運だった」と語り、来季の成長を誓いました。

チームプリンシパルのオリバー・オークスは、「6位でシーズンを終えることができたのは、チーム全員の努力の賜物だ。特に後半戦の巻き返しには、誇りを感じる」と称賛しました。

ハースの惜敗

一方のハースは、序盤戦のポジション取りではアルピーヌを凌駕するパフォーマンスを見せました。ケビン・マグヌッセンはスタート直後、P14からP7へと一気に順位を上げる見事な走りを見せました。「1周目は全てが完璧だった」と振り返るマグヌッセン。しかし、その後のピットストップでの遅れが彼のレースを台無しにし、接触によるマシンダメージも重なり、16位でのフィニッシュとなりました。

一方で、ヒュルケンベルグは安定した走りで8位フィニッシュを果たし、チームに4ポイントをもたらしました。レース後、ヒュルケンベルグは「チーム全体が良い方向に進化していることを感じている。選手権7位は悔しいが、僕たちにとって来季への希望となる結果だ」と語り、来年の飛躍を誓いました。

チームプリンシパルの小松礼雄も、「今日はアルピーヌを上回ることが目標だったが、結果には悔しさが残る。ただ、チームの進歩を実感できたシーズンだった」と述べ、課題と成果の両面を認識していることを明らかにしました。

レーシングブルズの苦悩

RBは新たな名称で挑んだ初年度を厳しい結果で終えました。特にアブダビGPでは、技術的トラブルと運用ミスが相次ぎました。角田裕毅は、スタート時にアンチストールが作動するトラブルに見舞われ、最下位からの追い上げを強いられました。「スタートのトラブルがなければポイント争いができた」と語る角田は、最終的に12位での完走にとどまりました。

一方、リアム・ローソンはスタートで好ペースを見せ、序盤に10位を走行する場面もありました。しかし、ピットストップで左フロントタイヤが正しく装着されず、さらに危険なリリースでペナルティを受けたことで大きく後退。最終的にはブレーキトラブルでリタイアとなり、ポイント獲得の夢は潰えました。

「今日のレースは最も良いパフォーマンスを見せられたと思うだけに、結果がついてこなかったのは悔しい」と語るローソン。来季のシート確保を目指す彼にとって、厳しい幕切れとなりました。

チームプリンシパルのローラン・メキースは、「信頼性の問題が課題だ。今年1年を通じてチームは成長したが、まだ克服すべき壁が多い」と述べ、来季の改善を誓いました。

6位争いの意義とF1の未来

最終戦アブダビGPで展開されたアルピーヌ、ハース、RBの激戦は、F1のミッドフィールドにおける競争の厳しさを改めて示しました。トップチームの争いとは異なるダイナミズムがあり、それぞれのチームが自分たちの目標に向かって戦う姿は、F1の多様性と奥深さを象徴しています。

アルピーヌの逆転劇、ハースの奮闘、RBの試練――これらのストーリーが来季のF1にどのような影響を与えるのか。各チームの戦略とパフォーマンスに注目が集まる中、2025年シーズンへの期待は高まるばかりです。

特に、ミッドフィールド争いにおけるリーダーシップや技術力、そしてチーム運営の妙がどのように進化するのか。アブダビGPの熱戦を目撃したファンにとって、F1の未来はますます楽しみなものとなっています。

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