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メキシコから見るペレスをレッドブルに残した方がいい五つの理由
日本ではなぜ角田裕毅がレッドブルに乗れないのか、非難囂々であるが、メキシコ側から見れば、また違う見方もある。今回はそのメキシコ側の視点でペレスをレッドブルに残した方がいい理由を掘り下げてみたい。
セルジオ・ペレスは、2025年にもレッドブルのシートを確保できるか微妙な状況である。しかしもちろんペレスが全然ダメと言うことではなくて、当然残すことで得られる価値もある。それは、ペレスが経済的、チーム経営の観点から見て、他のどのドライバーよりも得がたい存在であるからである。
選択肢の限界
レッドブルRB20は、その高い性能を獲得するために特別なスキルを必要とすることで知られている。今年は苦戦したもののペレスは14年間のF1経験を持ち、過去にはマシンを最大限に活用する能力を示したこともある。現在の他の候補者である角田裕毅やリアム・ローソンがペレスを超える結果を出せる可能性はあるかもしれないが、明確ではなく、ある意味ギャンブル的要素も高い。
RB20は扱いづらいマシンであり、さらにジョナサン・ウィートリーの警告では、RB21はそれ以上に扱いづらくなると予想されているため、経験の浅いドライバーがこの役割を担うリスクは非常に高い。また経験が不足したドライバーがそのシートに座れば、結果として自身のキャリアを危うく可能性もある。
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フェルスタッペンへの影響
ペレスとマックス・フェルスタッペンの関係はここ数年で強化され、他のどのドライバーペアよりもチームとして機能している。フェルスタッペンは最近、ペレスを擁護するコメントもしている。ペレスを解雇することは、フェルスタッペンに不満を与える可能性が高く、チームの安定性を損なう恐れがある。フェルスタッペンの才能を最大限に引き出すためにも、ペレスの存在は不可欠だ。
ペレスのチーム内での姿勢
ペレスはエンジニアやメカニックとの良好な関係を築いており、チーム全体の士気を高めている。彼はレース中のトラブルや困難な状況にも冷静に対応し、チームメンバーへの信頼を築いてきた。一方で、他の候補者がチーム内で同様の安定感を提供できるかは疑問が残る。
経済的影響
ペレスはメキシコ国内だけでなく、ラテンアメリカ全体で絶大な人気を誇っており、多くのスポンサーを引き連れている。彼が参戦するレースは、通常以上の観客動員やテレビ視聴率をもたらし、レッドブルにとって経済的な恩恵をもたらしている。ペレス関連の商品、特にキャップやジャケットは毎年トップセールスを記録しており、チームのブランド価値を高めている。
フォードとの関係
2026年からのレッドブルパワートレインとの提携において、フォードはペレスを重要なパートナーと見なしている。ペレスはアメリカ市場でのブランドの顔として機能しており、フォードの国際的な認知度向上に貢献している。彼を失うことは、フォードとの関係悪化を招く可能性があり、チームにとって大きなリスクとなる。
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レッドブル内部の権力争い
レッドブル内部には複雑な権力構造が存在しており、ペレスはしばしばその矛先をかわすスケープゴート役割を担わされている。もしペレスがチームを去れば、内部の問題がより顕在化し、チーム運営に悪影響を及ぼす可能性がある。
セルジオ・ペレスの存在は、レッドブルレーシングにとって単なるドライバー以上の価値を持っている。彼の経験、チームへの貢献、経済的な影響力は他のどの候補者とも比較にならない。2025年シーズンもペレスがシートを確保することは、レッドブルにとって最善の選択と言えるだろう。