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レーシングブルズのカタールGP振り返り:手の届かないコンストラクターズ6位

カタールGPは、レーシングブルズにとって厳しいレースとなった。チームはスタート直後に一時的な希望を見せたが、その後の展開では勢いを失い、結局ポイント獲得には至らなかった。両ドライバー、角田裕毅とリアム・ローソンは、それぞれ13位と14位でレースを終え、チームとしてのコンストラクターズ選手権6位の目標はさらに遠のいた。

スタートでは角田裕毅が見事な加速を見せ、トップ10圏内に浮上するなど、明るい兆しが見られた。しかし、その後の展開は厳しいものだった。ミディアムタイヤでのペース不足に苦しみ、角田は順位を失い始めた。リアム・ローソンもまた苦戦し、特にセーフティカー再スタート時にはバルテリ・ボッタスとの接触が発生し、ペナルティを受ける形となった。

両ドライバーとも最後のセーフティカー中にソフトタイヤへと交換する選択をしたが、その決断は結果的に吉とはならなかった。ソフトタイヤは予想以上に持続せず、終盤にはタイヤの限界に直面し、ポジションを大きく落とすこととなった。アルピーヌやハースがポイントを獲得する一方で、レーシングブルズはチャンピオンシップ6位争いから大きく後退する形となった。

ローソンはレース後、「今日は戦うべき相手と競うには速さが足りなかった」と語り、チームのパフォーマンス不足を率直に認めた。特に最初のセーフティカー再スタート時のスピンが痛手となり、その後の追い上げも思うようにはいかなかった。ペース自体は悪くなかったとしつつも、集団の後方に位置することでレース展開を左右される厳しい状況にあった。ローソンのコメントからは、今シーズンの進歩を評価しつつも、さらなる課題が残されていることが伺える。

一方で角田裕毅もまた、スタートは良かったものの、その後のペースが不足していたことを認めた。彼は「何がうまくいかなかったのかを理解するために、チーム全体でデータを見直していく」と語り、次戦のアブダビに向けての準備を強調した。角田のコメントには、次に向けた前向きな姿勢と共に、この週末での苦戦からの学びをチーム全体で活かそうという意図が感じられる。

チームの最高技術責任者であるティム・ゴスも、今回の結果には失望感を隠さなかった。彼は「両ドライバーともスタートで見事な走りを見せ、ポイント獲得が期待できるポジションにいたが、レースペースが足りずに苦戦した」と述べている。スプリントレースでも同様の課題が見られたことから、このサーキット特有の特性がチームに不利に働いたことは明らかだ。ゴスのコメントからは、チームが技術的な問題を解決し、次戦に向けて改善を図るための分析が不可欠であることが読み取れる。

チーム代表のローラン・メキースもまた、週末全体を振り返り、「金曜日の練習走行から非常に難しい週末だった」と語っている。全チームが接戦している中で、わずかな遅れが大きな順位の変動に繋がる厳しい状況であり、このサーキットでは必要なペースを発揮できなかったことを認めた。しかし、メキースはこの時間が無駄でないことを強調し、この経験を次戦やシーズン終盤の開発に活かしていくと述べている。また、彼はチャンピオンシップ争いにおいて、最近の数レースで一歩前進したものの、ライバルも同様に進歩していることに触れ、「ガスリーが容赦なく攻めてきた」と、かつての仲間であるライバルの存在にも言及した。

カタールGPでの結果は、レーシングブルズにとって厳しいものだったが、このレースで得られた教訓は、シーズン最後のアブダビGPに向けた重要な糧となるだろう。チーム全体が一丸となり、次のレースで挽回を図る姿勢を見せている。今シーズン、チームは大きな進歩を遂げたが、まだやるべきことは多い。最後の一戦に向けて、トラックやファクトリーの全員が全力を尽くし、Visa Cash App RBとしての最初の年を最善の形で締めくくることを期待したい。

カタールGP終了時点で、6位のアルピーヌとは13ポイント差、ハーストは8ポイント差。ということはレーシングブルズは最終戦で表彰台を獲得できなければアルピーヌを逆転できず、5位にならなければハースも逆転できない。これはライバルが無得点であることを想定しているので、彼らが得点すれば、さらに逆転するのは難しくなる。そう考えると事実上、コンストラクターズ順位で6位になるのも、7位になるのも、かなり難しいチャレンジであることがわかる。

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