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角田裕毅の輝きとリカルドの苦悩:RB、シンガポールGP予選

シンガポールGPの予選が終わり、レーシングブル(RB)のパドックには、喜びと失望が入り混じった空気が漂っていた。ダニエル・リカルドはQ1で意外な敗退を喫し、16位に終わったが、チームメイトの角田裕毅は久々のQ3進出を果たし、8位という強力なスタートポジションを獲得した。

リカルドは予選後、失望を隠さずにコメントした。「今日は良くなかった。ソフトタイヤで本当に苦戦して、使ったセット全部で競争力がなかったんだ。」と率直に語るリカルドは、チームが金曜日のペースを基にして大きなセットアップ変更を行わなかったことを振り返る。「昨日のペースは良かったから、クルマのセットアップを夜の間にほとんど変えなかった。FP3ではミディアムタイヤで良いパフォーマンスを発揮したけど、ソフトタイヤで最適な性能を引き出すのはかなり難しかったし、予選でも解決策を見つけられなかったんだ。」リカルドの言葉からは、ソフトタイヤの扱いに苦労したことが伺える。Q2進出をあと0.1秒で逃した彼にとっては、特に悔しい結果であっただろう。

一方、角田は8位という素晴らしい結果を手にした。「久々のQ3進出で、今日はついに達成できた!」と、喜びを隠さない角田は、チームへの感謝の気持ちを強調した。「この瞬間を待っていたんだ。チームに感謝したい」。しかし、彼の予選は完璧ではなかったことも指摘する。「ウォームアップラップの時間が限られていて、急ぐ必要があったから、最終のプッシュラップが少し妥協した形になってしまったんだ」。角田はフィニッシュラインを越えた瞬間に少し悔しさを感じたが、それでも「ここ最近のパフォーマンスを考えると、今日は大きな成果だ」と自信を持って語っている。

RBの車両パフォーマンス責任者であるギヨーム・デゾトーは、角田のQ3進出を喜ぶ一方で、リカルドの不運を分析している。「金曜日の堅実なパフォーマンスの後、エンジニアリンググループは車のバランスを最適化し、ソフトタイヤの性能を最大限に引き出すための微調整に集中していた」と、デゾトーはチーム全体のパフォーマンスが強力であったことを強調するが、「ダニエルはブレーキングの限界を見極めるのが難しく、2カ所でタイムを失い、その差0.1秒でQ2進出を逃した」と、リカルドの苦戦を指摘する。シンガポールの厳しい路面条件下では、僅かなミスが大きな影響を与える。

明日のレースに向けて、角田は前方のハースを追いかけ、ポイント獲得を目指すと語る。「前にいるハースを追いかけつつ、後ろから速いマシンにも注意しながら、できる限りのことをしてポイントを狙いたい」彼の意気込みは、RBが今後のコンストラクターズ選手権でのポジションを守るための重要な一戦となることを示している。

RBにとってシンガポールGPは、コンストラクターズ選手権争いの中で非常に重要な一戦となる。デゾトーが語るように、「今夜はレース戦略やタイヤの使用法についてさまざまな選択肢を検討し、コンストラクターズ選手権でのポジションを守るために、ポイントを狙っていきたい。」レース当日の戦略がチームの命運を左右するだろう。

シンガポールの夜明けを前に、レーシングブルは複雑な感情を抱きながら次なる戦いに臨む。

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