見出し画像

フェラーリが1-2を逃した原因は?周回遅れの影響とタイヤ管理の真実

メキシコGPにおけるシャルル・ルクレールは、フェラーリの1-2フィニッシュを達成することができず、ランド・ノリスが2位を奪う展開となった。その背後には、周回遅れのマシンがもたらした影響が存在していた。フェラーリのフレデリック・バスールは、周回遅れのマシンがルクレールの2位フィニッシュを妨げたと強く批判し、そのドライバーたちを”愚か者”とまで呼んでいるが、果たしてそれは事実なのだろうか?この記事では、その影響を検証し、ルクレールが順位を失った理由について掘り下げていく。

レースはフェラーリのカルロス・サインツが優勝し、ルクレールが3位に入ったのだが、ルクレールが2位を失ったのは重要な場面でのタイムロスが影響していた。

レース終盤、周回遅れの車両であるリアム・ローソンとランス・ストロールを抜く際、ルクレールは大きなタイムロスを被った。特に、56周目にローソンがブルーフラッグを無視し続け、ターン3からターン12に至るまでの43秒間にわたって前方を塞ぎ続けたことで、ルクレールはその周だけで0.8秒のロスを被った。また、58周目でストロールも同様にターン3からターン12にかけて42秒間前に居座り続け、ルクレールに1.1秒のタイムロスをもたらした。

一方、ランド・ノリスも周回遅れのマシンと遭遇する場面があったが、彼のタイムロスは比較的少なかった。ノリスはフランコ・コラピントを抜く際、ブルーフラッグが出された後も1分4秒間にわたって前方に居座られたものの、0.5秒のロスにとどまった。これはコラピントが新品ミディアムを履いたピットアウト直後で、速く走れたことが影響している。

さらに、ローソンやストロールを抜く際も、ノリスが失った時間はそれぞれ0.3秒と0.5秒であり、ルクレールよりも軽微であった。この差が、レース終盤でのノリスの追い上げを可能にし、ルクレールを捉える決定的な要因となった。

しかし、問題は単に周回遅れの車両によるタイムロスだけではなかった。周回遅れのマシンを抜く際にタイヤの温度が低下し、その影響が次のラップのパフォーマンスに及ぶことも無視できない要素だ。ルクレールがローソンとストロールをクリアする際に被ったタイムロスは、彼のタイヤ温度を低下させ、その後のグリップを回復するのに苦労する原因となった。特に摩耗が進んだタイヤでは、一度温度が下がると、再び適切な温度まで戻すことが難しくなる。このため、ルクレールは周回遅れの車両を抜いた後もグリップを取り戻せず、ノリスに対抗するだけのペースを維持することができなかった。

また、ルクレールはレース中に何度もタイヤのデグラデーションに関して不満を漏らしていた。サインツとの比較でも、第1スティントの終盤にかけてルクレールはサインツよりも高いデグラデーションに苦しみ、ラップタイムが大きく落ち込んだ。サインツは第1スティントでタイヤの管理を徹底し、終盤でも良好なタイヤの状態を維持していたのに対し、ルクレールはサインツの後ろでダウンフォースが減少し、タイヤが滑ることでさらにデグラデーションが進行したと述べていた。

第2スティントでも同様の傾向が見られた。ルクレールはノリスとのバトルでプッシュを強いられたが、その結果としてタイヤの状態を適切に管理する余裕を失っていた。さらに周回遅れの車両に遭遇したラップでのタイヤの冷えが、彼のパフォーマンスに悪影響を及ぼし、最終的にはノリスにポジションを奪われる形となった。

確かに、周回遅れの車両との遭遇はルクレールにとって大きなタイムロスをもたらし、フェラーリの1-2フィニッシュを阻んだ。しかし、根本的な問題は、ルクレールがタイヤのデグラデーションと温度管理に苦しんでいたことにある。ノリスがルクレールに迫った時点でのタイヤの状態こそが、ルクレールが2位の座を守りきれなかった最大の理由であり、単にバックマーカーの存在だけでは説明できない複雑な要因が絡み合っていたと言えるだろう。周回遅れのマシンは確かに重要な要素であったが、それ以上にタイヤマネジメントの差が勝敗を分けたのである。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集