舞踊活動:それぞれの役割
日本舞踊=古典?
私はいわゆる古典(歌舞伎舞踊)と新舞踊(現代日舞、創作日舞)の両方を教わり、名取、師範となってのちに独立しました。
私は13歳からアクションクラブで活動したのち、日本舞踊を習い始めたので、スタートとしては遅い方かも知れません。
ただ、入門した流派が柔軟に様々な曲を教えてくれたこともあり、"この曲でなければ踊れない"みたいなことはなく、振付をするようになってからは、自由に選曲していました。
私にとっては現代曲であっても古典でも日本舞踊である、と当然思っていたのです。
日本人なのに知らない
それと同時に学生時代、古典芸能鑑賞で初めて歌舞伎を見た私は、実は日本舞踊を始めるまでほとんど日本舞踊のことは知りませんでした。
簡単そうに見えるのにうまく動けないのが納得できなくて、いつの間にかハマってしまいました。
踊るだけでなく、演じなければならないという部分でもやりがいもあり、楽しかったのです。
そして、何故日本人なのに学校で日本のことを教えてくれないのか、と強く思いました。
以前どなたかが、「ダンス部はあるのに何故日本舞踊部は無いのか」「何故吹奏楽部があってお囃子部は無いのか」とおっしゃっていましたが、まさにそれ!です笑
自国を知らない日本人、外国で不審がられる
世界的オーケストラの団員は多国籍であると言いますが、どの国の人も担当楽器以外では自国固有の楽器を演奏できて、宴会などで披露するとのお話。
日本人は「ピアノはやったけど…」みたいになることが多いとか。
外国の人から見れば、当然日本人なら趣味程度でも三味線や篠笛ができるはず、と思うのは自然なことです。
舞踊家としての活動
私の原点はまさに、自分自身の日本人としての自覚の無さです笑
でも、踊りを続けていると、知らない人に沢山出会います。
先ずは興味を持ってもらえる入り口を作る必要がある。
やってみれば"こんなに楽しいとは思わなかった"と先生(私)に向かって平気で言います笑
でも、多くの人たちは知らないし、つまらなそうに見えている。
勉強するような対象ではなく、純粋に楽しいのだと感じてもらえるようにしたい。
裾野も広げなければならないし、上も目指さなければいけない。
私の役割は、日本舞踊の入り口(はいりくち)です。
古典を極める方もいて、お茶を飲みながらのんびり踊りを楽しむサロンもあっていい。
色々な役割を持って様々な切り口で日本舞踊を広げていけばいい、と私は思います。
色々な役割を認めて裾野を広げていく
時々残念に思うのは、日本舞踊の世界の中で立場が違う人を否定する方がいること。
違うことをしているのだから、それぞれやりたい形を認め合えばいいと思うんですが、「そんなみっともないことはできない」とか、違う流派なのに「教えてあげましょうか」とまで言われたこともあります。
世界を狭めてひと握りの人だけが踊ればいいというのでしょうか。
楽しんでいるおばあちゃんを見てお孫さんが興味を持つかも知れません。
イベントでスピーディーに踊り、私もやってみたい、という若い人が出てくるかも知れないのです。
裾野が広いほど頂上は高くなっていく、そう私は思います。
認め合ってそれぞれが活躍していけば、自然に"日本"に浸透していく、そう信じ、強く願っています。
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