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もったりイエローを探す旅
15分でフィルム約3本 約90枚
すべてうまくいった。こんなにハマったのは初めて。
そんな阿蘇撮影のはなし。
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目次
・『もったりイエロー』なんだよな(詩)
・さて本題です。
・撮影中『現地調達で試しながら』
・撮影後『現像するまでがフィルムです』
・オーダー
・オーダーありなし比較
『もったりイエロー』なんだよな
そう心に思って2ヶ月
探した理想のイエロー
ところどころに散りばめられたピース
迷路に入ったの如く迷い
活路が見えてきて
そんな感じでオーダーした話
知ってます?
暑い日にアスファルトから立ち上る「もやもやとしたゆらめき」
あれを陽炎(かげろう)と言うらしい。
まあその話は置いといて、みなさんはイエローで踏んだ韻に幾つ気付いてきれたでしょうか?
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さて本題です。
阿蘇、12月、枯れ草。
夕焼けが差してシャッターを押した時に思った。
『重たい写真にしたい』
この重たいは透明感より重厚感ある感じのこと
これから写真ができるまでの話を。
撮影中のことと、撮影後のことについて✒️
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撮影中『現地調達で試しながら』
阿蘇の景色を眺めながら、移動。
そして撮り始め。
最初から完成図は頭の中にあった。
撮影時は言語化に向き合う暇なく、なんとなくの方向性を携えて色々変えながら撮るのに必死だった。でも撮るのと目の前に集中してたら当たり前か。
目指す方向性は重たい写真。
キーワードは「重厚感」。
その要素を現地調達。
まとめるとこの3つのポイントを押さえたのが良かったと思う。
①黒い服と赤いセーターの色
②明確なイメージへ・空気感と写真
③順光であること
①黒い服と赤いセーターの色
🔍🔍🔍💡💡💡
おふたりが着ていたコートが黒色。
そして赤とベージュのセーターを着ていた。
そこで話す『コートを着る気ない問題』について。
→重厚感ある雰囲気に近い方を選択。
着て撮ることに。
色として主張があるのは黒と赤。
ベージュはススキの色と同系色なので。
黒・赤のイメージとしては重厚感・高級感。
→重たい感じがするし方向性とも合う。
②明確なイメージへ・空気感と写真
重たい・重厚感のある感じというのは掴めている。
頭では分かっているを現実に起こす。
撮っている時はこんな風に感覚的に把握
「重い」≠「透明感」
「透明感」=「明るい」
「重い」≠「明るい」
「重い」=「クール」・「アンダーめ」
しっかり形にすると↓みたいな感じ。
全体の方向性は重厚感ある雰囲気
↓
逆張りのイメージ
友達同士の仲良し笑顔・るんるん楽しげショットではない。
↓
再定義
写真としての重みがある+クールな感じ。
②'イメージに自分の写真のテーマを調合する
先ほどの再定義に自分の写真のテーマを調合する。
『近すぎず、遠すぎず、でも届く』
・キメキメならず、ふたりの優しい空気感と儚げな雰囲気も写したい。
・感情の揺れ動く部分を残す
→連続の中の一瞬を撮る
・距離的・心理的に近づきすぎない写真に。
結論
全体として重厚感ある雰囲気だが
写真は強すぎず決定的瞬間より連続の中の一瞬
そして感情の揺れ動きのキャッチ
だいぶまとまってきた。
③順光であること
さて全体像と撮る瞬間は掴めた。
ではどう撮ろうか?実際に色々試して、ここやと思った場所で結構撮った。
その前にいつも撮る感じの写真を。
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この瞳に光が入る写真をよく撮る。サイド光、反逆光ぎみに瞳に光をいれるけど、顔には陰影がつく光の感じが好き。この写真もすごく好き。
ただ、今回思った『重厚感ある雰囲気』。
これと少し違う気がして別の角度から撮ることに。
以下に重厚感の方の写真を。
その後になぜ先ほどの写真は『重厚感ある雰囲気』と違うのか?を。
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なぜ違う?
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先ほどのこの写真。注目すべきはハイライト。
ハイライトとは、画像の明るい部分のこと。
空がかなり白く写ってる。
重厚感ある写真にする場合、この白く飛んでいるハイライトは合わなそう。
もう少し具体的な話をすると、僕は逆光〜反逆光ぎみで撮る場合適正露出よりも明るめに撮る。(フィルムはラチチュードの範囲が広く、適正よりも2段上ぐらいで撮るぐらいが良いという定説があるのと、個人的に多少の露出オーバーになるのは全然OK・というよりウエルカム)それゆえ、写真のように顔に露出を合わせて背景を飛ばすのをよくやる。これは顔を暗くさせずに背景と合わせるため。
ラチチュード
フィルムがとらえることができる、明るい部分から暗い部分までの再現可能な幅のこと。ラチチュードを超えた領域については、白飛びや黒つぶれという状態に。
重厚感ある雰囲気の要素
話を戻すと空(ハイライト)が白く飛んでは重厚感と合わない。逆にもう少し空の色を残せば👍。
↓
となると使うのは順光。
空・洋服・瞳の色を残して『重厚感ある雰囲気』を作りに行く。順光で撮ると全体的な色が残りやすいし、特に黒色ははっきり残る。重厚感という目線で考えると髪は太陽の光を通さずにそのままの黒の方が主張があって適してると思う。
反逆光・順光 比較
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先ほどの2つの写真を比較すると空の色が違う。
白く飛んでいるか残っているか。
また色も明るいか落ち着いているか。
また髪の毛の色も光に透けているか、いないか。
ススキの色も軽いか重いか。
見えている部分だけで全く違う。
光の使い方を変えるだけで、見える表現は全く別物になる。
撮影後『現像するまでがフィルムです』
帰るまでが遠足ですみたいな文章。
さて、こんな風に試行錯誤した思考をオーダーで反映させないと意味ない。なんとなくのイメージと撮った写真を頭に記憶して帰宅。
とりあえず文字起こし。
書く、書く、書く、そして書く。
どうやら今日の草原と光を見て第一印象はのっぺりと思ったみたい。
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でも納得いってない様子。完成図はあるものの撮影時の言語化はできていなかったので深掘る。また書く、書く、書く、そして書く。
仮置きで『のっぺり』とする。
以下、アイデアを考える範囲を狭めてより正確に狙い撃ちする感じの手法みたいなもの。
ちなみに弁証法というらしい。
例
福岡で『ゆっくり』桜が見たい
なんとなくで定義
ゆっくり=人が少ないところがいい
逆張り
消す選択肢として都心部にある大濠公園や
縁日が並び人が沢山いる西公園
↓
再定義
車or徒歩でしかいけないところ=人少ない
電車・地下鉄がないところ=時間と手間がかかる
再定義:『時間と人を気にせず見れる』
↓
最終着地or成果物
城南区の一本松緑道
このステップで言語化
仮置きで『のっぺり』
↓
逆張り
すっきり・透明感・爽やか・淡い・軽い。
つまり今回の写真は透明感やすっきり淡い写真ではないということ。
↓
再定義
『のっぺり』だと少々薄さを感じる。
もっと重たい感じがする。のっぺり→もったり
定義『もったり』
💡『もったり重厚感ある雰囲気』💡
オーダー
後は頭にあるもったり枯れ草=もったりイエローを探せば👍
めちゃ探す、とにかく探す、違うと思ったらパス、そして探す、探す、見つかるまで探す🔍
見つけたhikageさんという方の写真。
この方全部素敵すぎる。写真よすぎる。
そしてこの黄色・オレンジがまさしくもったり。
この感じの色とその他諸々のオーダーを送って待つ。
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出来上がり
言葉がでないくらい素敵。
なによりおふたりが真剣に写ってくれたことがとても嬉しかった。好きなように撮らせてもらえた。それもまた、本当に嬉しかった。
そうじゃなかったら、これを書くことにもなってない。
そしておふたりは素敵な写真を撮られる方です。
紹介とSNSは最後に載せてます。ぜひ
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オーダーあり・なし比較
他の写真屋さんにオーダーせずに出してみた。
普通だとどんな色になるのか気になって。
あと、この時フィルム20本撮り終えてて色々試したかったので。
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比較すると全く違う。
そしてどちらもそれぞれの良さがある。
上の『もってり』に比べてオーダーをせずそのままの方は青味が強い感じがする。冬のイメージ。こう見ると全体の色温度とハイライト・シャドーが大きく違う。
色温度
光源が持つ色味を数値化したもので「K(ケルビン)」という単位で表される。2000Kなどの低い数値だと赤みが強く、8000Kなどの高い数値だと青みが強くなる。
ハイライト
写真の中で明るい部分
シャドー
写真の中で暗い部分、または影
手を抜かないこと
最近写真をオーダーしてる。
自分の理想の色や雰囲気を探して。
前はしなくてもいいと思ってたし、写真屋さんはオーダーがなくても素敵に仕上げてくれるので特に何も思わずやってた。
でも、自分の理想は伝えないと、正しく分かりやすく伝えないと叶わない。今回はすごく上手くいった。ゴールイメージとそれを言葉に落とし込んで最適を見つけたから。
これからもっとフィルムが楽しくなると思う。
ホームランを狙ったら場外超えて宇宙行っちゃったみたい。それぐらいそれで言い表せないぐらいの感触あった。
今回はこのへんで失礼するでござる。
以上もったりイエローを探す旅でした。
写っていただいたフィルムを愛するおふたり
fukurasuzume2145さん
_umineco_さん
おふたりとも心惹かれる写真を撮る方です🎞️
ぜひインスタを見てみてください👀
ふたりのそれぞれの感性が織りなすギャラリー!
撮る写真はもちろん、写る方も言葉が出ないほど素敵です
参照
近すぎず、遠すぎず、でも届く
写真が変わる瞬間
人を撮る、光を撮る
「写真が上手い」のその先へ
注1
hiageさんインスタグラム
参照した投稿
https://www.instagram.com/p/Co66tY7PSFM/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==