今でも忘れない12年前の5月⑨
漫画を読んでいると相席してくる人がいた。
「よう、学校はどうした。浮かねえ顔してるな」
H先輩だった。
俺はさっき起こった事を話して地元に帰りたいと伝えた。
それに対してH先輩は反応しなかった。
「お前今日バイト?」
『いや、今日ないです』
「だったら俺の働いてるバー飲みに来いよ。毎週火曜日にこの前言ってた霊感あるお客さん来るからさ。おごってやるよ。」
その日は火曜日だった。
『ありがとうございます。オレンジジュースいただきます。』
俺はまだ18歳だったためソフトドリンクで乾杯ささてもらうことにした。
「おっけー。じゃあ後で迎えに行くわ。」
部屋にいたくない俺は夜までgoesで過ごした。
夜22時。
H先輩の部屋を訪ねた。
「よっしゃ、いこかー」
車で約20分のところにbarバーバパパはあった。
カランコロン。
店内には四人いた。
マスターと白髪のお婆さんと四十路くらいのキレイなお姉さんとその横に男性。
H先輩はマスターに挨拶した。
「おはようございます。こいつがこの前言ってたやつです。」
『あーあんただいぶ病んでるねー。いいよちょっと話聞かせてみてよ』
と笑顔で白髪のお婆さんが俺に話しかけてきた。
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