今でも忘れない12年前の5月⑧
部活から帰宅した俺は一限があったのですぐ練習着を洗濯機に放り込み素裸でシャワールームへ向かった。
トイレバスが一緒になっているユニットバスタイプのシャワールームのためとても狭い。
急いでシャワーを浴びようとカーテンを開けた。
俺は愕然とした。
そこには女性のものと思われる長い髪の毛が5.6本落ちていた。
その当時俺は地元静岡に彼女がいたが部屋に遊びにきたことはない。
部屋に入った事がある女性と言えば母親しかいない。
しかもその年の三月中旬に引っ越しの手伝いで来たきり来ていない。
なおかつ母親の髪型はベリーショートだ。
もうわけがわからなかった。
何故長い髪の毛が何本も落ちているのか。
テンパってしまって素裸のまま実家に電話をかけた。
「もしもし」
母親が出た。
心配かけたくなかったため怪奇現象について話していなかったが、事の顛末を話した。そしてもう実家に帰りたいと伝えた。
「なんかの間違いかもしれないからもう少し様子を見てみなさい」
母親はそう言って電話は切れた。
もうどうしていいかわからなかった。
その日学校を休んだ。
部屋にいるのが怖かった俺はマンションの下にある漫画喫茶goesで過ごした。
goesで漫画を読んでいると席がたくさん空いているにもかかわらず相席してきた人がいた。
つづく。
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