今でも忘れない12年前の5月
はじめに。これは真実に基づく物語ではない。真実の物語である。
よって大したオチはない。
大学生成り立ての俺の身に実際に起こった出来事である。
2008年4月。俺は大学生となり一人暮らしを始めた。
静岡から名古屋へ引越し、大学で野球部に所属していた俺は新生活に期待と不安を同居させながら心躍らせていた。
チームメイトにも恵まれて大変な事もあったけれど本当に充実した毎日を過ごしていた。
部活動、勉強を頑張る中、みんなでウイレをしたり(野球部は何故かウイレ好き)買い物に行ったりご飯を食べたり新生活を楽しんでいた。
そんなある日自分の身の回りに起こる些細な異変に気づき始める。
どうやら同居させてしまったのは期待と不安だけではなかったようだ。
俺の所属していた野球部は1限の授業の前に練習をし、授業がある人は授業へ、無い人はそのまま自主練をすると言った自主性を重んじる部活だった。
幸いにもアパートと学校が近かったため、部活が終わり一旦帰宅しシャワーを浴び朝食を済ませてから授業に向かう毎日だった。
そんなある日。いつも通り部活が終わった俺はアパートの部屋に着いた。
ガチャっ ガチャっ
「あれ?鍵が空いてる」
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