今でも忘れない12年前の5月②

がちゃっがちゃっ

「あれ?鍵が開いてる」

あー朝寝ぼけてたから鍵閉め忘れて部活行っちゃったんだな、
なんて思いながら特に気にも止めずに授業に向かった。

しかし鍵は次の日も開いていた。
そしてその次の日も。

こんなに締め忘れる事があるのか、自分ドジだな、なんて思いながら迎えたある日。

必ず鍵を閉めたのを確認して部活へ向かう。

しかし、原付の鍵を忘れた事に気づき部屋に鍵をとりにかえる。

すると、もう鍵が開いてる。

もちろん部屋の中には誰もいない。

今朝は必ず鍵を掛けたことを覚えている。
なぜなら5分前の出来事だから。

鳥肌と冷や汗が止まらない。

ちなみに俺の部屋は506号室。

その日の夕方野球部の先輩でもあり、真下の406号室に住んでいるH先輩に相談してみることにした。


「Hさん聞いて下さいよ。俺の部屋必ず鍵を閉めて部活行ったはずなのに帰ってきたら鍵あいてるんですよ。怖くないですか。」

いつも明るいH先輩の顔色が曇ったことに俺は気づいた。

『あーお前の部屋ね。お前に言うべきか迷ってた事があるんだけど、やっぱりかー。』

体全身に寒気が走った。

つづく

#小説 #note #日記

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