うつ病の続きと『CAREER FIT 仕事のモヤモヤが晴れる適職の思考法』の話。
皆さんは、自分がつらい時に救われた音楽はありますか?
私はうつ病になった当時、Little Glee Monsterの『だから、ひとりじゃない』という曲にとても励まされました。
「向かい風ばかり なんで自分だけ
綺麗ごとが 嫌いだった
すべては繋がる 今この瞬間
走り続けなきゃ 夢に近づけない」
「今日も 泣いて もがいて
今度こそって 這い上がってみせるよ あきらめない(大丈夫さ)
叶えるんだ!わかった!
絶対に譲れない心を叫べ もう 逃げない」
何度も何度も、くり返し聞いてその度に涙を流していたことを今でもよく覚えています。
第3回のnoteは、前回に続き、
うつ病になったその後についてお話ししたいと思います。
ちなみに、今回の書籍は『CAREER FIT 仕事のモヤモヤが晴れる適職の思考法』(石倉秀明著 宝島社)をご紹介します。
キャリアアップやキャリアチェンジ、キャリア形成などはよく耳にするけれど、キャリアフィットって何…?と思い、タイトルに魅かれて購入した本です。
気になる方は、目次から書籍紹介へダイレクトに飛んでいただいても構いません(^^)
うつ病の話の続き。
さて。
精神科へ行き「うつ病」の診断を得たところまでお話しましたね。
当時私は実家暮らしだったのですが、身内にうつ病を患った人はおらず、
両親自身もそうした精神的な病と対峙するのは初めてのようでした。
病院からの帰り道、栄養を摂って心身ともに元気づけようと思ってか、
焼肉屋さんで夕食を取ったことを覚えています。
「どうしたの」
「何があったの」
なぜ私がこれほどまでに追い詰められたのか、
娘がなぜこれほどまでにやつれて、うつ病になるに至ってしまったのか。
会社でのことはもちろん知らないので、
その状況と原因を知りたい、という思いの強さがひしひしと伝わってきました。
ただ、その時は色々な質問をされても論理的に回答することも難しく、
何が起きていたかを説明するにも、当時のことを思い出さなければならず、
苦痛で、負担で、うまく言葉にできなかったことを覚えています。
でも、両親は知りたい。
そこで取った解決法は、
私が苦しい理由と何があったかを紙に書いて、
リビングの机に置いておくというものでした。
両親に宛てた手紙、みたいなものですね。
とにかく家族だろうが誰だろうが、
人と対面して話すことがままならなかったので、
手紙にすべてをしたためました。
それを読んで両親も粗々に状況を理解してくれて、
そのあとはとにかく家で快復に専念。
しかし、家にいるからといって順調に快復できたかというとそうでもなかったです。
実家にいるおかげで、家事はすべて母が引き受けてくれます。
ただ、普段会社に行っていないはずの人間が家にいることで、やらなければならないこと。
そう、食事の準備です。
夏休みなど長期休暇でお子さんが家にいて、お母さんが食事の用意に苦労するのと同じ感じですね。
いい大人なので自分で用意できるだろと思うかと思いますが、
うつ病患者、何もできませんでした。
ずっとベッドに横たわり、何をするでもなく涙が止まらず、
母が「お昼出来たよ」と声を掛けない限り、食べる気にもならない。
最初のうちは食事の準備も、母も普段は一人で食事をしていることもあってか一緒にテレビを見ながら、楽しげに食べていました。
ですが、徐々に準備が面倒になり、
いつまでこれが続くのかということを、なんとなく雰囲気で察するようになりました。
「早く会社に戻らないと」
「母に迷惑かけているこの状況を早く終わらせないと」
また、私には姉がおり、当時姉も実家に住んでいたこともあって、
仕事から帰宅すると仕事にまつわる話を両親としているのが耳に入ります。
「今こんな仕事が進んでいて、こんなことが大変で」
「同じチームの人が全然仕事できなくて、フォローが大変で」
そんなことが聞こえると、
「私は今休んでしまっている、早く会社に戻らないと…社会に出ないと…」
「仕事ができなくてごめんなさい、迷惑かけてごめんなさい」
自分がいかに周りの迷惑になっているか、
自分がいかにダメな人間なのか、という思考で脳内がいっぱいです。
つらくて、自室にこもる。
ごめんなさい、と涙がとまらない。
そんな様子で、食事の時にリビングにいる以外はずっと自分の部屋のベッドの上。
外出する気力もなく、行くのは2週間に1度の通院。
ただそれも会社から近い指定の医療機関だったこともあり、
自宅から行くには遠いこと遠いこと。
さらに予約が取りにくく、夕方17時頃の診察になってしまった日には
通勤ラッシュに巻き込まれる。
本当に地獄でしたね。
涙が出そうになると
「なんであの人泣いてるの」って目で見られるし、
とにかく人がいる場から離れたくて逃げるように早足になると
「急ぎたいのはこっちもだよ」って目で見られるし。
うつ病は、見た目は普通の元気な人にしか見えないのが厄介なところだなと思います。
そして、うつ病で私が「思っていたのと違う」と感じたことは、
一日、一か月、なんて短期では決して快復できない、ということ。
もちろん個人差があると思いますので、数か月で復帰される方もいると思います。
私自身は、せいぜい1~2か月程度休めばよくなるのだろうと高をくくっていました。
また、今回のうつ病の原因がすべて会社に起因することであったにもかかわらず、
「早く会社に戻らないといけない」
「あの打ち合わせもあるし、この案件も進んでいるし、休んでるわけにはいかない」
「休んだら会社に迷惑をかける、仕事が回らなくなる」などなど。
会社に戻らなければならない理由をいくらでも並べ立てていたのが不思議なところ。
あんなにつらくて、怖くて、自分の頑張りが足りないからと追い詰められるまでになったあの状況に、「休んでいてはいけない」と必死に戻ろうとする心理。
冷静に考えると、なんであんなにつらい思いをした場所に戻ろうとするの?
しかもちゃんと休めていないのに?
と本当に不思議になりますが、当時は本気でそう思っていました。
休み始めてから半年くらいは、通院のたびに
「来月には仕事に戻れますか?」と先生に聞き、
よくまぁそこまで戻りたいという気持ちになれたなぁ、と。
そんなこんなで、半年たったくらいからようやく「休む」ということが、
今一番自分が向き合うべきことなんだと受け入れられるようになってきて、
少しずつ両親とも話ができるようになってきて。
仕事に一生懸命な姉と話すのはまだ怖かったので、
あまり会話をしなかったように記憶しています。
このままいけば順調に快復できるかな。
そんな風に少し希望を持てるようになったころ、
LINEで高校時代の友人から結婚するという報告が。
そして、結婚式の日程と参加可否を確認したいと。
その友人は高校時代からの中で、もう一人の子と合わせて3人でよくお昼を食べたりして、いわゆる女子のグループになってつるんでいた子でした。
高校卒業後は、年に1回会うかどうかくらいの仲でしたし、
こんなことを言っては本当はいけないと思っているのですが、
正直、私よりかわいくないと思っていて笑
私の方が先に彼氏もできて、結婚もできると思っていました(^_^;)
そんな風に自分が格下に思っていた子であったからこそ、
結婚するという連絡が来た時には本当に驚いて、ショックで。
あの子の人生は幸せに進んでいるのに、
私はうつ病になんかなって、人生が停滞してしまっている。
なんで。どうして。
順調な快復軌道に乗れそうなところに、顔面パンチをくらった気分でした。
そこから、再びどん底の日々。
健康な時なら多少の衝撃はあったとしても、
ストレス発散にマックでもやけ食いすればやり過ごせたかもしれませんが、
当時の私には到底そんなことで消化しきれませんでした。
球速何百キロの玉を正面から受け取って、
その衝撃にボコボコにされました。
「こんなはずじゃなかったのに」
「自分だけ人生周りから置いてかれている」
「自分もこんな風になりたいわけじゃないのになんで」
そんな言葉が頭を渦巻いて、
心底自分が生きている価値を感じられませんでした。
人生で初めて、もう生きていてもしょうがないと思ってしまいました。
ジェットコースターで再びの急降下。
さて、第二のどん底谷から這い上がる経緯は、また次回に。
こうして言葉にしたためると、感覚的にはあっという間だったように感じてしまうあの時が、本当に長かったなぁとしみじみ感じます。
『CAREER FIT 仕事のモヤモヤが晴れる適職の思考法』の話。
では、ここからは書籍の紹介ということで。
冒頭にもお伝えしたように、今回ご紹介したいのはこちらです。
『CAREER FIT 仕事のモヤモヤが晴れる適職の思考法』石倉秀明著 宝島社
こちらの本のおすすめなところは、ずばりタイトルにもあるように
「キャリアフィット」という考え方。
「キャリアは、その人がその時々で自分に適している環境や場所、ポジションを選んで動いていくもの。そう考えれば、そこにはアップもダウンもありません。自分に適しているかどうか、つまり「フィット」の感覚があるかどうかだと思います。フィットの条件はその時々で変わりますが、別の環境に移ることをいちいちアップかダウンかで考える必要はありません。」(本書より引用)
この、
「アップでもダウンでもない。フィットするかという感覚があるかだけ」
という一文に、ハッとさせられました。
現在休職中の身ですが、今の会社には自分は合っていないのかもしれないと思い、転職エージェントに登録して、転職活動を少しばかりやってみたことがあります。
ただ、33歳の転職となると、
「ポテンシャル採用ではなく、即戦力採用だ」
「経験やスキルを活かせるところでないと難しい」
「大企業で未経験職種を受け入れてくれるところはそうない」
とにかく経験・スキルありきでないと成り立たない現実を突きつけられ、
自分でもそんな経歴ほしくて手にしてしまったわけじゃないのに、
「この人メンタル弱いので要注意です」みたいな見方をされる
(事実なんですけどね)。
ただでさえ「30代・既婚女性・未経験職種」と転職の門戸が狭く、
ダメ押しのように「メンタル疾患」のトッピング付き。
どこにも自分が求められていない、貢献できることはない、役に立つ方法はないと全否定された気がして、心底悲しくなりました。
一方で、
年齢や性別に関係なく、未経験でも挑戦できる場が、
例えばベンチャー企業などならあるよ、という声も聞こえそうですが、
そこで邪魔をするのが私の無駄に高いプライド。
慶應卒で一部上場企業の正社員として10年勤め、
年収750万の水準は保ちたい。
むしろ待遇アップもできればラッキー、なんて思って。
そもそも転職市場においての自分自身の条件も厳しいのに、
自分が転職市場側に求める条件はさらにそれを上回る厳しさ。
これはこれは、厄介な私のプライドの問題。
そんな痛いところも、本書は突いてきます。
「私のことを念頭に置いて書いた?」
と自意識過剰なくらいに、自分に当てはまってしまうと思うくらい共感できるところがたくさんあります。
私の要約では到底こちらの本の良さを伝えることは難しいですし、
ぜひ気になる方は本書でしっかりと内容を理解していただきたいのですが、
私が
「いや、そうなのよ。ほんと、そうなのよ!!!!」
と思ったことをいくつかご紹介します。
(以下、本書より抜粋)
●「4年生の大学を出て、新卒でそこそこ大きい会社に入り、正社員としてフルタイムで働いて、出世していく。年々、年収も上がっていき、あるいは転職してさらに高収入になる。働いている会社の社格も上がり、社会的地位も手に入れる。
そんなふうに常にアップし続けるものとしてのキャリアが、世間一般では前提になっているように思います。」
●「別にキャリアアップしたいわけではないけれど、「もう少し快適に働ける環境に行きたい」というように、転職や移動の理由は実際、人それぞれなはずです。そうであるにもかかわらず、転職や異動にこだわるのは、それがキャリアアップかそうでないかという画一的な指標だからです。」
●「つまり皆、なかなか「場所を変えよう」という発想にならないのです。
例えば、最初からよく知られた優良企業に入社して、ずっとその会社だけで働いてきた人。彼ら・彼女たちは、自分はこの会社だけでしか通用しないのではと感じ、別の働き方がしたくても最初から諦めてしまうケースも少なくありません。
あるいは、若くして年収が平均より上の水準まで到達してしまったので、本当は別の仕事をしたいのに転職に踏み切れない人もいるでしょう。「転職をすると年収が下がる」「食っていけなくなるのが不安だ」というような人です。こうした大手の優良企業だと、専門性がそこまで高くない割に年収が高いということがよくあります。仕事自体に希少性がないのに年収が高いため、実際に転職をしようと思っても行き先がなくなってしまうわけです。」
うーん。
実に辛辣ですが、すべてが自分に当てはまることこの上ない笑
読んでいて「これ私じゃん」なんて思いながらあっという間に読み切り、
それでも全く嫌な読後感ではなくて、
「そっか、こうすればいいのかな」とどこかさわやかに感じられるものでした。
前回ご紹介した『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』と同じようなイメージで、本書が提唱するキャリアフィットの公式もあります。
「キャリアフィット」=「強み」×「場所」
この「場所」という概念が、『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』にはなかったものだなと思います。
●「後述するように、自分の「強み」とは絶対的な価値ではなく、あくまでも周囲との比較によって決まる相対的な価値です。そして、それは「強み」単体では大きな意味を持たないのです。
あくまでも「場所」と掛け合わせることで初めて、「強み」として意味を持つともいえるでしょう。」
●「誰もがイチローの野球センスや技術、才能のような、ずば抜けた「強み」を手にする必要はありません。草野球で活躍できるくらいの野球のうまさでも、それは強みを発揮する場所を変えれば十分意味を持ちます。
つまり、「場所」が重要なのです。自分の強みを活かせる「場所」、自分の強みがちゃんと「強み」として成り立つような「場所」をきちんと探すことのほうが、頑張ってイチローを目指すより大事なのではないかと思います。」
私も自分がやりたいことは何か、仕事として追求していきたいことは何かを考えたときに、思い当たるものはいくつかありました。
ですが、
「この分野には今更入れないよな」
「この仕事を自分がやっても、上には上がいるしな」
「もう既にやっている人がいるのに、自分が後追いでやっても意味ないよな」
などなど、できない言い訳を並べ立てるのは実に簡単。
自分にできる気がしないし、
できるようになったってすでにできる人には到底追いつけないし、
それなら挑戦しても意味がない気がするし…。
そんな風に考えて、やってみようと思う気持ちがしぼんでしまう。
でも、それを“どこで”活かすかという発想を持つことによって、
ここでは自分より上手の人が多くてできないかもしれないけど、
経験者が少ないような別の場所なら活躍できるかもしれない、と
場所を掛け合わせることによって、全然世界が変わるんだなと思いました。
そこに、八木さん著書にある「価値観」「得意」「好き」が合わされば、
もう自分のキャリアでブレブレになることもないのでは!?
なんて思いました。
「なんて思いました」と書いているということは、
まだ私自身ブレブレであるということ笑
たくさんの素敵な考え方に出会って、
自分軸で生きたいという思いを強くしています。
今休職していることはたぶん、自分の人生の岐路に立っていて、
「よく考えて、自分が納得する道を見つけるんだよ、その時期なんだよ」という神様からの思し召しだと思って、
今日も明日も、一日一日を大事に過ごしたいと思います。
(最後の最後、なんだかスピリチュアルになってしまいましたが笑)