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大江千里DAYS「鍵がなくてもコトは進む」

鍵がなくてもコトは進む。

ハンデイマンのエリックとうちの前の道端で会った時、

「Senri、この前貸した君の部屋の鍵、そろそろ返してくれる? あれは大事な僕のスペアキーなんだ」

10月も押し迫ってきた

そうだ、少し前に日本へ行って留守だった時、マネージャーにスペアを持ってもらうと何かと便利なので、エリックに貸してもらった。何度か会う度「返すよ」を繰り返すうち、もう半ば我が家のドアのフックに掛かってそのままになっていた。

チクタクチクタク

「エリック、相談だけど。また日本へ行ったりするとスペアが必要なんだ。少しだけ貸しといてもらえないかな?」

一か八かの道端交渉。

「ああ、いや、困るんだけど、そうか、必要か、どうしよ、そうか」

しばらくエリックが腕を組んで考えていた。そしてこう納得した。

「わかった、無くさないでよ。こっちはAlternative Way(代用案)を考えて対処するよ」

普段、泣き落としの利かないクールなエリックが、珍しく笑った。

不思議なことがいっぱい

「エリック、You're the man.(君は男の中の男だ。)  恩にきるよ、ありがとう」

「No Worries, my bro.(いいよ、兄弟。)   いい午後を」

うまくいくといいな

大家のジョーからエリックが手渡されているキーだから返さなきゃいけないけど、何かあった時また大騒動でエリックを呼び出すのは避けたかったし、ま、同じエリアで作業をしている彼だから、何が何でも必要なら、うちにstop byするでしょ。物は試しで言ってよかった。

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