マガジンのカバー画像

NEW DAYS ★ プチDAYS★ブルックリン物語

205
ブルックリン在住の大江千里が日々の暮らしを綴る6000字前後の読み応えあるエッセイ。「NEW DAYS」も仲間になりました。単行本『ブルックリンでジヤズを耕す 52歳からのひとり…
運営しているクリエイター

#大江千里

プチDAYS 「身体のことを知らなさすぎた!」

今年の秋は自分を見つめ直す時間だったと思う。 体の検査や治療をやった。今まではぴのことで頭がいっぱいで自分のことよりまずはぴファーストだったので、彼女がいなくなり何をしたらいいのか面食らってる日々が続いていた。そうこうするうち身体の症状で思い当たる節もあり、検査をしてみようと思い立ったのだ。 まずグリーフケアに定期的に通い始め少しずつ心をほぐしていき、その先生からの紹介でさらに心理学の先生とも対話をする。論理的な検証で見えてきたのは、心と身体は実は自分が思うよりもうんと複

プチDAYS「思いがけないDAY TRIP!」

どうしよう? 行く場所がない。 ホテルがダブルブッキングで出なきゃいけないことになった。シノゴの言っても始まらない。なので荷物を持って、買ったばかりのセブンのコーヒーを二つ胸に持って、公園のベンチに座る。 大きなスーツケースを抱えて早朝の壁打ちテニスを見つめる。そうだ。さっきコーヒーと一緒に買った卵サンドイッチを食べようと思い立つ。 「セブンの卵サンドをフライパンで両面焼くか、オーブンで焼くとめちゃくちゃ美味しいですよ。」 そう聞いたばかりばかりで思わず手が伸びて買っ

プチDAYS 「LIBの歌詞にある世界観」

みなさんは「LIB」はもう聞いてくれましたか? LIB=Life Is Beautiful 今回のこの先行シングル、apple, amazon, you tube, などのデジタル配信サイトですでに1曲販売しています。spotifyでも聴けます。ぜひSNSに何かpostする時のbacking musicに選んでくださいね。 この週末も「Beautiful」で参りましょう! Life Is Beautiful/ Ryoko Moriyama #RYOKOMORIYAM

プチDAYS 「爪が伸びるのが早い。」

僕がアメリカ生活で身につけたことは朝のコーヒーとベッドメイキングだ。 窓を開け空気を入れ、キッチンでシェルブからコーヒーメイカーを持ってきて3杯分コーヒーを淹れる。 ストレッチをして出来立ての湯気が立つコーヒーを飲みホッとすると、ベッドルームへ戻り散らかったコンフォートを綺麗にする。ホテルのピチッとしたあの状態のベッドにするのだ。 昔は起きたら起きっぱなしだったけど、このベッドメイキングをして皺を伸ばし左右対称にして、端っこのコンフォートたちをベッドの内側へ回し込み、ま

プチDAYS「秋は一番好きな季節。」

秋は年齢が60代になり一番好きな季節となる。 年々地球温暖化が進む中、季節感がどんどん薄れてゆく。そんな中ニューヨークの秋は意外に正直だ。街路樹の葉っぱが落ち、道の脇に枯れ葉が溜まり、その上を音を立てて歩く。それがジム帰りの日課となる。 一斉に古いアパートで動き出すヒーターも「どたん、かちゃん、ヒュルヒュルヒュル、、、、」と勇ましい。初夏以来?久しぶりに会う友人のように、また(秋冬が)やって来たか?と思う。や否や、部屋は「常夏の暑さ」となる。 一方いきなりまた外が30度

¥150

プチDAYS 「坊主ライフが始まった!」

丸坊主にした。 前からずっと(4、5年前から)やりたかったので、ずっとタイミングを見計らっていたのだが、ちょうどライブも一段落して、先週末に映像の撮影を終えて、取り急ぎ「表に出る」ことはないというタイミングを見計らい、散髪屋を探した。 そもそもエバン(いつも「NYC1のクールなスタイルにしてやる」を明言してやまない理髪師。)の予約があまりの人気で取れないことも理由の一つ。だったら前からやりたかった"坊主”にしようと。 そういえばエバンに大昔「坊主にしてほしい」と頼んだら

¥200

プチDAYS 「いろんな形のHB BASH!」

PND Records は8枚のジャズアルバムを出しているが、その全部を一緒に作っているのが有田純子さんだ。僕の本にも出てくるので詳しくは「9番目の音を探して」「ブルックリンでジャズを耕す」を読んでみてください。 純子さん=Junkoはニューヨーク在住30年。僕の学舎の「The New School For Jazz and Comtemporary Music 」の今も先生で、教鞭を取ってらっしゃる。通称Junko。 そのJunkoと誕生日が近いため、毎年PNDの打ち合

¥200

新新 *SenriとRyokoのおしゃべり泥棒* 6

撮影のあった翌日も、いつもの午後1時前になるとスタジオのベルを押して古いビルの中の迷路を行く。そしてAndyがスタジオのドアを開けて待っててくれる。今日もレコーディングの始まりだ。 僕が最近家で飲んでるブルックリンで一番安く手に入るコーヒーとおそろ、安くて尚且つおいしいエクアドルのコーヒーを、ノーランが手際良く淹れる。僕らはBスタジオ。この前みんなで賑やかにリズムを録ったAスタジオにはジャズビッグバンドのレコーディングがこの日入ってて、人懐っこいジャズメンたちが「よ!」と声

¥100
割引あり

新新 *SenriとRyokoのおしゃべり泥棒* 2

リズムの日は9曲録音する。アルバムの曲数が9曲、厳密にいうと8曲+ボーナス曲が1曲、合わせて9曲。 録音中何が起こるかはわからない。なので油断や楽観は禁物だ。10時間で一応スタジオをLock outという形で押さえてあるが、11時にはカウントオフして1曲目の演奏を開始する。僕がproduceするプロジェクトは11時と言ったら集合11時ではなくて本番の録音スタート11時だとみんな認識しているので、それぞれがその瞬間に向かって仕上げてくる。 映像チームのSamとStephan

¥100
割引あり

新新 *SenriとRyokoのおしゃべり泥棒* 4

雨女の異名をとるRyokoさんがブルックリンにやってきて居を構えてからのニューヨークは、コロコロ天気が変化する。にわか雨、ざーーと雷雨、カラッと雨が上がった後には、今度は虹が見える。 レコーディングのちょうど真ん中あたり、ボーカル録音をやっている過度期に1日外での撮影日を設けてあった。プロデューサーとしてはこれはdistribution labelから預かっている大事な案件の一つである。 still(スチール)カメラウーマンのトレイシーと日夜、 「当日100%雨か。予報

¥100
割引あり

特別寄稿 「時空越えの旅の栞」

ほぼ1カ月以上日本にいた。 なのでかどうかは自分でも定かじゃないのだが、ブルックリンやニューヨークの生活が随分に遠く、どこかへ減衰してるように感じられて。 不思議だ。それほど"BIG SOLO"が自分にとって没頭ツアーだったのだ。不安と気づきの間で何をやったかというと、ピアノとずっと戯れていて、記憶として一番残ってるのは客席を見渡す度に飛び込んできた顔だ。多くの人が笑っていて泣いていた。 あの涙の意味をうまく言葉で表現した友達がいる。オペラシティに来てた秋元奈緒美さんだ

プチDAYS 「BIG SOLOを考える」

BIG SOLOが終わって一夜明けると手首も指も肘も肩も意外や意外、全然大丈夫なのに驚いた。囁くような音から爆音に近い音まで弾いていたにも関わらず、実はそんなに力を使わずにまるで「風船を膨らます」ようにピアノに向かって、客席の熱気を吹き込んでいたのだ。 胃腸炎で倒れた後の2公演はピアノに慎重に触れるところからの再スタートだった。BLUE LIVE 広島のKAWAIのフルコンは、触れると前に触れた時の記憶を即座に蘇えらせてくれた。鍵盤の隙間に、目に見えない薄い膜を張り巡らした

¥150

特別寄稿 「青春63切符は知ってますか?」

ツアーがあっという間に後半戦に差し掛かった。 思えばブルックリンでの荷造りの日々。出来てたことと出来なかったことを抱えつつ朝ラガーディアへ向かったあの朝、まさかこの心に光が差してくる瞬間が訪れることを知る由もなかった。 ぴの逝去による悲しみで目の下が膨らみ、「歩き過ぎ、練習し過ぎ」で腰、背中、膝、手首、首、指が変調をきたし、幾つもの仕事の質も量もそれぞれが重く濃く、一旦一個に集中すると遅々として進まない全体像への不安と恐れ、茫然とする気持ち、それが霧のように目の前に立ちは

プチDAYS 「今週のサニサイを京都で録音してからサンダーバードで金沢へ!」

ここのところ流石にハードなスケジュールが続いている。 RYOKOさんのレコーディングをPVやTeaserでおさえるのでその監督Samとzoom meetingしなければいけないのだが、日本とニューヨークで互いの空いてるスケジュールがなかなか合わない。加えて僕の頭の中が「基本はET(東海岸時間)なのに今は日本にいて身体はJapan Time(日本時間)、でいながら伝える時それをもう一回ETに戻してSamに言わなきゃいけない」のがなかなか難しい。 譜面や音源等の資料を関係者で