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NEW DAYS ★ プチDAYS★ブルックリン物語

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ブルックリン在住の大江千里が日々の暮らしを綴る6000字前後の読み応えあるエッセイ。「NEW DAYS」も仲間になりました。単行本『ブルックリンでジヤズを耕す 52歳からのひとり…
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2022年10月の記事一覧

”まだ夢”アンコール「BIRTHDAY BASH」”後編“

“まだ夢”アンコール“前編” から続く最終回。 関学のコンサート「Birthday Bash」は「4つの夏物語」のアンコール公演であり、ツアーの事実上千秋楽だ。始まって2曲、最初のmcまでが生配信されてないことがわかった。 「今、復帰に向けてあらゆる手段を試みていますのでもうしばらくお待ち頂けますか? その間、申し訳ないですが、千里さん、繋いでください!」 会場も事情が手に取るようにわかるので心配そうにシーンと見守っている。 「じゃあ、この時間は少しスペシャルトークシ

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大江千里DAYS「鍵がなくてもコトは進む」

鍵がなくてもコトは進む。 ハンデイマンのエリックとうちの前の道端で会った時、 「Senri、この前貸した君の部屋の鍵、そろそろ返してくれる? あれは大事な僕のスペアキーなんだ」 そうだ、少し前に日本へ行って留守だった時、マネージャーにスペアを持ってもらうと何かと便利なので、エリックに貸してもらった。何度か会う度「返すよ」を繰り返すうち、もう半ば我が家のドアのフックに掛かってそのままになっていた。 「エリック、相談だけど。また日本へ行ったりするとスペアが必要なんだ。少し

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大江千里DAYS"10月は黄昏の国”

振り子のように揺り戻しがある。現実の忙しさに追われていると気がつくとズッポリ空想に耽ったりする。僕の10月のDAYSは黄昏の国。 数日前、N Yは暖房(セントラルヒーティング)が入ったのだが、また 振り出しに戻ったかのように暖かくなって、今日は冷房をかけている。2日目前ダウンジャケットを着ていたのが嘘のように、今日昼間は短パンにTシャツだ。10月というのは、こうして束の間の明るさが闇の深さをきわだたせる月だ。 怪異と幻想と夢魔の世界がなまなましく息づく10月。フランクロイ

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大江千里DAYS "N Yチャイナタウン探訪は楽しい"

「今夜連れてゆきたいチャイナ」by鹿取洋子。 今夜ではなくて昼間だが、一仕事終わってランチを取りに、マンハッタン中華街の行きつけベトナムレストランでPHO(ライスヌードル)を食べることに。 中華街は野菜も魚も安くて新鮮。意外に眼鏡屋も多くてこれまた安い。レストランも高級店から食堂まで、種類も様々。シュウマイや餃子をつまめる店からミシュランに名を連ねる四川料理店まで。正に万華鏡の楽しさがあるけれど、今日はカジュアルPHOスープ。それを達成するためよそ見はしない。 ぼんやり

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