作楽#11 アリス /紹巴織
1,デザイン
帯の元は図案。その図案は①図案展で競り落とす、②自社で図案を描く・制作する、③なにを元に(例えば、人間国宝の作品から許可を頂き、制作する)、などパターンはいくつかあります。
会社としては①〜③までバランス良く、私の場合②、③が多いです。ちなみに「作楽」は②がほとんどです。この②の場合、デザインするときは、様々なところからヒントを頂きます。この帯に関しては「不思議の国のアリス」の本からイメージしました。
おそらく子供のときに読んでいたはずですが、久々に読んでみました。このときの頭の中は『帯の図案、何かないかな?』状態ですので、文字を追いかけてながら、頭の中は「白いウサギを追いかけて、アリスが歩いた道」のイメージばかり。しかも、ページごとに色が変わって行きました。
そのイメージを図案にしたのが、この帯になります。
配色を変えて、様々織っていますが、普通は1柄につき2−3色の配色が限度。それがこの帯は無数の配色ができそうな感じがしています。
同時期に制作した英字「アリス帯」もありますので、それはまた後日、紹介させていただきます。
2,織組織/紹巴織
不思議な感じ、形が安定していない空気を表現したかったので、織組織は紹巴織。線をくっきり出すところもありますが、ほとんどの線は手で描いたような太細のある表現をしています。
この帯でいえば、グリーンはかなり強い色を織り込んでいるのに、効き色になりながら、結構まわりと調和した面白い感じが出たように思います。
ちなみに、上の写真の「縁の括りが濃いグリーン。その中に淡いぼかしたグリーン。」このフワッと感が、この帯で目指していたところでした。かなりうまく行ったと思っています。
3,お腹部分/ウサギと一緒に
6通の帯です。
配色の異なるバージョンで、アリスの前を急ぐウサギの帯留めをコーディネートしています。実は、このウサギ、一旦立ち止まって、懐中時計で時間を確認している様子だったりします。
4,裏無地/花七宝
花の様にも見える七宝を大小を付け、横段に配置した「花七宝」の裏地です。七宝つなぎの古典らしさも、もちろんありますが、小さな七宝柄が入るだけで全体に動きができます。
裏地を結ぶこともできる両面仕様の帯です。
横段の位置を変えることでイメージの変化をつけることができるのも、この花七宝の面白いところです。
5,夏羽織や利休バッグへ
「夏羽織」
この帯デザインを元に制作した夏羽織。生地の透け感を活かしながら、色の発色を前もってくることを意識しています。地色の黒、軸となる白、グリーンや黄色などを挿し色に。
6,Online仙福屋でのアイテム
帯と懐紙入れのOnline限定セット
この帯で通算20柄目のご紹介となります。