オーストラリアで車が動かなくなった話②
の続きです。
オーストラリア旅行中、車が動かなくなり、親切なおじさんに助けてもらった話。
救世主”ポール”現る
突如、車が動かなくなったことが信じられず、しばらく呆然とする3人。徐々に現実を受け入れ、この状況を打開しようと色々な手を打ってみるものの車は微動だにしない。
停車位置は目と鼻の先。
キャンプ場入口で力尽きるキャンピングカー。
「せめてあと少し頑張れよ。」と訳の分からない怒りが芽生えてきた時、後ろからゴツい車に乗ったおじさんが近づいてきた。”ポール”という名前らしい。
「どうした?大丈夫か?」
(以下、雰囲気で訳します。)
一連のやり取りをキャンプ場から見ていたらしく、わざわざ入口まで戻ってきて声をかけてくれた。
「車が動かなくなってしまいました。」
英語が堪能な友人が対応する。
中学生英語で止まっている僕は、困り顔をして援護射撃するしかない。
「それは大変だな。ちょっとみてみようか。」
車から降りたポールは、僕たちの車のボンネットを開け、渋い顔で点検を始める。
「バッテリーが問題みたいだな。ちょっと待ってろよ。」と言うと、自分の車を僕たちの車の真正面に付け、ケーブルで手際よく車と車を繋げ始めた。
見守ることしかできない3人。
すると、ポールは自分の車に乗りエンジンをかけた。ジェスチャーで僕たちの車もエンジンをかけろと指示する。
言われるがまま車に乗り込みエンジンキーを回すと、
「ブルン!ドドドドドドドド…」
復活したあああ!
僕たちの車は何事もなかったかのように、荒々しい音を出し続ける。
この喜びは自分の子どもが産声上げた時にも匹敵するのでは、と想像妊娠ならぬ想像出産を味わう瞬間だった。
無事、車を所定の位置に止め、初日は安心して眠りにつくことができた。
ありがとう、ポール!
これから先、僕の中で”ポール”といえば、ポールマッカートニーでもなく、ポールスミスでもなく、あなたです。
高速道路で止まるキャンピングカー
2日目。ブルーマウンテンズの大自然を満喫した僕らは、当初の目的地であるメルボルンに少しでも近づくことにした。シドニーからメルボルンとは逆方向に進んでいたため、まずはスタート地点のシドニーに戻らなければいけない。一度見た景色を横目に見ながら、高速道路をひた走る。
シドニーに達したのは夕方だった。
よし、ここから再スタートだ!と気持ちを新たにしたその時、ブレーキをかけていないのに、車のスピードが落ち始める。
嫌な予感を全員が感じつつも、復活を願い運転を続ける。しかしスピードは一向に上がらず、元気がなくなっていく様子がわかる。
高速道路の真ん中で止まっては流石に危ないと感じ、路肩に寄せ、ブレーキランプを出した瞬間、音も立てずに止まってしまった。
日本帰国まであと5日。メルボルンまで残り約850km。
僕らを乗せたキャンピングカーは高速道路で完全に停止した。
続きは、次の記事で。(近日公開予定。)