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【前置詞】InとOn の論理 その③

【前置詞】InとOn の論理 その③

inとon

それぞれの対比
 out ⇔ in
 off ⇔ on
については、またいずれ取り上げたいと思いますが、今回の「その③」で、一度締めくくりたいと思います。

前回、前々回では、場所と時間におけるinとonの意味について取り上げました。

今回、最後にinとonの持つ
・意識的な距離感
について取り上げたいと思います。

場所、時間においてinとonを使いこなすときにも助けになる概念であると思います。

場所については、
・inは3次元的な空間の中
・onは面の上

時間については、
・inは月などの期間
・onは日にちや曜日といった時点、短い期間

自由度のたかいin、拘束感の強いon、といった違いで共通していませんでしょうか?
実際、

in(中)に対する反対語はout(外)
ですが、
onに対する反対語はoff(解放)
になることからも、onは自由度の低さ、拘束感を感じます。

今回、用例として何を持ち出そうかと考えていましたが、乗り物を例にとりたいと思います。

「乗り物に乗る」は、get in と get on どっち?
これも釈然としない方、多いのではないでしょうか。

inとonが持つ「意識的な距離感」で、ある程度説明ができます。

get in を用いる乗り物
・car, taxi, private(small) plane, boat など

get on を用いる乗り物
・train, airplane, ship, bus など

用法上、どのような使い分けのルールがあると感じますか?
乗り物の大きさでしょうか??

しかしトラックは、
"get in a(the) truck" 
ですし、
トラックよりも小さい、小型のバスが、
"get on a(the) minibus"
だったりします。


乗り物の分類から感じられるのは、自由度の違いではないかと思います。

自由度とは、
・単に貨物のように運ばれている感覚に近い乗り物なのかどうか
・その乗り物の「操作・運転」に対する意識上の距離感

これによってinとonが使い分けられているように思えませんでしょうか?

「タクシーはonじゃないの?」という声が聞こえてきそうですが、

確かに、専門の運転手がいるかどうかも自由度の高さや拘束感を感じる要素の一つかもしれませんが、
・決まったルートを走る
・決まった時刻に出発する
といったように、
プラットフォーム、システム、仕組みのように、ある意味の拘束感のある乗り物(運搬される貨物のような)であるかどうかがonが持つニュアンスだとすれば、タクシーは該当しないと考えることができます。

ちなみに、motorcycle(バイク), bicycle(自転車), horse(馬)については、"ride on" になりますが、これは意識的な距離感というよりは、またがって乗るため、物理的に上に乗るという単純な用法と考えられます。

例えば、
待ち合わせをしていて、相手が時間になっても来ず、携帯で「今どこ?」というやり取り、

待っている人:"Let me know where you are."
相手:"(I'm)on the way."

なんていう会話をしたりします。
"on the way"は、「途中」つまり「今向かってる」という意味になりますが、「待ち合わせの場所に向かっている道」(the way)の上(on)ということで、ほかの行先という選択肢の自由度は感じられず、運搬される貨物のような拘束感が感じられます。

それ以外にも、

"go on"(続く)
"keep on"(~し続ける)
ここで使われているonからも、何か他に選択肢がある様子はなく、わき目もふらず、一辺倒に続ける、続く、というニュアンスを感じます。

そう意味では、
"lock on"(ターゲットをロックオンする)
なんていうのもありますね。


「前置詞のby」について説明をした際に、

「ペンで書かれた」はbyを用いず、
"written with a pen"
withを用い、
「タイプライター(あるいはパソコンまたはパソコンのソフト)で書かれた」はwithを用いず、
"written on a typewriter(computer)"
onを使うと説明しました。

タイプライターは単なる「道具」というより、人が入力したものを加工して出力する「プラットフォーム」のようなものと解釈されるためなので、乗り物におけるonの理屈と近いものを感じます。

このように考えると、スイッチのonも、

「On」は、電気回路というシステムが閉じて、その回路上を電流が流れるという観点で、やはり乗り物におけるonの理屈と近いものを感じます。
電気回路は英語で "electrical circuit" ですので、まさにカーレースのサーキットさながら、決まったルートをぐるぐる回るイメージですから、on が適切なのがわかっていただけるかと思います。


まとめると、

・in
場所:3次元空間的自由
時間:期間、ある時間の範囲の中の自由
乗り物:運転・操作に対する意識上の自由

・on
場所:平面上での固定感
時間:日にち、曜日など、短い期間としての固定感
乗り物:運搬されるという拘束感


まさに意識的な距離感に基づくものなので、パシッとした説明は難しいところがあり、個人的な感覚と観点も多分にこみで「あえて言語化するなら」という説明であることは否めません。

inとonに限りませんが、特に前置詞の持つ意味に対する理解を練り上げていくためには、良い文章をたくさん読み、たくさんコミュニケーションをとることも重要だと思います。

ただ、テストでinかonか回答がわからず選択に迷ったとき、ここまで説明した「意識的な距離感」に基づいて判断してみてください。

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