瀬野河川

オタク趣味者。短歌・俳句を詠んでいきたい。

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幻想郷吟行記録 #1

氷面鏡地に足つけぬ女童かな  私はどこに来てしまったのかを見失っていた。  いつも通りの帰路を行っていたと思えば、いつの間にか辺りが霧に包まれていた。    寒い。一つ、身震いをする。  立冬を過ぎて厚手のコートまで引っ張りだしたばかりだというのに、ここまで冷え込むはずがない。  一体ここはどこなのか。  不安に駆られる気持ちからか、心臓ごと凍えてしまう感覚すら覚えた。  ふと正面を見据えると、そこには静かな湖面があった。  立ち込める霧の濃さを意に介さないほど、ある一

    • 「サラマンダーの卵はたぶん熱い」10首

      連作10首 ◇ 帰るなりネットに脳を繋いでるだからぜんぶがあおいろにみえる TRPGでなる31歳リザードマン職業冒険者魔法使えません スルメイカ千切れたチビの所だけつまみ続ける無聊の時間 酒場とかギルドで銅貨を貰いたい野鳥とかボスを狩りに行く日没 東京 自転車も歩行者も前進ボタン押しっぱの街にいる 奏でる意図のなく叩かれる太鼓ゲームセンター叩くのは鬼 夜林ざわめきライト5メートル間隔に ひゅん 走り去る二輪 手に二丁てのひらのくぼみに熱こもるスリースターあと