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ひらまつの歴史

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まあに店主

 今回は、フランス料理やイタリア料理などの高級レストランを展開する、ひらまつ(2764)の歴史について解説します。
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テトリス

 
クラシック



フランスの都市である、「バターを塗った食パンにチーズとハムを挟み、バター・薄力粉・牛乳・チキンスープを混ぜて加熱した ベシャメルソースをかけてオーブンやフライパンで焼いたサンドイッチ クロック・ムッシュー」の発祥の地パリや「フランスの大西洋沿岸に近いため、そこでとれるヒメジやカタクチイワシなどの魚を使った料理が多い」ナントを訪れた際、フランス料理に興味を持ちフランス料理の修業を積んだひらまつの創業者 平松博利さんは、パリから帰国した1982年 東京・港区に、「ひらまつ亭」というフランス料理店を作りました。


東京・港区は関東山地から流れ出る多摩川によってつくられた扇状地が地殻変動で隆起し、その上に富士山や箱根山などの噴火によって生じた粘土に近い火山灰が降り積もってできた武蔵野台地のほぼ中央部に位置するため、地盤が強いので地震による被害が少ない町であり、武蔵野台地上には多数の小さな谷があるので港区の地形は起伏に富み、さらに海も近いので、雲ができやすかったり 「斜面(付近の空気)の方が平地より日射で暖まりやすく、また夜間に冷えやすい」法則により風がおきやすかったりするので雨が降りやすく、1980年にIT企業本社やテレビ放送局などができ発展したなど経済的に豊かな土地です。こちらに第一店舗目をつくったので、平松さんは店を繁盛させることができました。

平松博利さんは見込みのある料理人を発掘し 料理を教え共に仕事をする内「人をまとめる為には経営の勉強をしなくてはいけない」と気づき、勉強している内 『どのメーカーが作ったワインが一番店の料理に合うかの決定の一切を社員任せにせず、自分も現地に行って様々なワインを試飲した上で、積極的に助言しなくてはいけなかった』『若い見習いシェフである社員達にはお金が無いので、自分の資金で 皆で共同生活できるアパートを借りるなど配慮すべきだった』と考え直しました。

平松さんは、5年間
「コック用の白いコートは、繊維の中心部分がマカロニのように空洞になっているため、密度が小さく熱も伝わりにくいので少しくらい火がついても溶けにくい綿でできていることが多いが、綿は熱を伝えにくいため綿でできている衣類にたまった熱は外に放出されにくい。そのためコックコートを着ている料理人は暑さを感じやすく、厨房の換気が悪く室温が上がるととんでもなく不快な環境となる。料理人が不快を感じる環境ではおいしい料理はできないため、厨房の空調を細かく管理することは大事」
「包丁の切り方が悪ければ、野菜の細胞をつぶして細胞内に閉じ込められているうま味成分が逃げ出したり 苦味が他の食材から移ったりしたり、魚の切り口がギザギザになってしまうと 断面積が広くなって筋肉中に蓄積されているうま味成分が逃げやすくなり、食材の味が変わることがあるので、包丁の基本的な使い方はマスターしなくてはいけない」
など料理の基礎を徹底指導し、以降は 自分で料理のレシピをかかせひらまつのまねではない自らの個性を出すよう促し、十分に能力が付いたと考えられる社員には積極的に自分の店を持たせました。そして平松社長は新たな料理人を育てその店に助っ人として送り込んだり、資金援助してそれを助けることに注力するようになりました。

資金力をつけるために、平松社長は1994年に、有限会社だったひらまつを株式会社化して資金調達しやすくしたり、1997年にそこで結婚式もあげられる高級イタリア料理レストラン「リストランテASO」・日常的に楽しめるように 高すぎない価格設定だが [ヨーロッパ風の内装][ワインとワインに合う ニンニク風味のオリーブ や フライドポテトなどの前菜も楽しめる]ヨーロピアンカフェ「カフェ・ミケランジェロ」など新店舗を次々に建て売り上げを増やそうとしました。
1991年にバブルが崩壊し、以降は日本景気が悪く、しかも1995年初頭に発生した阪神・淡路大震災の影響で、1994年時点で全国のGDPの16.6%(地域ブロック別にみると、GDPが一番大きい関東の次に大きい)があり、同年 全国の就業者数の15.7%(地域ブロック別にみると、就業者数が一番多い関東の次に多い)を占める近畿地方で火災が発生し約10兆円の経済損失が発生しました。また、1990年の冷戦の終結とともに、軍事機密とされてきたITの技術が民間に開放され、その結果マイクロソフトやグーグルなどが生まれ米国株が期待され株価上昇・ドル高による物価低下・個人消費拡大が起き、インフレ懸念のためアメリカ政府が1994年 金融引き締め(金利引き上げ)したので、住宅や自動車売買の低迷が起き米国景気が減速しました。そのため日本からアメリカへの輸出が減少し、日本経済はもっと悪くなりました。
平松社長は、
「バブル崩壊後 高貴な雰囲気・サービスが売りの高級料理店が衰退してしまい サービスが最低限でただ飲食物を売るだけの店が流行ってきたというのを見ると、「飲食店のサービス」に高額なお金が払われる時代は終わったと結論せざるを得ない。これからは高級料理店のほかに、結婚式場や美術館内の休憩所、リゾートホテルなどを運営していかなければ、ひらまつは生き残れない」
と発言しました。

社長の言う通り、ひらまつが
2007年に、国立新美術館で館内を巡る間 疲れたときに休むためのティーサロン「サロン・ド・テ ロンド」をオープンすると、「館内の他のカフェのようにセルフサービスでないところが良い、ゆっくりできる」と話題になり、
陸に囲まれているので波が穏やか・湾内に緑が豊かな大小60の島が浮かんでおりそこから養分が豊富な水が流れ込んでいるため真珠貝のエサとなるプランクトンが多く真珠の養殖が盛んな英虞湾(あごわん)の近くにホテル「ひらまつホテル&リゾート 賢島」を2016年に建てると、
『フランスでミシュラン一つ星をとった実力のフランス料理店 ひらまつが丹精を込めて創った「醤油麹漬けの鰆焼き」や「伊勢海老のソテー」など海の幸を使った高級料理を宿泊サービスと一緒に楽しめるなんてお得』
と話題になりました。

ひらまつの業績は成長し、同社の売り上げは「1996年9月期:30億円」から「2016年3月期:118.2億円」にまで成長しました。またひらまつは、
牛のほほ肉や子羊のスネ肉など原価が高くないが料理人の腕次第でおいしく調理できる食材を仕入れ原価を抑える・
2001年10月にフランス・パリにフランス料理店「レストランひらまつ サンルイ アンリル」をつくり、2002年2月にその店で[ミシュラン兄弟がフランスでタイヤメーカーを経営する際 自社の製品の宣伝を兼ねて自動車旅行者が立ち寄るべきオススメホテルやレストランを書いたガイドブックで1900年から二度の大戦中を除いて毎年更新されヨーロッパ人を中心に愛されている]ミシュランの一つ星を獲得し有名になり、フランス人から信用されフランス産ワインを卸を通さず直輸入させてもらい安く調達する
などの工夫により利益率を上げ、2014年には競合のDDグループ・WDI・うかい に大差をつけて高営業利益率をたたき出しました(ひらまつ -2014年3月期決算の営業利益率は25.23% , DDグループ -2014年2月期決算の営業利益率は2.88% , WDI -2014年3月期決算の営業利益率は2.51% , うかい -2014年3月期決算の営業利益率は3.19% )。

結果、ひらまつ亭ができたばかりの時から平松社長の下で修行し、自身も学び変わっていく社長の姿に共感した陣内孝也さんが、2代目社長として名乗りを上げてくれたため、平松さんは2016年6月に安心して社長引退することができました。

南極海で氷ができる際、海水が凍る時なるべく真水成分だけで凍ろうとする性質により、塩分が周囲に吐き出されることになります。この塩分が南極海の海水に混ざると高濃度の重たい海水ができ、この重たい南極の海水が沈みます。この沈んだ海水(南極低層水)は周囲に拡散します。南極表層の海水もこの流れに乗って拡散しようとします。
しかし、北大西洋(大西洋の赤道以北)の水が蒸発し風に乗ってアジア・アメリカ大陸へ飛んで行ってしまうため、北大西洋の海水の塩分が高くなり重くなり沈みます。この沈んだ海水(北大西洋深層水)が周囲に広がり、南極に向かっても流れてくるので、表層の海水はこの流れに乗って大西洋から南極に向かっても流れます。また、地球の自転の影響で生じた南赤道海流やそれがオーストラリア大陸にぶつかって生じたオーストラリア沿岸から南極に向かって流れる東オーストラリア海流・アフリカ大陸にぶつかって生じたアフリカ沿岸から南極に向かって流れるアガラス海流などもあります。
これらの海流に邪魔されるため、南極の冷たい海水は周囲に流れ出ることができず、南極圏にとどまり続けると考えられています。
ところが地球温暖化の影響で南極の氷が解け周辺の海水の塩分濃度が低下したので、南極海での海水の沈み込みが起きにくく、南極表層の海水が周囲に流れ出ようとする流れが起きにくくなりました。そのようになると、アガラス海流など南極海に流れ込む暖かい海水の流れを止めることができず、結果 南極海の海水温度が上がってしまいました。水温が上がったので2015年から2016年にかけて、南極はフランスの2倍の面積に相当する氷を失いました。南極海の海水温度が上がってしまったので、南極海から南米のペルー沿岸、そして太平洋に流れるペルー海流の温度が高くなり、エルニーニョ現象が起きてしまいました。

エルニーニョ現象の説明。
『日本列島よりかなり南東にある、島がほとんどない海域の海面水温が上がり水分が蒸発し 同じ地で大雨になって降り注ぐ。その代わりその地の海面近くの大量の空気が上に押し上げられ、その上昇した空気が、[地球は北極から見て反時計回りに自転しているので、赤道付近の空気は西に向かって移動したがる]に従い、東南アジア・インドの上空に移動しそこで下降する。結果 東南アジア諸国・香港など中国南部では太陽を遮る雲が発達せず、暑い日が多くなる。日本には基本的年中、中国南部にある揚子江気団から風が吹いているため、中国南部が暑いと日本も暑くなる』これを、エルニーニョ現象という。

2016年後半は、北日本で4個の台風が相次いで上陸し、また2015年末にピークを迎えた史上最大規模といわれるエルニーニョ現象の影響により大気が暖められ日本全国各地で高温状態が続いたので、国産生鮮野菜が上手く育たず大幅値上がりしました。原材料費の高騰で、ひらまつは経営が苦しくなりました。
また、ひらまつは結婚式もあげられる高級料理店も運営していましたが、2016年頃から 不況のせいか若者が結婚にお金を使わなくなり、ご祝儀や家族の援助ですべて賄い「記念写真を撮るだけの写真館」で結婚式を行う夫婦の持ち出し金額0円の「ゼロ婚」がはやりました。その影響で、ひらまつの婚礼関連の売上高はそろそろ頭打ちになってきました。

「2013年:1036万人」「2014年:1341万人」「2015年:1974万人」と訪日外国人旅行者数は年々増えました。特に「中国政府が大規模なインフラ投資を行ったこと」「金融緩和で住宅販売が加速したこと」により、2016年に中国の経済成長率が6%台を記録し、中国に輸出をしたり 中国からの投資を受け入れ港湾を完成させたり半導体メーカーの工場を建てたりして儲けている韓国も経済成長を遂げ、中国や韓国など東アジアからの訪日旅行者は、2016年に前年比23.1%増を記録しました。
これに着目したひらまつは、海外富裕層を自社のホテル・レストランの客層に取り込もうと メニューの3か国語対応(英語、中国語、韓国語)やスタッフが外国語を話せるよう社員教育に力を入れたり、「THE HIRAMATSU HOTELS&RESORTS 賢島」や「THE HIRAMATSU HOTELS&RESORTS 熱海」など自社のホテルを2016年に計3つも建てるなど、思い切った改革を行いました。
思い切った改革をしたので借金した分も多く、ひらまつの有利子負債は「2016年3月:83.6億円」「2017年3月:135.7億円」と増えましたが、改革が効いてきたため利益が出るようになり、同社の有利子負債は2018年3月には97.4億円にまで減りました。

シェフが漁業協同組合のメンバーと仲良くなり、そのメンバーに漁場近くの鮮魚店を紹介してもらったり、ひらまつが運営しているレストランウェディングを利用した農家夫婦に話をもちかけて野菜を直接購買させてもらった結果、福岡のイタリア料理店「リストランテASO 天神店」は卸業者を挟まず安く食材を入手することに成功しました。(2018年1月の話)

2018年中頃から「働き方改革」で定休日導入店舗を増やした結果、社員たちが自分の新作料理について深く考える時間ができ、「昔ひらまつで働いていた料理人・店舗スタッフたち全員が話し合って決めた、ひらまつの懐かしいメニューが贅沢に楽しめる期間限定コース」「オマール海老・トリュフなどフランス料理の高級食材をロールキャベツのようにキャベツの葉に包んで作った、フランス料理には珍しい多種類の食材を使った様々な味の組み合わせを楽しめる変わった料理をメインとするコース」などユニークな料理コースをつくる事ができ喜ばれました。

これらの工夫をしましたが、2020年はじめからコロナ禍がはじまり、結婚式や法人接待などがキャンセルされた結果、レストランウェディングや高級レストラン運営などを手掛けるひらまつは売上高が減少し、同社の純利益は2019年3月期から赤字続きになりました。ひらまつは経費を節約するために、2020年11月にレストランウェディングの店「ブラッスリーポール・ボキューズ 博多」を閉店したり、2021年12月にイタリア風カフェ「カフェ&トラットリア ミケランジェロ広尾」を閉店させざるを得なくなりました。また2022年12月にも、ひらまつは、東京の駅から歩ける距離にあるフレンチレストラン「レストランひらまつ レゼルヴ」を閉店しなくてはいけませんでした。

しかし、2023年4月29日に日本に入国する際のワクチン証明書・出国前検査証明書の提示が不要になり、外国人が日本に来やすくなりました。そのためひらまつは、2023年10月、11月にフランスのひらまつ提携ブランドからシェフを呼び昼食会・夕食会を開くことができました。
「ケチなので高いひらまつレストランには普段いかない私ですが、今回は海外の有名なシェフに会える特別な機会という事で予約しました。黒いダイヤモンド(フィリップ・ミル シェフが以前に考案した、ホタテ貝のすり身・焼き上げており香ばしいセロリのムースを黒トリュフで包んだユニークな料理)を味わうなど貴重な体験ができたので、大満足でした」
などの口コミが寄せられ、普段 ひらまつレストランを利用しない層も客に取り込むことができ、売り上げUPに貢献したようです。
ひらまつは2024年4月にそれまでなかった、
ひらまつ店舗での利用代金に応じてポイントが付与され、次回以降の支払いに利用できる会員証メンバーに店舗に行かなくてもスマホ上で登録できたり、「フランス料理によく使われるオマール海老は淡白な味なのに対し濃厚な味で知られる伊勢海老など伊勢志摩の海の幸を使った新感覚フランス料理」など新作料理の写真付き説明を簡単に見れ、スマホ上で行きたいレストランやカフェなどの予約を簡単に行える
ひらまつ公式アプリをリリースし、ひらまつのサービスが使いやすくなりました。

今後 ひらまつが、どのように世の中を変えていくのかに注目ですね。

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お疲れ様です。
貴重な時間を割き、お読みくださいましてありがとうございました。
次回は、ピザハットの歴史を紹介します。次回作は、年間全体ビュー数11000を超えたときにします。

まあに店主

サムネイル内で使った画像の引用元:
https://www.hiramatsu.co.jp/company/

https://pro.gnavi.co.jp/magazine/t_res/cat_2/a_2122/

https://www.hiramatsu.co.jp/

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まあに(SSR)
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