頭を打った後の危険|急性硬膜下血腫の解説と治療法
はじめに|急性硬膜下血腫とは?
急性硬膜下血腫は、脳を保護している頭蓋骨と脳の間の部位に出血が生じる病気です。具体的には、脳と脊髄を覆う3層の膜の中の「硬膜」という部分と脳との間での出血です。この出血は急速に増加し、結果として脳を強く圧迫します。特に高齢者にこの症状が現れることが多いですが、実際にはどの年齢層でも発症のリスクが存在します。
原因|なぜ急性硬膜下血腫が発生するのか?
急性硬膜下血腫の主な原因は頭部外傷です。事故や落下などの強い衝撃により、脳が傷つけられ、出血が起こります。また、頭部への大きな衝撃で脳の表面の血管が損傷されることも原因となります。脳挫傷や脳の直接的な損傷は意識障害を即座に引き起こすことが多いです。しかし、脳の損傷がなく、脳血管だけが傷ついた場合、意識障害は徐々に現れるため、早期発見が重要です。
症状
意識障害以外に、頭痛、吐き気・嘔吐、けいれん、めまい、麻痺、感覚障害などがあります。
診断方法|急性硬膜下血腫の確認
頭部のCT検査は、急性硬膜下血腫の診断に非常に有効です。CT画像上、脳の表面に白くて三日月型の血腫が表示されることが特徴的です。圧迫が強ければ、命の危険があるため、緊急手術が必要となります。血腫が大きくなると意識障害が進行する恐れがあるので、診断後は状態の監視が欠かせません。
治療方法
一般的な治療方法は、全身麻酔のもとで行われる開頭血腫除去術です。頭の骨を大きく取り除き、出血源を特定して止血します。重度の脳の損傷や脳腫脹がある場合、取り除いた骨を戻さずに皮膚を縫合する外減圧術が必要となることもあります。状況によっては、全身麻酔が困難な場合や緊急を要する場合に、局所麻酔で小さな開頭手術を行うことも考慮されます。
予後とリハビリテーション
急性硬膜下血腫の予後は厳しいとされており、手術を受けた患者の死亡率は約65%と言われています。しかし、完全に社会復帰することができるケースも18%存在します。早期の診断と適切な治療が、より良い予後をもたらす鍵となります。
まとめ
急性硬膜下血腫は、頭部外傷が原因で発生する重篤な病気です。早期発見と適切な治療が非常に重要です。特に高齢者や事故の際には、この病気のリスクを常に意識し、必要な場合は速やかに医療機関を受診することが求められます。