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【リストラ小説】会社棄民              ーある日、会社があなたの敵になるー   第一章⑧

 はい、この程度にしておきましょう。お疲れさまでした。ロールプレイングとはいえ、プライベートなことにまで踏み込んじゃってすみません。心臓がドキッとされたでしょう。
 執行役員は苦い目で首を少しひねった。

 いやあ、でも、さすがでした。今年四月一日に社内最年少の五十歳で執行役員に昇進されたのも納得です。あんな上手にアドリブで切り返すことはなかなかできませんよ。
「会社をやめろってことですか」と詰め寄られても、相手に言質を取られないようにうまくかわしたのは舌を巻きました。

 執行役員さんが入社されてから営業で数多くの実績を上げて輝かしいスペックをお持ちなのは伊達じゃありませんね。ほんと、すばらしいご対応でした。

 コンサルタントは小さく音を立てて拍手を送った。
 つぎの瞬間、人が変わったかのごとく目つきがキッと鋭くなり、がばっと立ち上がって声を高めた。

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