【リストラ小説】会社棄民 ーある日、会社があなたの敵になるー 第一章③
非常に興味深いデータがあります。タブレットの画面を下にスクロールしてください。四十代が百十五人、五十代は三十三人と出てきましたね。
これって、なんの意味か、わかります?
正解は、四十代と五十代で会社にとって存在価値のある社員の人数です。
人事部長に、各部署の所属長から各社員の勤務実態について事細かにヒアリングをしたうえで、四十代と五十代の社員を仕分けしていただきました。
まず、能力や適性をみて、やめるべき社員をスポイルしました。つぎに、三十代以下でも代わりがきく社員をスポイルしました。
そして、残った中から、会社に欠かせない社員をチョイスした結果、真に存在価値のある社員は四十代が百十五人で約三割、五十代にいたっては三十三人でたったの七・三パーセントしかいないのが実情です。
四十代の七割、五十代の九割以上、合わせて六百五十二人が会社の不要層であることが判明しました。人間で言えば、体重の半分以上がぜい肉です。
これマジ、ヤバいと思いません?
四十代や五十代でコスパの悪い社員をこんなにたくさん抱えてたんじゃ、新型コロナでなくても会社が万年赤字で無理ないって話ですよ。これ、まずいでしょ。非常にまずいでしょ。急いでダイエットしなきゃヤバいでしょ。
画面を下にスクロールしてください。過去三十年間の売上高と最終損益および社員の年齢別人件費などのデータが上がってきます。それらを見れば、リストラが不可欠であることがよくわかります。あとでじっくりご覧になってください。
いまの画面をいったん閉じましょう。
つぎに「希望退職」のフォルダーを開きます。画面が出ましたか?
はい、このとおり、割増退職金の支給と再就職の支援を行う希望退職制度によって、四十代と五十代を合わせて四百人の社員に会社をやめていただきます。
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