モーツァルトへの旅 91 その4 ウィーンⅡ 父の記録
父の遺品を整理していたところ、定年後に旅した記録が書斎から出て来ました。1991年と2000年ですから30年以上前の話。モーツァルトやバッハ、絵画が大好きだった父は独学でドイツ語も学び、独りヨーロッパへ旅立ちました。
父の文章、撮り下ろし写真やスケッチ、フリーのイメージ写真等を盛り込み、アナログで残された旅の記録をデジタルデータとして完成させ残してあげたいと思います。今回はモーツァルトその4です。
目次
モーツァルトへの旅 父の記録 その4
・ウィーン・モーツァルト・コンサートを聴く
・カーレンベルクの丘、ドナウ運河風景のスケッチへ
・ブリューゲルをみる (美術史博物館)
・リンケウィーンツァイレの街並みスケッチ
モーツァルトへの旅 父の記録 その4
その3・・紫 その4・・緑
12.ウィーン・モーツァルト・コンサートを聴く
シャワーを済ませ、スーツに着替えてからホテルの地階で軽く食事をとる。参加者18名、 19:00 ロビーに集合、今夕のコンサート会場はコンツェルトハウスである。(ここには大ホールのほか小ホールが二つある)、 地下鉄 (U4) に乗れば近いのでみんなでこれを利用しようと話し合う。
19:50 頃、H氏がみえないので会場へでかけていくと、手違いがあったとのこと、ホール受付では曜日は合っているが1週間後の土曜日の予約をうけていたとのことだった。 開演時間が近づいて服装を整えた人々が次々にホールへ入っていくが入場が許されず次第にあきらめの気持ちへと変わっていく。
しかし、まもなく、交渉した結果5名分のチケットがとれたので皆さんで話し合ってくださるようにという。しばらく話しあった結果、皆さんの方から、「若い人たちはこれからも機会があるから、年輩者(私を含めて)二人を優先し、あとはジャンケンで」という提案を承知してくださることになり、嬉しくも申し訳ない気持ちのまま、会場であるモーツァルトザールへ入ることができた。
というわけで、演奏はすでに第1曲めが終り、プログラムの2曲めから聴くことができた。当夜の演奏と曲目は次ぎのとおりであった。
演奏: WIENER MOZART ORCHESTER (ウィーン モーツァルト オーケストラ)
指揮: Manuel Hermandez Silva
ソプラノ: Nina Wadbro
バリトン: Michael wilder
フルート: Wolfgang Breinschmid
曲目
・オペラ「劇場支配人」 KV486 から 「序曲」
・オペラ「ドン ジョバンニ」 KV 527 から
フェルリーナのアリア(Sop〉Vedrai, carino 「恋人よ、さあこの薬で」
ドンジョバンニのセレナード (Bar) Deh, Vieni alla finestra 「窓辺においで」
ツエルリーナとドンジョバンニの二重唱〈Sop Bar) La ci darem la mano 「手をとりあって」
・ディヴェルティメント ニ長調 KV 136 から 第1楽章 アレグロ
・フルート協奏曲 第2番 ニ長調 KV314 第 1~3楽章
-PAUSE-
・オペラ「フィガロの結婚」 KV492 から
「序曲」
ケルビーノのアリア (Sop) Voi, che sapete 「恋とはどんなものかしら」
フィガロのアリア(Bar) Non piu andrai 「もう飛ぶまいぞこの蝶々」
・交響曲第40番 ト短調 KV550 から 第1楽章 モルトアレグロ
・アイネクライネナハトムジーク KV525 から 第1楽章 アレグロ
・オペラ「魔笛」 KV620 から
パパゲーノのアリア (Bar) Der Vogelfanger bin ich ja 「私は鳥刺し」
・交響曲第35番 ニ長調 ハフナー KV385 から 第4楽章 プレスト
なお、アンコールとして「トルコ行進曲」が演奏された。このコンサートは曲目からもわかるように、肩のはったものではなくウィーンのモーツァルト愛好者が遠来の客とともに気軽に楽しむといった趣向のもとに企画されたもので、クラシックなモーツァルトザールに調和したきらびやかなロココ調のコスチュームによる演奏がとくに印象的であった。
13.カーレンベルクの丘、ドナウ運河風景のスケッチへ
08:00 昨日買った72時間フリー切符でU4 ビルグラムガッセ駅から終点ハイリゲンシュタット駅までハイキング気分でいく、約30分間乗って終点ハイリゲンシュタット駅につく。
日曜日の朝のためか駅は閑散としている、駅前へ出てしばらく待っていると市バス38A系統がやってきた、バスは08:40発、ウィーンの森の北端にあるカーレンベルク行きである。
森の木々をみていると珍しい小鳥が枝を渡っているのが目に入った、日本の鳥ならカワラヒワかキビタキのようだが翼が緑がかった鳥だった。
ヴィヴァルディのフルート協奏曲の「ゴシキヒワ」を思い出すのだが、ウィーンにはゴシキヒワはいないのだろうか、 実際はどんな姿で、どんなさえずりをするのだろうか?
14.ブリューゲルをみる (美術史博物館)
11:00 頃、ショッテンリンク駅から地下鉄 (U2) に乗りマリアヒルファーシュトラーセ駅へ向う。ここからリンク通りへ出てマリアテレジア広場へ入れば自然史博物館と相対する美術史博物館の威容が望まれる。
この美術館はヨーロッパ屈指の美術館といわれ実に堂々たる姿である。私は、このたびの旅行の目的として先ずモーツァルトを訪ねること、次いでは、ぜひ、この美術館を訪ねたいと思ってきたのである。
チケット (95AS) を買って館内に入ると、 日曜日だからだろうか、かなりの見学者が入っている。正面から階段を昇ると、大理石造りの「怪獣ミノタウロス?(ケンタウロス)を打つテセウス像」が飾られている。吹き抜けの天井は装飾石柱に支えらられ、天井の絵画はラファエロを思わせる。
もともと、ここには北方ルネサンス絵画が多く、とりわけブリューゲルの作品の収集は世界的だといわれているのでなによりもピーテル・ブリューゲルを見ることとする。ピーテル・ブリューゲル(1530~1569オランダ)の「雪中の狩人たち」は30数年前に何かの口絵で初めて見て、同じ雪国生まれの一人として感ずるところが多かったことを覚えている。
その頃は未だ西洋美術史をほとんど勉強していなかったが時間を越えて親しみを覚えた記憶がある。ブリューゲルの展示室は建物東翼南側にあった。
雪中の狩人たち、をはじめとして、農民の踊り、牛群の帰り、農民の婚宴、フランドルの子供の遊び、(100種類以上の遊びが画かれている)などの作品が並び実にみごとである。
さて、もちろんこの美術館にはブリューゲルのほかにも著名な画家の作品が多い。これらの多くは美術史上の区分によればルネサンス絵画、バロック・ロココ絵画である。
15.リンケウィーンツァイレの街並みスケッチ
美術史博物館をでると時刻は13:00 だった。ピルグラムガッセ駅で下車したとき、リンケウィーンツァイレの街並みが 異国情緒を醸しているように思われたので、元気を出してもう一枚スケッチすることにした。
レヒテウィーンツァイレに立って向い側をみる風景である。細長い壁面に三角屋根が乗り踊っているようだ。窓にも変化がある、ゴシック風、ロマネスク風、かなり現代的機能的なものなど、そして装飾も多様である。
そんなことを感じながらペンを走らせるのだが、かがむと先がよくみえないので立ち姿勢を続けなければならない、ようやく形がまとまってくる、 縦の構図にしてなんとか雰囲気を画くことができたようだ。
その5 最終回へ続く
ご興味ある方は、詳細をblogでご覧いただければ幸いです。