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小澤メモ|Sb|スケートボードなこと。

5 ロスの愛されショップ。

スケボーのメッカ巡礼。
ウエストコーストのカリフォルニアはスケートボードの聖地のひとつ。坂の町(ダウンヒル)、サンフランシスコ。スケートインダストリーのスピンシティ、ロサンゼルス。サンフランシスコには、泣く子も黙る『THRASHER』マガジンを発行するハイスピード・プロダクションや、G.O.A.T.なスケート・ディストリビューションのデラックス(REALやSPITFIREとか)があって、マーク・ゴンザレスやジム・シーボがストリートをプッシュしている。ロサンゼルスには、スケートビデオの数々の名跡や、ベニス・ビーチからハンティントン・ビーチまでスケートパークが数多くあって、アンドリュー・レイノルズからナイジャ・ヒューストンまで新旧問わずスケート・スターがウヨウヨいる。

ロサンゼルスところどころ。
この町は、大きい。同じウエストコーストでも、プッシュやトライメットである程度はクルーズできるサンフランシスコやポートランドやサンノゼなどと違い、車での移動が基本になる。例えば、「ビデオでカーディエルがドロップインしてたところだ」っていうカーウォッシュのバンク・スポットから、「デーウォン・ソンが幅跳びしてた!」っていう用水路に移動する場合、寄り道したいスポットがいくらでもある。これでもかっていう品揃えの12インチレコードがある大型レコードショップのアメーバ・ミュージック。不動産王のブロード夫婦のプライベートコレクションを展示するミュージアム、“ザ・ブロード”(日本でいったら“高橋氏”とかって感じか)。ウォーホールからダミアン・ハーストにジェフ・クーンズなど、これでもかっていうほどのコンテンポラリーアートの最高峰の現物がフリーで堪能できる。

愛されスケボーショップ。
スケボー目線だと、有名ブティックがひしめきあうフェアファックスにある、ジューリッシュのデリカテッセンなカンターズ・デリもいい。店の奥にある個室で、エリック・コストンらスケート・スターが会食してたりする。ちなみにスケーターに人気のメニューは、ボリューミーなコーンビーフ・サンドだ。とにかく、あげたらキリがないほど、魅力的な寄り道スポットとスケート・スポットが、交互に点在しているのがロサンゼルス。そんな町で、偶然の旅行者が行ってもホッとするようなショップがある。それは、地元っ子に愛されているアーティストのロッティさんが経営するロッティーズ。本人がドローイングした、1枚きりのオリジナルデッキを見ただけでもグッとくる。そして、のんびりした感じで話しかけてきてくれる。基本、良いスケボー・ショップは、どこもオリジナル・アイテムの割合が高い。ようは、自分のスタイルをちゃんと発信しながら、そこに影響を受けたリスペクト的なものや、好きなカルチャーを物語ってくれるアイテムを足していく感じ。何でも新しいものが手に入る大都会ロサンゼルスにあって、ロッティーズにはロッティさんの青春時代からあったモノたちが主役だ。そして。額装された写真。大事故から復活したジョン・カーディエルのマニュアル。それは、ロッティさんのスケボー愛を静か、しかし雄弁に語る1枚だった。5
(写真はロッティーズの壁に額装されていた、半身不随の危機を乗り越えてきたジョン・カーディエル/2018年)

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