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小澤メモ|HELLO PANDA|パンダのこと?

12 良浜に初孫、おばあちゃんに。

双子の出産。
良浜の初めての出産。それは2008年9月13日のことだった。無事に生まれてきてくれたあかちゃんは双子だった。メスの梅浜(姉)とオスの永浜。その後も、海浜と陽浜の兄妹、桜浜と桃浜の姉妹を出産している良浜。パンダは双子を産む確率が高いといわれるが、良浜はこれまでの6度の出産のうち、双子が3組というのは、パンダが双子を産む確率を実証していた。ちなみに初代グレート・マザーの梅梅は、2組の双子を出産した。よく陽浜(現・成都アイドル的な)と桜浜(現・パンダラブツアー隊長的な)が、良浜似の美パンダ(パンダたちすいません、人間目線での美なのかもしれませんが)と称される。しかし、元祖というか良浜によく似たまるっとして小ぶりな鼻がかわいいのが梅浜。良浜にとっての第一子だった。

初めての冒険。
梅浜、生後8ヶ月齢。ミルクタイムのときだった。良浜の血を強くひいていて、しっかりしていて、その上、探究心が旺盛なあかちゃんだった梅浜。(明日やってやろう)と、昨夜のうちに思っていたのだろうか。ミルクを持ったスタッフのスキをついて、屋外運動場のモート(深い溝)へと突進していってしまった。スタッフは、とっさに梅浜の足を掴んだけれど、梅浜の気持ちはかたかった。未知との遭遇、深い溝の美しい緑の芝へとズズズとすべり落ちていった。行ったり来たりパンダ走りしながら、彼女は人生で初めてのひとりぼっちを体験したのだった。その後、ミルクを思い出したのか、モートをよじ登ろうとするのだけれど、生後8ヶ月齢の子パンダは自力ではどうにもならない。スタッフが手を差し伸べる。その手を掴む梅浜。スタッフは落ちないようにしながら引っ張る。その手にジャレようとしてまた滑り落ちていく梅浜。スタッフがまた手を差し伸べる。手をめいっぱい伸ばす梅浜。どちらも必死だ。こちらはというと、「おーい、なにしてるんだー。早く上げてくれー」と梅浜が言ってるように見えて、ついつい笑えてきてしまうのだった。

梅浜、成都でおかあさんになる。
高いところが好きで、パンダらしく木登りが得意だった梅浜。本能的にパンダは、ヒョウなどの天敵から逃げるために木登りが上手。熊並みのパワーを持ちながら、敵をやっつけるのではなく、まずは逃げるというパンダのメンタリティが好きだ。そのために遺伝的に磨かれてきた木登り術だけれど、降り方はいまいち体得していないところがさらに好きだ。2013年2月。梅浜は、双子の弟の永浜とともに中国へ旅立っていった。そして、2016年5月、無事(見事)に第一子を出産。梅蘭と名づけられたあかちゃんは、よく食べるジャイアントベイビーだった。その食いしん坊ぶりから、成都では四川の中華料理にちなんだ肉肉(ロウロウ)というニックネームの方が定着してしまった。名は体を表す通り、梅蘭は成都から別の施設に派遣された現在でも、とにかくよく食べて、とにかくデカくて、かわいい! 2016年、良浜は第8子になる結浜を出産すると同時に、梅蘭という初孫が誕生し、ついにおばあちゃんになった年だった。ちなみに、2018年、成都基地で撮影したときのこと(その後、別の施設へ派遣)。梅浜は、成都基地ではよく見る背の高い木のてっぺんまでスイスイと登って遊んでいた。アドベンチャーワールドにいた頃から高いところが好きだったという梅浜を思って、胸が熱くなった。きっとこの姿を見たら、あの日、モートへ初めて突進していった梅浜の冒険に巻き込まれたスタッフさんも、安心するだろうなと思った。12
(写真は成都で木登り真っ最中の梅浜/2018年)

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