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小澤メモ|HELLO PANDA|パンダのこと?
18 パンダ走り。
食べて寝てって、そんなイメージ?
パンダは寝てるか竹を食べてばかり。じっくりパンダを見ないと、そんなイメージが脳に沈殿してしまうかもしれない。パンダは栄養価の低い竹を主食にしているから、省エネモードになるところがあるかもしれない。それに、これはこちらの乱暴な形容だけれど、愛すべきアスペルガー的なところが関係するかもしれない。それは以前、中国のスタッフが、同じルートや場所を歩いたりする傾向があると教えてくれた。たしかに、よく観察していると、運動場をぐるっと周回しているパンダが、一歩一歩、足を出す位置がまったく同じだったりしたことがあった。それに1つのことしか考えられないから、様々な行動パターンを激しく活発にしているようには見えない。そんなふうに思われてしまう(かもしれない)。
パンダの名誉のために。
野生のパンダの生態をこの目で見たことはないけれど、飼育下のパンダについては、じっくりと見てると、いろいろな行動に出くわすことができる。パンダにとって大切な仕事(スタイル)である、よく寝てよく竹を食べて、それはもちろんだけれど、急にむくっと起き上がって頭をかいたりする。体がやわらかいからか、前足ではなくて、ぎゅーっと体を丸めて後足で頭をかいたりする。それとか、近くの竹ではなくて、運動場の別のところに放したままだった竹を、はっと思い出したように吟味しに行ったりする。こちらに近づいてきたかと思ったら、お尻をつきだして、ほとんど竹の緑色したうん●をしたりもする。遊具のようにレイアウトされた木を上手に登って、しかも意外なほど素早い動きで軽快に登りきって、こちらを見下ろしたり、飼育スタッフの声や動き、もしかしたら臭いも察知して、新しいエサがくるのをウェルカムしたりもする。パンダはパンダで、いろいろ動いている(忙しい?)。
巨体が左右に揺れる。
そんなパンダたちの行動の中で、もう最高に、個人的に惚れ惚れしてしまうのが、突如として駆け出す姿だ。これを、勝手にパンダ走り(ぱんだ・ばしり)と呼んでいる。過去に、何度かラジオにゲスト出演させていただいたときや、『ほぼ日新聞』での対談企画や、最近では文藝春秋刊『クレア・マガジン』の偏愛特集で取材していただいたときなど、パンダについて口を開けば、「パンダメンタル」(パンダをメンターにして日々の生活のヒントにすること)か「パンダ走り」について熱弁している。それくらいパンダ走りが愛おしい。パンダは、前足(手と書いたりもします)と後足の可動バランスが違うので、本人が一生懸命に走れば走るほど、体が左右に揺れて、かわいい耳まで左右に揺れて、プルンプルンという吹き出しをつけたくなる。プルンプルンと揺れながら、一生懸命に走る。何を思ってか、ひたすら走る。こちらが、思わず「かわいいー」と笑ってしまうと、(なぜ、笑うっ?!)というような感じで、ムキになって走る。パンダたちがいきなり走り出したその真意はわからないけれど、プルンプルンと揺れる姿はとてつもなく愛おしい。かわいい。実際に、見ていただけたらと願ってやまない(ちなみに、新しい竹が欲しいときやバックヤードに帰りたくて、頭をぐるんぐるんとして同じ行動をするときもありますが、それはここでいうパンダ走りのプルンプルンとは違います)。18
(写真はナイト営業中だったアドベンチャーワールドで駆け出すパンダ/2017年)