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小澤メモ|POPCORN MOVIE|映画のこと。

13 映画とY足しな話・白シャツ。

例えば、好きな映画たちの白髪白髭より白シャツ。
オナラが黄色で描かれるように、オヤジ臭って色があるのだろうか。もしも、臭いに色があったら、こちらオッサンB組は絶望的かもしれない。そんな危機感の反動か、加齢すればするほど眩しい白が好きになる。だからこそ、これだ!という好みの白シャツは持っときたいし、臭いを霧散させるほどにシャキッと着こなしたい。例えば、アカデミー賞を総なめにした『ラ・ラ・ランド』の主人公、ライアン・ゴズリングがそうだったけれど、背筋がピンと伸びて胸筋の張りもある大人の男は白シャツが映える。あと、忘れてはいけないのが、デビッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット主演の映画『セブン』。青空天国・ロサンゼルスを舞台にしながら、撮影時には雨が降り続いていたという。そんな雨に祟られた新米刑事ミルズの白シャツ。徹夜続きを思わせるヨレて黄ばんだ感じに、大味なレザーのジャケットといい、趣味の悪いネクタイといい、清潔感からはあえて遠い白シャツがまたいい。

ブラピ扮するミルズ刑事のガシガシいける白いシャツ。
白シャツといってもいろいろ。ノームコアなんていう造語も一時聞こえてきたけど、シンプルな服装をつきつめていけば、白シャツへと帰結する。もちろん、白いドレスシャツが最高なんだけれど、オッサンも若者もガシガシと着て、ガシガシ洗ってしまえるオックスフォードシャツは何枚持っててもいい。その何枚のうち、1枚はトム・ブラウンがいい。伝統的なオックスフォードシャツを踏襲しつつ、独特のシルエットとトリコロールカラーがアクセントになっていて、けっこう重宝してくれる。そういえば、NBAではキング・レブロンがキャブス時代にチームメイト全員にトム・ブラウン一式をプレゼントして話題になったっけ。胸筋どころかフィジカル・モンスターの彼らが着ても、しっかり期待に応えてくれる白シャツだった。

白シャツの猥談。
オッサンの誰もが持っている白シャツ。誰もが着る白シャツ。だから、その人たちの分だけ、思い入れやゴールデン・ルールやスタイルがある。だから、おいそれと白シャツについて書くわけにはいかない。ということで、白シャツについては好きな映画にちなんで少しだけ……。白シャツの種類は大まかにいうと、フォーマル、カジュアル、作業着、スポーツ、トライバルなどがある。フォーマルにはカッターシャツとかドレスシャツがあって、カジュアルなものにはボタンダウンシャツ、ネルシャツ、オックスフォードシャツなどがある。その他に、ワークシャツ、アロハシャツ、キューバシャツなど、まだまだある。それに、袖や着丈の長さ、ポケットのデザインなどのディティールと、タイトやゆったりといったシルエットも加味されてきて、そのすべてが白であれば、今回のテーマ、白シャツに当てはまる。

例えば、好きな映画の白シャツ。
大人の渋さや品の良さを白シャツに見出したいならば、デザイナー、トム・フォードが初めてメガホンを取った『シングルマン』がオススメ。主演のコリン・ファースの着こなしがとてもいい。スタイルの良さもさることながら、彼のブリティッシュ・イングリッシュが魅力的に映る。ブリティッシュ!といえば、その昔、社交界一の伊達男と呼ばれたボー・ブランメルがいた。彼は、足し算した奇抜な服装を否定し、徹底的に削ぎ落としたシンプルな出で立ちでスタイルが抜群だった。ちなみに、オッサンがつくり出す正体不明の加齢成分によって、愛しい白シャツが黄ばむのではない。白シャツというのは、ちゃーんと洗濯してもクローゼットに放置しておくだけで勝手に黄ばむものなのだ。だから、こちらオッサンたちは、臆せずにガシガシどんどん着た方がいい。なんなら毎日、毎日、白シャツを着てもいい。映画『ナイン・ハーフ』のミッキー・ロークのように、サイズ・ブランド・カウスとすべてが同じの白いシャツをひたすらストックしてひたすら着続ける。これぞ清潔な白シャツの狂気。13
(写真はパリのマレで見かけた白シャツ氏/2019年)

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