夜の点灯夫
キラキラと輝く街を上から眺める
この光は誰を照らしてるんだろう。
輝きながら、何を見ているんだろう。
どこにいっても明るいこの国は明るさを見せつけないと、国が終わるとでもいうように暗さを抱える。
夜の空を見上げて、なぜ向こうの方の空は白けているのか。
朝日も昇らない真夜中だというのに。
うちに秘めたどろどろの暗さを、人工の明るさで必死に隠そうとする。暗い部分はまるであってはならないとでもいうように。
人生50年というわれた時代から100年になった。
生きていれば暗いときだってある。
それでもその暗さを見せることを嫌う人が多いように思う。
私の方が。僕の方が。抱え込んでるのは人それぞれなはずなのに。
その暗さを見せつけまいと夜は必死で明るくなる。
毎夜誰かが明るさを灯す。
暗くならないよう。暗さを出さないよう。私もこの国の一員だと認められるように。
灯は絶えない。
ひたすら明るくなっていった先に何が待ち構えているのか誰も知らない。