CANSLIMの「I」とは?
「CANSLIM」は成長株発掘法の著者、ウィリアム・オニール氏の成長株の見極めに用いられる判断指標です。
オニール氏の理念は以下です。
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・CANSLIMを満たすかどうかで真の成長株かどうかを見極める。
・株価チャートで売買のタイミングを測り大きな利益の獲得を狙う。
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CANSLIMとは以下の頭文字です。これら全てを満たすと「大化け株」となります。(満たしていなくても有望銘柄として売買はOK、投資家の技量が試される)
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C(=Current Quarterly Earnings=当四半期のEPSと売上)
A(=Annual Earnings Increase=年間EPSの増加、高いROE水準)
N(=New Products, New Management, New Highs=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値)
S(=Supply and Demand=株式の需要と供給)
L(=Leader or Laggard=主導銘柄か、停滞銘柄か)
I(=Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)
M(=Marker Direction=株式市場の方向)
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今回は「I」(=Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)について詳しく取り上げます!
CANSLIMの「I」とは?
重要な株価上昇を起こすには「大きなバイイングパワー」が必要です。
そう、個人投資家がいくら、とある銘柄に惚れ込んで、みんなでセーノ!で買っても、その株価上昇はたかが知れているのです。微動だにしないことの方が多いでしょう。
「大きなバイイングパワー」を持っているのは「機関投資家」です。莫大な資金を運用する機関が買う銘柄に希望があるのです。
ロビンフッダーが2020〜2021年はGMEやAMCなどの銘柄を個人パワーでぶち上げたけど、あれは悲しい結末しか待ってないので触らない方が良いぞよ。正真正銘の博打じゃ。
さて、「機関投資家」とは誰のことを指すんでしょう?
機関投資家といえば、例えば以下のような組織を指します。
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・投資信託
・年金基金
・ヘッジファンド
・保険会社
・大規模な投資顧問会社
・銀行の信託部門
・国家機関
・慈悲施設
・教育機関
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要するに、上記のような機関投資家が買う銘柄を買いなさい、ということです。素直に機関投資家が評価する銘柄に乗る。これが一番安全なのです。
アナリストレポートなどの買い推奨などは短期的に株価を動かしますが、機関投資家の持続性のあるバイイングパワー、セリングパワーに比べたらゴミ同然。
機関投資家の動きを把握する方法を、オニール氏は著書「成長株発掘」で述べています。ここから紹介していきます。
株主の質と増加数に注目する
ここでは4点チェックポイントがあります。
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買いを検討している銘柄は...
⑴ 何社の機関投資家に保有されているか?
⑵ 最近の数四半期で、保有している機関投資家の数が着実に増加しているか?
⑶ 直近四半期で、株主数が著しく増加しているか?・・・最重要ポイント。数四半期ほど継続して売上と収益を伸ばし機関投資家の保有も増えている銘柄が最も適した買い銘柄。
⑷ 株主となった機関投資家は誰か?(業界トップクラスのファンドマネジャーに保有されている銘柄を探す)
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⑶の機関投資家が直近四半期で購入した銘柄を確認するのは非常に大切です。
既存保有分よりも新規ポジションが重要です。直近の新規ポジションがこれから最も「LONG」、つまり長期保有になります。
また、機関投資家の基本スタンスは購入後に「増し玉」です。断続的な機関投資家の買いが株価を何倍にも押し上げます。
機関投資家の新規ポジションは言わば、「テンバガー(10倍株)」の入り口とも言えるのです。
機関投資家は買い増していくのです。個人銘柄の押し目買い戦法とは正反対ですね。
ここからは⑷ 株主となった機関投資家は誰か?(業界トップクラスのファンドマネジャーに保有されている銘柄を探す)について。
オニール氏が信頼しているとしている老舗ファンドを見ていきましょう。
オニール氏が信頼しているファンド(一部の例)
(「オニールの成長株発掘法」から抜粋)
□ FCNTX(Fidelity Contrafund)
ウィル・ダノフ氏が運営している「フィデリティ コントラファンド」。
(Will Danoff, Fidelity® Contrafund®)
□ American Century/TWHIX(Heritage・Gifttrust)
ジム・スタワー氏が運用する「アメリカン・センチュリーファンド」の「ヘリテージ」と「ギフト・トラスト」。(コンピューターを駆使して運用)
(Jim Stowers, Founder, American Century Investments®)
□ LOMMX(CGM Mutual Fund)
ケン・ヒーブナー氏が運用する「CGMミューチュアル(&フォーカスファンド)」。
(Kenneth Heebner, CGM Mutual Fund)
注意点:機関投資家の「過剰保有」
機関投資家が過剰に保有している銘柄は、マーケットが弱気に転じた時に大きな売りが起こってしまいます。
例えば、AIG株は3,600社以上の機関投資家によって保有されていたが2000年は株価100ドル、2008年には50セントまで暴落。
株価が値を上げている銘柄にファンドが群がり、値動きが悪くなった途端に一斉売りが発生する可能性を秘めています。
機関が買ってればとにかくイナゴ!というわけにはいかなそうですね。株って難しい。
まとめ
平均以上の投資成績を残している機関投資家が少なくとも数社は保有している銘柄で、さらに最近の四半期で機関投資家の数が増えた銘柄を買いの条件としていきましょう。