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【NVDA】CPU参戦で話題のNVIDIA(エヌビディア)の株価を業内容や決算を含めて徹底分析!業績やチャートを含めてCANSLIM分析を実施。
(このマガジンは取り上げた企業の投資を推奨する意図は全くないことを改めて確認いたします。企業の業績チェック、ビジネスモデル、新着ニュースをシンプルに定点観測する読み物です。)
ワシらのマガジンで分析した米国企業については以下の目次で纏めておるぞ!
今回の記事はNVDAの銘柄解説じゃ!主に事業概要やビジネスモデルについて読んでいただきたい!
最新決算と最新のCANSLIM分析は順次上記の目次につけたしてゆくぞい!
NVDAは決算末が1末であるため、他の企業と決算発表が約1月ずれており1Q決算は米国時間2021年5月26日(日本時間5月27日 朝6時)となっています。決算速報については以下をご覧ください。
当記事ではビジネスモデルを中心にご覧いただければと思います。
NVDAは2020年に大幅に成長し、更にソフトバンクグループからのARMの買収表明、独自CPUの開発に乗り出すと話題に事欠かないハイパーグロース企業です。
ただ、ワシもそうじゃったが、そもそも何をしている企業かわからんよの。半導体?GPU?CPU?という衆が多いのではないじゃろうか。
確かにふんわりとしか、いやふんわりとすら意味がわからないです。。
本日はNVIDIAについて、筆者のような半導体について疎い方にも出来る限りわかりやすいようにお伝えした上で(間違っていたら指摘していただければ嬉しいです。最近は同社も今ホットなメタバース関連でも注目を集めていますね。
最近バズワードになっている「メタバース(Metaverse)」とは?重要銘柄 $NVDA $U $RBLX $MSFT $FB について|戦国米国株式市場の戦い「〜俺たちのAll Time High〜」 #note https://t.co/pYdyBE5wQ6
— メタ次郎@戦国のバズーカ (@hidejiromoney) November 21, 2021
NVIDIAの事業分野と今後の将来性についてお伝えした上で、今までの業績分析を行いオニール流のCANSLIMをおこなっていきたいと思います。
NVIDIAについてはワシが今後決算発表される度に定点観測してゆくゆえTwitter(@nobutaro_mane)をフォローしておいてくれい!随時他の銘柄を含めて配信していくぞい!
2021年5月26日の14:00(PT)、日本時間5月27日の朝6時に発表される決算の後に速報をだすぞい!
1.会社概要
企業名:Nvidia Corporation
本社:Santa Clara (カリフォルニア州)
設立年月日:1993年
IPO:1999年1月22日(NASDAQ)
事業概要:GPUの設計を手がける世界有数の半導体製造業
2.NVIDIAの創業に関して
まずはNVIDIAの創業に関してです。(ただ正直半導体について全くわからない状況で読んでも難しい内容となりますので、興味がない人は読み飛ばしてもらえればと思います。)
NVIDIAは1993年に以下の3人によって設立されました。
Jensen Huang (現CEO)
台湾系アメリカ人でLSI Logic社のCoreWare担当ディレクター、Advanced Micro Devices(AMD)社のマイクロプロセッサ設計者であった
Chris Malachowsky
Sun Microsystems社で働いていた電気エンジニア
Curtis Priem
Sun Microsystems社でシニアスタッフエンジニア、グラフィックスチップ設計者
創業者であり現在のCEOであるJensen Huangは現在では競合のAMDの設計者じゃったんじゃな!
1993年、3人の共同設立者はコンピュータの次の波は、アクセラレーションやグラフィックスベースのコンピューティングであり、既存のCPUの計算速度では解決できないと考えていました。
代表的なものがビデオゲームです。ビデオゲームは大量な計算が必要で現在のCPUでは処理しきれない量の計算が必要になると同時に、市場が今後大きく成長するだろうとも考えていたそうです。
1993年といえば、まだワシも幼かったの。当時はファミコンからスーパーファミコンの時代じゃったの。あの当時と今とではゲームはまるで違うものになっておるの。
そのため、映像を描写するために定型的かつ膨大な計算処理を行うのに適したプロセッサであるGPU(Graphics Processing Unit)という新たな高速計算チップの設計製造を実現しました。(CPUとGPUについては後述)
今ではゲームやデータセンター、更に今後はAIを用いた分野でNVIDIAの製品は欠かせないものとなってきています。
3.半導体を種類を含めて概要を説明
まず、NVIDIAのビジネスモデルについてお伝えする前に、そもそも半導体とは何なのかという点について見ていきたいと思います。
3.1 半導体とは?
半導体についていかには詳しそうな日本半導体製造装置協会の記述をひっぱってきたのが以下じゃ。
半導体とは、電気を良く通す金属などの「導体」と電気をほとんど通さないゴムなどの「絶縁体」との、中間の性質を持つシリコンなどの物質や材料のことです。ただし、このような半導体を材料に用いたトランジスタや集積回路(多数のトランジスタなどを作り込み配線接続した回路)も、慣用的に"半導体"と呼ばれています。半導体は情報の記憶、数値計算や論理演算などの知的な情報処理機能を持っており、電子機器や装置の頭脳部分として中心的役割を果たしています。
参照:SEAJ
導体と絶縁体の間ということで半導体といううことですね!
まあ、それは性質の話で、一般的にワシらが半導体よ読んでいるのはICチップのことなんよの。以下では半導体といえばICチップのこととするぞ!(ICチップの基板に用いられておる素材が半導体なのです)
重要なのはICチップは数値処理や論理演算などの計算処理を行うパーツということよ!次の項目でみるが、生活や社会のあらゆる部分で半導体は活躍しておるんじゃ!
半導体として皆さんがイメージするのは以下のようなチップではないでしょうか?(以下写真の黒いチップの部分ですね)
ICはIntegrated Circuitの略で邦訳では「集積回路」とよばれています。このICチップは半導体基盤の上に電子回路を無数に詰め込んで集積させて形成されます。
一言にICチップといっても4つの種類があり、今注目を集めているには演算を行うロジックICです。
メモリ・・・データを記憶するIC
ロジックIC・・・演算等のデータ処理をするIC
ASIC(application specific integrated circuit)・・・特定用途向け又は特定顧客向けのIC
システムLSI・・・複数のICをひとつのチップにまとめたもの
NVIDIAはこのロジックICの分野で強みを持っている企業であり、当記事ではロジックICを半導体として呼んでいきます。後ででてくるCPUもGPUも全てロジックICです。
3.2 様々な分野で使用されている半導体
半導体は半導体として家電量販店などで販売されていないので分かりにくいですが、家庭の中では以下のような製品に使われています。
✅エアコン
✅炊飯器
✅パソコン
✅スマホ
✅デジカメ
✅テレビ
✅洗濯機
✅冷蔵庫
といった様々な家電に使用されています。電気を使い尚且つ計算を要するものには半導体は必要になります。
計算が必要なものに半導体ありということですね!
特にPCで使われているCPU(Central Processing Unit)はPCにおける中心的な処理装置として働く電子回路となっておる。中央演算処理装置ともよばれておるぞ!
家庭内だけでなく社会のあらゆる場面で半導体は活躍しています。例えば以下にも半導体が使われています。
✅銀行ATM
✅電車の運用
✅インターネットの中枢
✅効率良い物流システム
ちなみに2020年に最も半導体を使用した企業はAAPLでした。iPhoneやMac、iPad、Apple watchなど販売する殆ど全ての製品に半導体は必要不可欠な部品なのです。
3.3 今後期待されている半導体の活躍分野
今までは半導体の成長の牽引役はパソコンやスマートフォンでした。
しかし、今後は「モノ」に対するニーズからデータを活用した「コト」に対するニーズに変遷することが見込まれています。半導体は技術革新そのものが大きな需要をもたらす業界といえます。
今後半導体の成長を牽引するのは以下の領域です。
✅IoT (Internet of Things)
✅人工知能
✅自動運転
✅5G
いずれも超成長事業分野であることに間違いありません。これらの分野に演算処理を行う半導体は必要不可欠な製品なのです。
特に自動車が5Gネットワークに接続されて自動運転や電動化を行う上で半導体は非常に重要な役割を担うことが期待されています。
3.4 拡大が見込まれる市場規模
2021年時点の半導体市場は50兆円に近い水準になっています。
世界半導体市場統計(WSTS)は2021年の半導体市場規模が前年比8.4%増の4694億ドル(約48兆円)と、過去最大になると1日に発表。高速通信規格「5G」の普及や自動車産業の回復が追い風になる。新型コロナウイルス禍でもデータセンター向けなどで活況が続いている。
参照:日本経済新聞
以外にも2019年と2020年は縮小しておったんじゃな。今後の見通しはどうなんじゃろう。
東京エレクトロンのCEOは自信を覗かせておるの!
「半導体市場は2030年、100兆円規模になる。トランジスタの誕生から70年で50兆円規模になった半導体産業が、もう1つ出来上がる」と、東京エレクトロン代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)の河合利樹氏は言う。
参照:日経XTECH
東京エレクトロンは半導体製造装置をつくっている会社ですのでポジショントークの可能性もあります。
そのため、第三者的な統計を見ていきたいと思います。海外の統計サイトとして有名なStatistaでは2024年時点で6000億ドル(約66兆円)となっています。
また、WSTS(電子情報技術産業協会)のデータを元にして湯之上氏が算定した市場規模は以下の通り想定されています。
今後も継続的な成長が見込まれるということじゃな!
因みに足元の半導体が供給不足となっている要因については毎日新聞の記事が参考になりましたので興味のある方はのぞいてみてもよいでしょう。
3.5 垂直化が進む半導体業界
設計から製造まで行うインテルやサムスンといった企業もありますが、半導体の設計を行う企業と実際に製造する企業の分業化が進んできています。
画像は(@そーなんだ化学)殿の画像を引用させていただきました。
つまりNVDAはインテルと競合することはあっても、TSMCと競合することはないということじゃな!
それではいよいよNVIDIAがどのような企業なのかをお伝えしていきたいと思います。
4. NVIDIAが得意とする半導体はGPU
先ほどPCの演算を行なっているのはCPU(Central Processing Unit)と話を出しましたが、NVIDIAの主力はGPUの設計となります。参入を発表したCPUについては、後の項目でお伝えします。
GPUはGraphics Processing Unitの略で3Dグラフィックスなどの画像描写を行う際に必要となる計算処理を行う半導体チップです。
GPUは映像を描写するために定型的かつ膨大な計算処理を行うのに適したプロセッサです。一方のCPUはHDDやメモリ、OS、プログラム、キーボードなどのコンピューター全体から送られてくる情報を処理する司令官にあたります。
CPUを司令官とすると、GPUは定型化された大量の処理をスピーディに行う工場ということですね!
GPUは映像処理が必要なゲーム分野やAIの分野でも注目されています。
ゲーム業界ではなくてはならない、インテルが持つCPUだけでは最近のゲームはスムーズに動かないからの!なんと「NIntendo Switch」にもNVIDIAのGPUが使われておるんじゃぞ!
また、AIを急速に発達させた「ディープラーニング」で必要になる大量のデータを深い階層まで掘り下げ分析するため膨大な量の計算にはGPUが適しておるぞ!
NVIDIAは以下のようなGPUを製品として主に提供しています。
GeForce
PC向けのグラフィックプロセッサ
Quadro
業務向けソフトウェアの高速処理を行い
Tesla
データセンター向けのプラットフォーム
Tegra
モバイル向けのプラットフォーム
CPUを販売していたインテルとは同じ業界じゃが、特段競合していなかったことになります。しかし、以下でお伝えするとおりCPU事業に参入したことでインテルとも競合他社になることが明確になりました。
茶菓子TIME:NVIDIAのArm買収発表とCPUへの参入
NVIDIAは2020年9月13日のPress Releaseでソフトバンクグループが保有するArmを400億ドルで買収することを発表しました。
NVIDIAとソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」)は、NVIDIAがArm Limited(以下 「Arm」)をSBGおよびソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下「ソフトバンクグルー プ」)から400億⽶ドルで買収することに最終合意したことをお知らせします。
NVIDIA の最先端の AI コンピューティング プラットフォームと Arm の広大なエコシステムの融合により、共にイノベーションを加速させ、巨大な⾼成⻑市場へと事業を展開することとなり、AIの時代の最高峰のコンピューティングカンパニーが誕⽣します。ソフトバンクグループは、NVIDIA株式を保有することで、Armの⻑期にわたる成功に引き続きコミットします。
NVIDIA 創業者/CEOのJensen Huang(ジェンスン フアン)は次のように述べています。 「AIは現代において最もパワフルなテクノロジーであり、コンピューティングの世界に新たな波を起こしてきました。数年の内には、何兆ものコンピュータがAIを稼働させ、今⽇のインターネット オブ ピープル(IoP)の数千倍にも上るIoTを創出することになるでしょう。両社の連合は、AIの時代において優れたポジショニングの企業を作ることになります。
NVIDIAのAIコンピューティングとArmの CPUを取り巻く広⼤なエコシステムの融合により、クラウドやスマートフォン、PC、⾃律⾛⾏ ⾞、ロボティクスをエッジIoTへと進化させることが可能となります。そして、AIコンピューティングを世界の隅々まで届けていきます。
参照:NVIDIA.com
ARMは回路基礎を設計する企業であり半導体を設計や製造している企業ではありません。Armにライセンスを支払いArmアーキテクチャを使ってCPUを開発していくことができます。
NVIDIAは既にARMアーキテクチャでTegraを発売しておりAndroidタブレットなどに搭載されていました。この時に素晴らしいと知ったNVIDIAはARMに対して興味をもっていたと推測されます。
因みに昨今話題のアップルの独自CPUであるM1チップもARMアーキテクチャーで作成されています。
アームはCPUの設計においてノウハウと実績を持っており、この買収が成功すれば新たにCPUでも覇権的な地位を手に入れることができるようになります。更に今までArmに対して支払っていたライセンス料を支払わなくてもよくなるばかりか、半導体設計、製造企業からのライセンスを受け取ることができます。
パソコンのCPUがAppleのMIチップの登場によってARM系に移行する流れができていますね!ARM系の半導体はCPUは燃費がよいことで高く評価されてます!
そうなってくると、同じく回路の設計から半導体の製造まで行なっているインテル製のCPUがピンチということになるよの。
そして更に大きなニュースが発表されました。
そして2021年4月12日にArmアーキテクチャを採用した高性能CPU「Grace」を発表したんじゃ!なるほど、このためにArm買収したいんじゃなと合点がいったの!発売は2023年初頭ということで収益貢献には時間がかかるが期待できるの!
4月12日に発表されたPress Releaseを日本語で概約したのでご覧ください。
NVIDIAは本日、今日の最速のサーバーの10倍のパフォーマンスを実現するArmベースのプロセッサである、初のデータセンター用CPUを発表しました。
NVIDIA Grace™ CPUは、自然言語処理、レコメンダーシステム、AIスーパーコンピューティングなど、超高速演算性能と大容量メモリの両方を必要とする膨大なデータセットを分析する、世界で最も先進的なアプリケーションのコンピューティング要件に対応するように設計されています。エネルギー効率に優れたArm CPUコアと革新的な低消費電力のメモリーサブシステムを組み合わせ、高い性能と優れた効率性を実現しています。
NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンセン・フアンは、「最先端のAIとデータサイエンスは、今日のコンピュータの性能限界を超えて、考えられないほど大量のデータを処理しています。"NVIDIAは、ライセンスされたArmのIPを使用して、Graceを巨大スケールのAIおよびHPC専用のCPUとして設計しました。GPUやDPUと組み合わせることで、Graceはコンピューティングのための第3の基盤技術を提供し、AIを進化させるためにデータセンターを再設計する能力を与えてくれます。NVIDIAは今や3チップ企業となりました。"
Graceは、1兆個以上のパラメータを持つ次世代NLPモデルのトレーニングなどのワークロードをターゲットにした高度に特化したプロセッサです。グレースのCPUベースのシステムは、NVIDIA GPUと緊密に結合することで、現在の最先端のNVIDIA DGX™ベースのシステムよりも10倍速いパフォーマンスを実現します。
敢えて言おうぞ。よくわからん。
よくわかぬが、AIのディープラーニング用のCPUとなっておる!NVIDIAのGPUとArmのCPU技術を組み合わせることで、今までの10倍の計算量をこなすことができる凄いCPUをリリースするということじゃ!
ということじゃな。ワシは半導体の専門家じゃないゆえ、ざっくりと理解するので十分じゃと思うておる。
ただ、2021年4月19日に英国政府から国家安全保障に影響を与える恐れがあるとして、介入すると通知しました。Arm社のチップ設計が世界のスマートフォンの90%に採用されていることから、NVIDIAが世界の半導体業界で支配的な地位を得ることができるようになるためです。
7月30日を期限として、競争市場庁が市場競争および国家安全保障の面から調査および報告を行うと発表したことを受けて株価に下押し圧力がかかっています。
ただ重要なのは、市場がArmの買収を成功するとみているかどうかですよね?実際のところどうなんですか?
そち!鋭くなってきたの!レポートをみてみようぞ!
まず、以下はThe Motley Foolのレポートです。
しかし、一部の投資家は、この取引が成立するという希望を失っているかもしれません。Citi社のアナリストであるAtif Malik氏は、NVIDIAがArm社を手に入れる可能性はわずか10%だと見ています。一方で、NVIDIA社のCEOであるジェンセン・ファン氏は最近、この取引は2022年までに完了する予定であると述べています。
現時点では、取引が完了すれば、NVIDIAの株価が上昇する可能性がありますが、取引が実現するという期待は薄れてきているようです。NVIDIAがArm社を買収した場合、経営陣は、この取引がNVIDIAの調整後の粗利益と1株当たり利益にすぐにプラスになると予想しています。
Arm社との取引が承認されなかったとしても、NVIDIAは明るい未来に向けて十分な体制を整えています。現在、NVIDIA は、競争力のある堀を広げ、ハードウェアとソフトウェアツールのより安定したエコシステムを構築しており、将来の成長軌道を確固たるものにすることができます。経営陣は以前、データセンターにおける同社のアドレス可能な市場総額を1,000億ドルと見積もっていましたが、それは最近、世界で最もパワフルなコンピュータ向けに設計されたNVIDIA初のCPUである「Grace」が発表される前のことでした。
買収成功可能性は低いと見る向きがでてきているものの、Graceは発売されるという見方は維持されておるの!まあ、もともと先ほどお伝えした通りNVIDIAから出されたTegraはArmアーキテクチャで出されておるからの!
発表されてからの株価の値動き的にも市場も現時点ではどう捉えていいか迷っているという動きになっています。(実際、この件に関するレポートも少ない状況です
引き続き買収の行方と、GRACEへの影響については注視していきたいところですね。
茶菓子TIMEのポイント
✅ CPUの回路設計に強みのあるArmの買収が実現できればArmに支払うライセンスを節約できるだけでなくライセンス収入を見込めるようになる
✅ AI分野に特化したCPUで優れたポジションニングを有することができるようになる
✅ただ、買収が実現できるかは規制当局の介入もあり不透明
✅一方、Armアーキテクチャーを使った超高性能CPUのGraceは高速な計算が未困るAIのディープラーニング分野で大きく活躍することが見込まれる(2023年から)
5. NVIDIAの事業領域
それでは現在のNVIDIAの事業領域について見ていきたいと思います。NVIDIAは大きくわけて4つの事業領域があります。
分かりづらいですが、例えばFY2021とは2020年2月-2021年1月期のことを指します。
1月決算とはなかなか珍しいよの!
5.1 事業領域①:ゲーミング (5年平均売上成長率22%)
まずはゲーム事業です。
ゲームを自作したい方向けにパーツを提供したり、趣味で行いたい方に向けてPCを提供していたりしています。最近はGoogleのChromebookの中にNVDAのGPUを提供しています。
ゲーム事業はNVDAの主力事業の一つで順調に拡大しています。
2億以上のゲームがNVIDIAのGPUを搭載しています。その中でも収益の拡大を牽引しているのがNintendo Switchと言われています。
更に今後もゲーム市場は拡大しつづけることが想定されています。
【ニューヨーク共同】オランダの調査会社ニューズーは9日までに、2020年の世界のゲーム市場規模が前年比20%増の1749億ドル(約18兆4千億円)に拡大するとの予測を発表した。4月時点の予測(1593億ドル)を上方修正した。新型コロナウイルスに伴う「巣ごもり需要」が追い風となり、成長が加速した。
新型機やクラウドゲームの広がりで市場は活性化するとみられ、市場規模は23年に2179億ドルに拡大する見通し。日本で盛んなゲーム産業は恩恵を受けそうだ
参照:Yahooニュース
コロナで巣篭もり需要でゲームは伸びたよの!今後もリモートの流れはとまらんと思う。実際、ワシの元傭兵時代の同期も家にこもって(仕事中も)ゲームしておるからの笑
今後VRを用いたゲーム事業に成長可能性が高いとNVIDIAは見込んでいます。
5.2 事業領域②:データセンター (5年平均売上成長率82%)
データセンターは以下の事業領域が含まれます。注目される分野が目白押しです。
最初にお伝えした通り、AIの機械学習をするにあたっては膨大な計算が必要となるため、CPUではなくGPUが必要となります。
今後急速に需要が高まるAI事業やクラウドコンピューティング分野向けの事業となります。
因みにデータセンターとは以下のようなやつじゃ!映画の中みたいよの。膨大な量のデータを処理するためにデータセンターがあり。NVIDIAはこのようなデータセンター向けの製品に強みがあるんじゃ!
NVDAは一回はめ込んだICチップをプログラムレベルで書き換えることができるFPGAの販売もおこなっています。
FPGAによってDataセンターに置くサーバー用のICチップをカスタマイズすることができる製品です。
FPGAによって顧客が自分のサーバーの処理速度をあげたり、新しい機能を追加できるようになります。(BtoB向けのビジネスですね)
NVIDIAの成長の主因となっているのは間違いなくデータセンターです。特に2020年(FY2021)は急激な成長を実現しました。
Cloud事業を行なっているMicrosoftやAmazonをはじめとして錚々たる企業がNVIDIAの半導体を使用しておるぞ!シェアは急増しておる!
データセンター部門が成長力を維持できるかどうかが、NVIDIAの今後の成長にとって最も重要であることは言を待ちません。
因みに世界のデータ総量は現在2021年の約60ZBから2025年時点で175ZBと今後も急速に拡大することが見込まれています。今後も安定的に成長していくことが見込まれます。
5.3 事業領域③:Professional Visualization (5年平均売上成長率7%)
3つ目は売上構成比率6%と少ないですが、市場シェアの90%をとっており、成長余地はひくくなっています。
これはデザイナーを支える製品です。
車のデザインや建物とか内装をデザインする人達がオンライン上でGraphicを用いてデザインの議論をすることができるプラットフォームを提供しています。
5.4 事業領域④:自動車 (5年平均売上成長率11%)
自動運転がテーマとなってきている自動車分野でもNVIDIAは今後の成長が期待されています。
自動運転では画像をもとにリアルタイム処理の必要があるので、速度の速きGPUが必要不可欠となってきています。現在はまだまだ全体の売上の中では小さいですが、NVIDIA自信も成長分野として位置付けています。
TOYOTAや、ベンツ、NIOなどとも提携しておるぞ!
車一台に対して1GPUという時代がくればNVDAの活躍する余地は非常に大きいということができるの!
それぞれの分野における最新の動向については以下をご覧いただければと思います。最近はメタバース関連でも大注目されていますね。
6.NVDAの業績推移
それでは肝心の今まで発表された2021年1月末までの決算の内容をみていきましょう。(最新の2021年10末決算については以下をご覧ください。10月末決算は11月17日米国時間引け後に行われました。)
6.1 順調に伸びる売上
まず事業が伸びている場合は売上高の規模が順調に伸びていきます。以下はNVIDIAの過去からの売上高の推移と売上高成長率の四半期成長率です。
売上高は2019年に萎みましたが、コロナショック後に急成長して加速しています。直近は50%を超える成長率を実現しています。
ところで何故2019年は売上高が減少したんですか?
半導体市場全体の問題もあるが、これはNVDA固有の問題もあったんじゃ。
まず市場全体の問題からです。
2019年は日中貿易摩擦の影響で半導体市場全体が大きく落ち込みました。以下は2019年6月4日の日経新聞の記載です。
2019年の市場規模が4120億ドル(約44兆円)と、前年比12%減るとの予測を発表した。昨年秋時点の前回予測では2.6%の成長を見込んでいた。米中貿易摩擦などにより景気が不透明感を増しており、電子機器などの需要が落ち込むとみている。
減少率はリーマン・ショック後の09年(9%減)を上回る。IT(情報技術)バブルが崩壊した01年に32%減って以来の水準だ。
WSTSは予測を下方修正した理由として、米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題といった世界情勢の変化や、スマートフォン需要の頭打ちを挙げた。18年まで半導体を大量に調達してきた米データセンター事業者が在庫調整に転じるといった動きも重なった。
次にNVDA固有の問題についてもお伝えしていきます。
茶菓子TIME:2019年1月期の業績が悪化した理由
では2019年1月期(2018年2月〜2019年1月期)にNVIDIAの業績を悪化させた個別要因についてお伝えしていきます。
軟調の原因は「仮想通貨のマイニング低迷」です。NVIDIAは高度な計算を要するマイニング用のGPUを販売していました。
マイニングについては猿が分析したマイニング企業であるMARAでわかりやすく説明しておるぞ!
2017年はご存知のように仮想通貨バブルの発生でマイニングの需要も盛り上がりました。しかし、2017年末に1BTC=230万円の高値を付けましたが、22018年に入り仮想通貨は大暴落し2018年12月現在40万円程度となりました。
仮想通貨はマイニングに協力すると報酬として仮想通貨が支払われるので、仮想通貨の価格が高い間はマイニング需要が盛んとなり、NVIDIAのマイニング用のGPUも好調に推移していました。
しかし、仮想通貨の暴落で需要が減少し在庫が積み上がり業績が急速に悪化してしまったのです。
そして更に仮想通貨マイニング用の生産を行なった結果、本来ターゲット顧客となっているゲーム製作者向けのGPUが不足するという事態に陥る業績の悪化に拍車をかけました。
2020年末から再びの仮想通貨の盛り上がりを受けてNVIDAは再びマイニング用のGPUを開発していますが、これはゲーム用のNVDAと製造ラインが違うのでゲーム用GPUには影響しないとしています。
イーサリアム マイニングの固有のニーズに対処するために、NVIDIA はプロフェッショナル マイニングのための製品ラインとして NVIDIA CMP (Cryptocurrency Mining Processor) を発表しました。
グラフィックス処理を行わない CMP 製品は、認定パートナーを通じて販売され、マイニングでの最高の性能と効率を実現するように最適化されています。これら CMP 製品は GeForce GPU に求められる仕様を満たしていないため、ゲーマーに対する GeForce GPU の供給には影響しません。
参照:NVIDIA NEWS(2021年2月19日)
過去の失敗を乗り越えて、糧にしておるということじゃな!
6.2 営業利益と純利益も順調に推移
売上が成長していても利益が軟調であれば意味がありません。
以下は売上高に加えてNon GAAPベースでの営業利益と純利益の推移です。売上高に連動する形で上昇しています。
以下は「売上総利益率」「営業利益率」「純利益率」ですが、利益率はともに上昇して安定していることが読み取れます。
メーカーなのに純利益立が40%というのはとんでもないですね!因みに上記の利益率は会社発表のNon GAAPベースで算出してますよ!
「GAAP」は会計用語の「Generally Accepted Accounting Principles」の略で、「一般的に認められた会計原則」、つまり、「米国会計基準」を指します。米国の株式市場に上場する企業は、「GAAP」のルールに沿った財務諸表を作成する必要があります。
一方、「Non-GAAP」はGAAPに沿っていないという意味で、「GAAP」ベースの数値から一時的な損益などを除いた「調整後」の数値を、企業側が参考値として開示したものです。「基調の」あるいは「実力の」数値を示すことが目的です。
株式市場では、「Non-GAAP」の数値が重視されます。株価は、様々な社会制度の影響を受けた「会計上の利益」よりも「“経済学的な”利益」「実力ベースの利益」に沿って動くからです。
参照:SBI証券
またROEはAAPLなどに比べると劣りますが、30%程度の素晴らしい数値を継続しています。
ROEが平均的に高い米国でも平均値は12%程度じゃからな。非常に高い数値であるといえるぞい!
6.3 株価にとって重要なEPSも堅調
株主にとって最も重要なのは1株あたりどれほどの利益を上げてくれているかということです。1株あたりの利益を表しているのがEPSです。
純利益が堅調でも発行済株式数が増加しれいればEPSは下落します。以下はNVIDIAの株式数ですが近年は殆ど変わっていません。
結果としてEPSは以下の通り純利益と殆ど同じ動きとなっています。
落ち込んだ2019年以降50%を超える高成長を実現しています。
7.今後のガイダンス:
株式市場にとって重要なのは未来の動向です。今後の見通しについて見ていきましょう。
7.1 会社発表の2022年1Qガイダンス
2021年1末の決算でNVDAは決算でガイダンスを以下の通りしめしています。
NVIDIA’s outlook for the first quarter of fiscal 2022 is as follows:
Revenue is expected to be $5.30 billion, plus or minus 2 percent.
GAAP and non-GAAP gross margins are expected to be 63.8 percent and 66.0 percent, respectively, plus or minus 50 basis points.
GAAP and non-GAAP operating expenses are expected to be approximately $1.67 billion and $1.20 billion, respectively.
GAAP and non-GAAP other income and expense are both expected to be an expense of approximately $50 million.
GAAP and non-GAAP tax rates are both expected to be 10 percent, plus or minus 1 percent, excluding any discrete items.
GAAP discrete items include excess tax benefits or deficiencies related to stock-based compensation, which are expected to generate variability on a quarter-by-quarter basis.
参照:Press Release
何をいっておるのかさっぱり。。
要素ごとに紐解いて落とし込んだのが以下の表じゃ!
非常に力強いガイダンスですね!
7.2 アナリストの売上とEPSのガイダンス
それでは株式市場のアナリストたちがどのように見ているのかについても見ていきましょう。
まずは売上高からみていきましょう。以下の通り、4月決算に関しては5390Mと殆ど会社発表と同じ数値となっています。
(2021年5月3日時点)
ただ、注目すべきは今後の成長率です。今年は34.1%の上昇が見込まれていますが、来年は11.5%と成長率の見通しが減速しているのは気がかりです、
次にEPSの予想についてみていきましょう。直近のEPSについては3ヶ月前から徐々に上方修正されてきており3.27となっています。会社予想から導き出した3.19よりも高くなることが見込まれています。
(2021年5月3日時点)
ミネルビ二も決算見通しが上方修正されている銘柄は魅力的としておるからの!
今年のEPSは13.54と前年の10から35.4%の上昇がみこまれています。
そして、翌年度は15.23と今期の予想から比較すると12.4%の上昇と、売上と同様減速することが見込まれています。
実際、Yahoo Financeでも今後5年間のEPS成長率は年率平均21.84%と、これまでの5年間に比べると成長が減速することが見込まれています。
(2021年5月3日時点)
まあ、既に十分大きな規模になってきておるからの。とはいえ、成長の減速はハイパーグロース企業としては痛いところよの。。
8.企業独自のKPI:各セグメントの売上高の推移
NVDAは各セグメントの売上高を発表しています。
それぞれのセグメント高の売上高を切り出すと以下となります。
【Gaming】
【Data Center】
【Professional Visualization】
【Automotive】
現状はGamingとData Centerが成長を索引しておるの!
9.財務状況とキャッシュフロー
財務の健全性とキャッシュフローについても十分に注視する必要があります。
9.1 借金は増加しているが問題ない水準
まずは有利子負債ですが、以下の通り増加しています。
ただ、重要なのは健全性が高いかどうか?支払利息は収益に影響を与えているのかという点です。まずは健全性ですが総負債を総資産で割った総負債比率は一定の水準で推移しています。
また、現在の有利子負債$7,597milは、後でお伝えする営業CF$5,822milで殆ど返済できるレベルで健全性という観点からは全く問題ありません。
次に支払利息が収益を圧迫していないかという点です。以下は売上高に対する支払利息率、純利益に対する支払利息率ですが、純利益ベースでも3%未満で収益を圧迫していません。
財務健全性に関しては全く問題ないといえるでしょう。
9.2 潤沢な営業CFを稼いでいる
次にお金の流れであるCash Flowです。
営業CFで稼いでいる金額が増えていますが、現状積極的に投資を行い事業拡大に全力を尽くしていることが読み取れます。
成長企業としては正しいお金の使い方じゃの!(昨年2Qの投資CFは証券購入が7400Mと設備投資7100Mとなっておる。7400M分何を購入したのか不明じゃったゆえ、何かしっておる衆おったら教えて欲しいところじゃ。
茶菓子TIME:競合のAMDとQualcom比較
NVIDIAと半導体設計で直接競合しているAMDとQualcommと簡単に数値で比較していきます。
以下は売上高とEPSの成長率です。いずれの企業も高い成長率を見せていますが、AMDが際立っているように見えます。
また、以下はバリュエーションとレラティブストレングスですが割安度でみるとQCOMやAMDに対してNVDAは若干高い水準となっています。
ただ、成長株の神として崇められているオニール流ではバリュエーションは基本的には無視するぞ!重要なのはEPSや売上高の成長率と、株価の勢いの強さであるレラティブストレングスや新製品、サービスのリリースとチャートの形じゃ!
上記のデータだけでは一概にどの企業がよいかを断ずることはできんぞ!
因みに2021年5月3日時点でのオニールのInvestors Business Dailyの評価は、
NVDA:93点
AMD:77点
QCOM:70点
NVDAはElectric Semiconductor Groupでトップの評価となっています。次の項目で詳しく紐解いていきたいと思います。
10.1 NVIDIAをオニール流に解析する!
ウィリアム・J・オニールは1962年10月から1964年12月までの26ヶ月で、自身の口座の資金を20倍に増加させました。(ちなみにまだ生きています)
彼は「マーケットの魔術師」に取り上げられており、1984年の「インベスターズ・ビジネス・デイリー紙」の発行者でもあります。因みに筆者はInvestors Business Dailyを購読して日々研究しています。
近年も大活躍しておるミネルビ二ももとにしておるのはオニールの投資手法ぞ!
オニール自身が投資手法について完結に纏めた言葉があります。
われわれの投資手法は、強いファンダメンタルを持つ企業、つまり独自の新製品や新サービスによってもたらされた大きな売上と増益を見せる銘柄を見つけ出し、そのような銘柄が適切に形成されたベース期間から抜け出して強気相場で大きく上昇を始める前に、正しいタイミングで買うということだ
-オニールの成長株発掘法-
ファンダメンタルだけでは片手落ちで良いタイミングで仕込む必要があるのです。
実際、オニールの本でも最初150Pほどを割いてチャートの解説を行ったあとCANSLIMへと移っています。
当記事ではまずはオニール流のファンダメンタル分析であるCANSLIM分析を行った上で、チャートについても見ていきたいと思います。
10.1 CANSLIMとは?
まずCANSLIMについてまとめたものが以下となります。
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C:◎
A:×
N:○
S:△
L:○
I: △
M:△
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因みに5月3日時点でNVDAのInvestors Business Daily上の総合評価は89点というレベルになっています。FBの96点に比べると劣るものの、先ほど茶菓子TIMEで見た通り業界ではトップの成績となっています。
10.2 C(=Current Quarterly Earnings)◎
当四半期のEPSが上昇していること。少なくとも18-20%、出来れば40%-100%、好況期であれば200%以上が好ましいとされています。
そして直近のEPS成長率の増加幅が以前より高くなっている必要があります。NVDAのEPSの推移を見てみましょう。
直近のEPS成長率を含めた過去5四半期のEPS成長率は以下となります。
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
■ EPS推移
※YoY = year over year(前年同期比)
Q4-2020:$1.89(YoY +136%)
Q1-2021:$1.80(YoY +105%)
Q2-2021:$2.18(YoY +76%)
Q3-2021:$2.91(YoY +63%)
Q4-2021:$3.10(YoY +64%)
※NVDAの年度末は1末です
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2020/4Qつまり2020年1月の決算以降堅調に推移しています。
2019年半導体産業全体が日米貿易摩擦もあって萎んだこともあり反動増となったことも影響しておるの!2020年も堅調に推移しておるの!
また、売上高は直近決算で最低でも25%以上の年率成長が必要としています。以下の通り売上高の成長率は加速しています。
「C」については完璧ですね。
10.2 A(=Annual Earnings Increase)×
オニールは過去3年のAnnual EPSが増加している銘柄を選べとしてます。以下はNVDAの年間ベースのEPSの推移です。
過去3年の平均EPS成長率は以下の通りとなります。
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
■ EPS推移
※YoY = year over year(前年同期比)
2018:$6.64(YoY +34.9%)
2019:$5.79(YoY △12.8%)
2020:$10.0(YoY +72.7%)
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2019年は半導体産業全体が萎んだことや茶菓子TIMEで説明した通り仮想通貨の暴落という要因によって沈み込んでしまったので、残念ながら「A」の基準は満たしていません。
ただ、ROEはオニールが基準としている17%の基準を大きく凌駕しているのはポジティブな点です。
10.3 N(=New Products, New Management, New Highs)○
先ほどの茶菓子TIMEでお伝えした通りGraceをリリースしてAI向けのCPUをリリースすることを発表しています。
それを受けて一旦新高値(New High)をとっています。(最後のチャートの欄でお伝えします。)
現状、2021年5月4日時点で高値抜けから3%下落してしまっておるが、ここが正念場よの!
10.4 S(=Supply and Demand) △
S(=Supply and Demand)は株式の需給です。まずは浮動株比率をみていきます。以下はNVDAの発行済株式数と浮動株です。
(2021年5月4日時点)
発行済株式数は620milの中で浮動株は589milとなります。浮動株比率は95%となります。時価総額は3670億ドルと約40兆円の規模になります。(既にトヨタの約2倍)
浮動株だけで40兆円以上あるので、少しの買いでは上昇しにくいので供給が多いという側面を考えるとネガティブです。
またオニールは大企業であっても経営者が1%以上の株式を保有することが望ましいとしています。
株価を引き上げるインセンティブがありますもんね!
NVDAのCEOであるJen Hsun Huangの2021年5月時点の保有数量は1,299,807株です。現時点の発行株は634,000,000株ですので保有株比率は0.2%となり十分ではありません。
とはいえ、8000億円分の株を持っておれば十分なインセンティブじゃとは思うがの。。
需要という面から直近の出来高と株価の値動きを見ていきましょう。
614.90を示現したあと、大きく出来高を伴いながら下落しましたが、CPUのニュースが4月12日にでてから大きな出来高を伴ってブレイクアウトしています。
新しい期待とともに機関投資家の購入を伴って648ドルまで勢いよく上昇しました。しかし、直近はArm買収に関して英国当局の介入のニュースや金利の上昇もあり株価は600ドルを割れる水準にまで萎んでいます。
しかし、出来高はあまり伴っていないことから機関投資家はまだ手放しいないと考えられます。つまり、売却しているのは短期筋や個人投資家とかんがえられるため、需給としては改善していると考えられます。
出来高と需給に関しては以下のツイートで例を用いて説明していますので参考にしていただけますと幸いです。
株価って面白うて、同じ量の買があれば同じだけ上がるわけじゃないんよのぉ
— 信太郎🏯投資に挑む天下人 (@nobutaro_mane) April 9, 2021
例えば
買増基調の長期保有投資家集団A
早く売りたい投資家集団B
しか株主がおらんと仮定して今株価が$100とする
集団Bが20%保有の場合を考える。つまり潜在的売り玉が少ない状態。
株式の供給という面では過剰ではありますが、需給という面では改善しているとみて△としております。
10.5 L(=Leader or Laggard)△
業界の中で主導的な動きをしている銘柄かどうかも重要になります。
アップルはInvestors Business Dailyでは「Electric Semiconductor Group」の中ではTopと主導的な企業となっています。
(2021年5月4日時点)
ですが、レラティブストレングスは80以上とされていますが、現状67という水準であり若干もの足らない水準ではあります。そのため○とさせていただきます。
11.4 I(=Institutional Sponsorship) △
結局株価が勢いよく上昇するかどうかは機関投資家が購入するかどうかに依拠します。
特にNVDAのような巨大企業においては機関投資家の買いは必要不可欠よの!
以下は直近までのNVDAに投資しているファンドの数ですが順調に増加しています。
因みに株主の41%はファンドという状況になっています。因みに機関投資家と合わせると71.3%となります。以下はファンドを含めた機関投資家の保有金額の推移です。
ファンドの数は増えていますが保有金額という意味でみると減少しています。2020年央からリターンが低かったため、資金が抜けていたことがわかります。
直近3末については、まだ5月中旬の提出期限まで出揃っていないのでCPUのニュースを受けて機関投資家の保有残高が増えているかを注視したいところです。
現在の保有上位の機関投資家とファンドは以下の通りとなります。
【機関投資家上位】
【ファンド】
オニールは大量に保有している機関投資家やファンドの成績にも着目すべきとしています。筋のいいファンドが投資している銘柄であれば自身がもてますよね。
ファンドの上位はインデックスファンドですが、3位のFidelity Growth Company Fundの成績は以下の通りS&P500指数を大幅に凌駕しています。
素晴らしいファンドもNVDAに投資していることがわかります。また、機関投資家のPrice (T.ROWE) AssociateはFBやAAPLでも紹介した通り高いリターンをだしています。
投資しているファンドや機関投資家の腕は申し分ないといえるでしょう。
10.7 M (= Market Direction)△
市場全体がUptrendなのかどうかという点は非常に重要になります。
アップルが上場しているのはナスダックです。ナスダック総合指数は2月から3月の下落相場を乗り越えて今週最高値を伺う動きとなっています。ただ、直近天井付近でもたつき機関の売り抜け日が増加しており危険水域に達しています。
(5月5日時点)
現状、オニールのInvestors Business Dailyでも今までのUptrend in ConfirmからUptrend Under Pressureに5月5日に格下げされています。
このような相場環境では、
✅投資銘柄の厳選
✅既存銘柄の買いましを控える
✅素早い利確と損切り
が必要になってくるとされており、トレンドとしては雲行きが怪しくなってきています。
マーケットに関しては最低でも週一回当マガジンでオニール流に分析してお伝えしていきますので、noteをフォローしていただけると幸いです。
因みに先週分については以下でお伝えしています。(先週末時点ではまだUptrend in confirmとなっていました)
→ (米国株式市場4月26日〜30日)今週の合戦の振り返り!株価3指数は横ばい、エネルギー・金融・通信サービスが株式市場を牽引。来週も怒涛の決算ウィークが続く。
11.NVDAの株価チャートを比較
オニールは良好なファンダメンタルの銘柄を最高のタイミングで仕込むことで最高のリターンをだせるとしています。
そんなオニールが最も株価が上昇しやすいパターンとしてあげているのがカップウィズハンドルです。カップウィズハンドルが何故株価上昇に適しているのかという点については以下でお伝えします。
ベーシックなケースではあるがオニール本を読んだ内容をもとに何故カップウィズハンドルが上昇に適したチャートなのかの図解が以下ぞ
— 信太郎🏯投資に挑む天下人 (@nobutaro_mane) April 23, 2021
①:上昇で利が乗った個人投資家や短期筋(a) の利確発生
②:aと機関投資家のポジション入れ替わり
③:a枯渇で上昇
④:③で買ったa達の振るい落とし
⑤:Go on!! pic.twitter.com/j3WCM3c9i4
以下は2021年5月4日時点の週足チャートですが、一旦最高値を超えてブレイクアウトしましたが、そこから株価は引き戻されています。
(2021年5月5日)
もう少し詳しく日足でクローズアップします。
新しくCPUに参入するという4月12日に発表されてから大きな出来高を伴ってブレイクしましたが、その後、Armの買収に関する英国の介入や金利の上昇、ナスダック全体の腰折れを受けて押し戻されています。
5月4日までは現状出来高が減少しているので機関投資家が売り抜けているという印象は受けませんでした。しかし、5月5日は大きな出来高を伴って売り込まれており、機関投資家も一旦手放している人たちも出てきていることが推測されます。
少し歪な形とはなりますが、648.57を上回ることができれば再びのCup With Handle形成ということで株価が勢いづくことがありますが、現状チャートとしては難しい局面になっています。
因みに筆者は高値抜けの4月13日に615ドルで購入しているので5月5日にオニールが絶対原則とすべきとする8%損切り基準に抵触して一旦逃げています。
12.まとめ
NVIDIAについてまとめると以下となります。
✅NVIDIAの創業者はAMDの元設計者
✅半導体基板の上に電子回路等を無数に詰め込んだものをICチップという
✅ICチップは様々な演算を行うことができる家電や社会インフラに必要不可欠な存在となっている。
✅今後はAIや5G、自動運転などの分野でますます存在感をましてくる
✅半導体業界は垂直分業化が進んでおりNVIDIAは半導体設計企業
✅NVIDIAが強みがあるのはGPU
✅GPUは画像処理などの大量計算をCPUより早く処理することができる
✅GPUはゲームやデータセンター、自動運転などに欠かせない
✅ICチップの回路基礎設計を行うArmの垂直買収を表明しているが英国当局から介入を受け不透明性を増している
✅ただ既にArmとはTegraというCPUをだしており、今後2023年にAI向けの高性能CPUであるGraceをリリース予定で市場を賑わしている(CPUへの参入)
✅2019年は米中貿易摩擦などで業界全体が落ち込んだが今後IoTや自動運転、AI時代の進展などにより需要の高まりを受けて半導体業界全体は拡大基調が維持されると見込まれている。
✅NVDAの売上や純利益、EPSは堅調に推移し成長率は高まっている。
✅2022年以降は売上とEPSの成長率の減速がアナリストからは見込まれている
✅ROEは40%近い高い水準で推移している
✅財務健全性は高く堅調な営業CFを有している。現在は投資に多くの資金を投入している。
✅FidelityのGrowth Fundなどの優秀なファンドも購入しているが機関投資家の保有残高は減少気味である。
✅チャート上は一旦CPU参入のニュースを受けて高値を抜けたが現在は英国政府介入ニュースや金利の影響も受けて下落基調。形上はCup with Handleを形成しているが、出来高を伴って下落しており機関も一旦様子を見ている可能性がある。今後再び前回の高値の上抜けを期待したい。2021年5月26日の第1Q決算に注目が集まる。