【SHOP/米国株銘柄分析】アマゾンキラーとも呼ばれるECプラットフォーム展開企業「ショッピファイ(Shopify)」の概要, ビジネスモデル, 今後の株価見通し(将来性/成長性)を直近決算とオニール流CANSLIMの観点から考察。
このマガジンは取り上げた企業の投資を推奨する意図は全くないことを改めて確認いたします。企業の業績チェック、ビジネスモデル、新着ニュースをシンプルに定点観測する読み物です。
Eコマース用のプラットフォームを運営するカナダの会社「Shopify(ショッピファイ)」を取り上げます。
(最新決算の詳細は以下目次記事に掲載しています↓↓)
キャナダァ!の会社です。
シッ。静かにして。
Shopifyはスクエア(SQ)と同様、POSシステムも提供しています。POSシステムについて詳しくはSQの記事で説明していますよ。
Shopifyは2015年4月14日にニューヨーク/トロント証券取引所にIPOしました。IPO公募価格は$17、初値は$28(+65%)でした。
今の株価からすると信じられない価格ですね。2021年6月24日時点で株価は$1508.44です。IPO公募価格から87倍です。とんでもないですね。5年でですよ?
2020年3月のコロナショック前はShopifyの株価は$500台でした。コロナショックで$305まで下げました。そこから5倍なのですね。強い銘柄です。現在の株価は以下です。
(2021年6月28日時点)
さて、今回の記事では、「Shopify(ショッピファイ)」の会社概要・ビジネスモデルと今後の「株価」の成長性を、直近の決算結果(Q1-2021)、そしてオニールの成長株発掘指標である「CANSLIM」の側面から掘り下げていきます。
秀次郎(Twitterアカウント)が担当者として随時更新していく予定じゃ。フォローしておいてくだされ。
中身は目次から知りたいところだけジャンプして読むと良いぞよ。全部読むのは大変じゃし、まじで疲れる故に投資を検討した時に「そういえば」的に活用していただけると有難いぞよ。わい自身も活用しておる。
会社概要
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・企業名:Shopify(ティッカーシンボル:SHOP)
・本社:カナダ、オンタリオ州オタワ
・設立年月日:2006年(6月にShopifyプラットフォーム立ち上げ)
・IPO(上場):2015年5月21日(NYSE/TSX)
・主要事業概要:eコマース用のプラットフォームとオンラインストアのテンプレート&POSシステムを提供。
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「eコマース用のプラットフォーム」と言われてもよくわからないですよね。大まかにいうと、Shpoifyを使って通販サイトなどを構築できるということです。例えば海外ではレッドブル、国内ではゴーゴーカレーのサイトなどがShopifyで構築されています。
(https://www.redbullshopus.com/)
設立は2006年となっています。2006年と言えば「時代の寵児(ちょうじ)」と呼ばれたライブドア(LD)前社長ホリエモンが逮捕された年です。村上ファンドの村上さんも逮捕されました。
あの頃の堀江氏、カッコよかったですよね。テレビ局を買収して本当に抜本的に日本を変えてくれると思っていました。当時筆者は高校生だったのですが、同氏のテレビ出演を見て熱くなった記憶があります。大人がホリエモンの悪口をたくさん言ってたような記憶もあります。
2006年は日本の人口が減少局面に入った最初の年でもありました。
2005年10月に実施した国勢調査に基づく日本の総人口が、1億2776万7994人で確定した。04年10月1日現在の推計人口から約2万2000人減少しており、総人口が前年を下回ったのは戦後初めて。06年10月1日現在の推計人口も05年を約1万8000人下回り、日本の人口が04年をピークに減少局面にあることを浮き彫りにした。一方、日本人女性1人が一生に生む子どもの人数に相当する05年の合計特殊出生率は1.26と過去最低を更新し、少子高齢化が一段と進行した。(引用:日本の人口、減少局面に)
さて、これまで様々なグロース株を見てきましたが、IPO後は若いと持て囃されている銘柄も、実は設立から20年近く経っていることがほとんどですね。2020年にIPOしたUnity softwareもShopifyと同じく2000年台前半の2004年の設立です。
アメリカン・ドリームって短期間で一気に億万長者なイメージだけど、IPOする銘柄は下積み期間がしっかりあって、様々な修羅場をくぐってきたことを伺い知れますね。創業者が上場後に株売って株価がチョイ下げし、個人投資家が怒り狂うの見ると、この世は地獄なのかと錯覚してしまいますね。何様なんでしょう。
Shopifyはカナダのオンタリオ州オタワに本社があります。以下はShopify本社の写真。お洒落。
なんか滑り台みたいなのもあります。
レセプションもなんだかトランス系ですね。いつもはギャルが受付してくれるのでしょう。
会社の歴史
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■ 設立〜NYSE/TSX上場(IPO)まで
・2006年:Tobias Lütke(リュトケ氏)とScott Lakeがスノーボード用品のオンラインショップ「Snowdevil」のオープンを目指してShopifyを設立。
確証は得られていないがたぶん上記のSnowDvilがShopifyの前身。
・2006年6月:2006年6月に「Shopify」としてプラットフォームを立ち上げ(Ruby on Railsを用いて2カ月で開発)
・2010年4月:Apple App Storeで無料のモバイルアプリを開始。Shopify社は、オタワ・ビジネス・ジャーナルによって、オタワで最も急成長している企業に選出。
・2010年12月:ベンチャーキャピタルの初期シリーズAラウンドで700万ドルを調達。
・2011年10月:シリーズBラウンドで1,500万ドルを調達。
・2012年2月:モバイルソフトウェア開発会社、Select Start Studios Incを買収。
・2013年8月:トロントに拠点を置く25名のデザインスタジオ、Jet Cooperを買収。Shopify Paymentsの発売を発表(マーチャント自身のクレジットカード利用可能に)。POSシステムの発売も発表。
・2013年12月:シリーズCで1億ドルの資金を獲得。
・2014年2月:大規模なEコマース事業者向けに、追加機能やサポートを利用できるエンタープライズソリューション[buzzword]「Shopify Plus」をリリース。この時点で、Shopifyプラットフォームでホストしている小売業者は約12万を突破。
・2015年5月21日:ニューヨーク証券取引所(NYSE)とトロント証券取引所(TSX)に新規株式公開(IPO)。NYSEでは、公募価格$17、取引開始価格は$28(+60%以上) 。
上場も良い滑り出したったんじゃな。
■ 上場後の軌跡
・2015年9月:Amazon.comがマーチャント向けサービス「Amazon Webstore」を終了し、優先的な移行プロバイダーとしてShopifyを指名。
・2016年10月:Boltmadeを買収。
・2016年11月:Paystackと提携し、ナイジェリアのオンライン小売業者が世界中の顧客から支払いを受けられるように。
・2016年11月:フラッシュセールを改善するモバイルアプリ「Frenzy」を発表。
・2016年12月:トロントを拠点とするモバイル製品開発スタジオTiny Heartsを買収。
・2017年1月:マーチャントがShopifyのストアからAmazonで販売できるようにするAmazonとの統合を発表。
・2017年4月:実店舗の小売店での購入用にBluetooth対応のデビットカード・クレジットカードリーダーを発表。Squareが提供するものと同様のDock and Retail Standを備えたPOSシステム、タップ可能なチップカードリーダーなど、実店舗の小売店向けの追加技術もリリース。
・2017年5月:自社のShopify App Storeのスターアプリケーションの1つであったOberloを買収(1500万ドル)。
・2018年10月:ロサンゼルスに初の物理的なスペースを開設。 Shopifyのソフトウェアを使用している企業のための「ジーニアスバー」、ワークショップなどを行うことが目的。
・2019年1月:フルサービスのテレビ・映画コンテンツおよびプロダクションハウスであるShopify Studiosの立ち上げを発表。
・2019年4月:ShopifyはSnapchatとの統合を発表。ShopifyのマーチャントがShopifyのプラットフォーム上でSnapchatのストーリー広告を直接購入・管理できるように(FacebookやGoogleとも同様の統合パートナーシップをすでに確保済み)。
・2019年5月:卸売品の企業間電子商取引プラットフォームであるHandshakeを買収(Shopify Plusに統合)。
・2019年6月:独自のFulfillment Networkを立ち上げることを発表(Amazon FBAに対抗)。
・2019年8月:マーチャントがShopifyの店舗をオンラインで訪れた顧客とリアルタイムで会話できる新しいネイティブチャット機能「Shopify Chat」の提供を開始。
・2019年9月:Shopifyはマサチューセッツ州に拠点を置くフルフィルメントソリューション企業である6 River Systemsの買収を発表(約4.5億ドル)。
・2020年3月:従業員の完全なリモート化を行うことを発表。5000人以上の従業員が、コロナウイルス感染症2019の急速な広がりに対応して、自宅での作業を開始。
5,000人フルリモート強すぎる。
・2020年11月:ShopifyはAlipayとのパートナーシップを発表。クロスボーダー決済をサポートすることを発表。
・2021年1月:Affirm(AFRM)の新規株式公開(IPO)。Shopifyは同社の8%の株式を保有。
AFRMとSHOPが同時に株価上昇するのが理想ですな。AFRMの不死鳥待ち。
(6月24日時点のAFRMの株価)
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CEOの経歴
ShopifyのCEOは、トバイアス・トビ・ルーク氏です。
(Montreal in Technology)
ルーク氏は1980年生まれのドイツ系カナダ人です。2002年にカナダに移住。Ruby on Railsフレームワークのコアチームの一員でもあります。バッチバチのプログラマーですね。Rubyに携わっているとは夢にも思いませんでした。
Scott Lake氏、Daniel Weinand氏は共同創業者です。スノーボード愛好家の友人同士でした。最初のサービスはスノボ商品ECですからね。そのサービスは気づけばShopifyと名付けられ、カナダ最大の企業となりました(6月25日時点。2位はRoyal Bank of Canada)。
ルーク氏はツイッターもやっています。影響力は秀次郎と同等ですね(どこが
ブルムバーグのインタビューに答えるルーク氏。非常に謙虚な人柄であると言われていますが、その通りでした。醸し出す本物感。
主要プロダクト(Shopify)
Shopifyはカナダ発・世界最大のECサイト制作プラットフォーム。世界175ヶ国、60万以上の店舗で利用されています。
上記でも少し紹介しましたが、Shopifyは皆さんの背中から羽根を生やしてしまう「Red Bull」などのサイトの基盤になっています。
(https://www.redbullshopus.com/)
越境ECの領域もShopifyが急拡大。eBay一択!という時代ではなくなったのですな。2017年くらいまではeBayが最強と言われていたのに。
上記の説明の通り、何か物を売りたい事業者(マーチャント)は、Shopifyを使えば簡単にECサイトが制作できます。拡張機能(SNS連携、配送手配など)も2,000以上。日本で言えばBASEですね。小嶋陽菜がイメージキャラクターのアレです。
多言語、多通貨にも対応、クロスボーダー取引も容易にできてしまいます。日本でも当然使えます。筆者の周りでECショップやってる人は意外にも、BASEよろShopifyユーザーが多いです。頑張れジャパン。
海外発送の手配も簡単で、独自のFulfillment Networkを立ち上げています(Amazon FBAに対抗)。
ECサイトは一から立ち上げようとすると非常にコストがかかります。筆者も3年ほど前、一時期中国のある地域へお菓子を越境ECで売り捌こうとしたことがあります。
一からECサイトを立ち上げるかと考え見積もりを取ったのですが、立ち上げだけで2ヶ月かかり費用はウン百万円、サイト保守で毎月数万円と駆け出しの起業家にはそんな金はありませんでした。
ECサイトとは育てていくもの(売れる施策をたくさん打つ)。Shopifyはカスタマイズがしやすい設計となっており、マーチャントがショップを開くのに手間がかからない仕様になっています(突き詰めています)。
Shopifyの「マネタイズ」ですが、Merchant Solutions(マーチャンツ・ソリューションズ)とSubscription Solutions(サブスクリプション売上)の2つで成り立っています。
Merchant Solutions(マーチャンツ・ソリューションズ)は、通販サイトの構築支援サービス、及び決済手数料。
Subscription Solutions(サブスクリプション売上)は、プラットフォーム利用料です。
業績(Q1/2021決算)
「Shopify」は、上記で見てきた通り、eコマースプラットフォームを提供し、プラットフォーム利用料や、サイト構築費、決済手数料などを徴収するモデルです。
さて、企業決算分析をする上で、最優先で見なければならないのは、「実績(売上高・EPS・来期予想ガイダンス)」が決算前のアナリスト予想をしっかり上回っているかどうかです(ガイダンスを出さない企業もあるので注意)。
Shopifyの2021年第1四半期決算(2021年4月28日)は以下の通りの結果でした。
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□ 2021年第1四半期決算結果:
※YoY = year over year(前年同期比)
・売上:$988.6M、YoY+110%(アナリスト予想:$865.5M)→◎
・EPS:$2.01、YoY+958%(アナリスト予想:$0.73)→◎
・GMV: $37.3B、YoY+114%
・Gross Payments Volume: $17.3B、YoY+135%
・Subscription Solutions:$320.7M、YoY+71%。
・Merchant Solutions: $668M、YoY+137%。
・MRR: $89.9M、YoY+62%、CAGR+45%
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実績はアナリスト予想を大きく超えてきています。2020年はCovid-19による巣篭もり需要もあり、昨年に比べ2021年は本当に低成長となってしまうのか、見極めは非常に重要です。
それでは詳細を見ていきましょう。因みに次回の決算は2021年8月4日に予定されています。
■ Revenue(売上高)
Q1-2021:売上$988.6M、YoY+110%(アナリスト予想:$865.5M)
市場予想を超えてきています。
以下は過去の売上推移です。
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※YoY = year over year(前年同期比)
Q1-2018:214.3M
Q2-2018:245M
Q3-2018:270.1M
Q4-2018:343.9M
Q1-2019:320.5M(YoY+50%)
Q2-2019:$362M(YoY+48%)
Q3-2019:$390.6M(YoY+45%)
Q4-2019:$505.2M(YoY+47%)
Q1-2020:$470M(YoY+47%)
Q2-2020:$714.3M (YoY-97%)
Q3-2020:$767.4M(YoY+96%)
Q4-2020:$977.7M(YoY+94%)
Q1-2021:$988.6M(YoY+110%)←New!!
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Q1-2020後半〜Q2-2020はCovid-19が人々の生活に直撃。
し人々の巣篭もりが続きました。デジタルの活用が増えたことで、2020年第2四半期からShopifyの売上高は加速度的に増加しています。
■ EPS(1株当たりの当期純利益)
Q1-2021:$2.01、YoY+958%(アナリスト予想:$0.73)。
EPSも予想を大幅にクリアしています。
EPS予想は「Yahoo Finance」で取れます。アナリストは保守的に予想を出すため、決算企業はこれを超えなければ市場から好感されません。
Shopifyの過去EPS(non-GAAP)とYoYの推移は以下の通りです。
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Q1-2018:0.09
Q2-2018:0.04
Q3-2018:0.07
Q4-2018:0.26
Q1-2019:0.09(YoY+0%)
Q2-2019:$0.14(YoY+250%)
Q3-2019:$-0.29(N/A)
Q4-2019:$0.43(YoY+65%)
Q1-2020:$0.19(YoY+217%)
Q2-2020:$1.05(YoY+950%)
Q3-2020:$1.13(YoY+490%)
Q4-2020:$1.58(YoY+267%)
Q1-2021:$2.01(YoY+958%)←New!!
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Q2-2020は一時要因あるも、EPSがYoY+950%はとんでもない決算です。その勢い衰えず、2021年のEPSのYoYはなんと+958%。凄まじい成長を見せています。
■ Operating Leverage(営業レバレッジ)
Shopifyの営業レバレッジは「売上高に対する調整後営業費用の比率で測定した数値」です。
セールス&マーケティング費用が増加し、営業レバレッジはQ1-2020に比べて下がっていますね。
直近では、直契約アフィリエイトプログラムをShopifyストアに実装できる「Simple Affiliate」のニュースがありました。
様々なマーケティング施策を試しているフェーズなのではないでしょうか。
近年、広告主が直接インフルエンサーと契約を結ぶ「直契約アフィリエイト」を採用する企業が増えています。しかし、既存顧客を活用したインフルエンサーマーケティグが可能であるならば、それは最も費用対効果の高い広告形態とは言えないでしょうか?
今回ご紹介する「Simple Affiliate」は、直契約アフィリエイトプログラムをストアに実装することができるShopifyアプリです。Shopifyの顧客アカウントを使用しストアの顧客やファンに商品やブランドを宣伝してもらえるアフィリエイトの実装が可能となります。
(引用:https://gaien-media.myshopify.com/blogs/post/simple-affiliate-app)
個人の時代、マジで到来してきてますな。アマゾンのプラットフォームに頼ることなく、自分で出店してインフルエンサーにアフィって貰うと。自分が出してるオンラインショップにも、良いと思った他社の商品を置いて一部報酬を貰うと。ブランディング経済や・・・!!時代はブランディングゥウゥウゥ!!
企業KPI
■ GMV(商品取扱高)
GMVはShopifyプラットフォーム上で行われた注文の総額です。
Q1-2021は$37.3B、YoY+114%。
2020年は凄まじい年だったことがわかります。2020年は前年の約2倍の取扱高に。Covid-19の恩恵をフルに享受していますね。
■ GPV=Gross Payment Volume
GPVはShopify Paymentsで処理されたGMVの金額です。
$17.3B、YoY+135%。GMVに占めるGPV比率は46%。
■ Merchant Solutions(マーチャンツ・ソリューションズ)
ShopifyのMerchant Solutionsは、通販サイトの構築支援サービス、及び決済手数料を指します。サブスクリプションよりこちらの方がはるかに売上規模は大きいです。
Q1-2021は$668M、YoY+137%。
■ Subscription Solutions(サブスクリプション売上)
Q1-2021のサブスクリプション売上は$320.7M、YoY+71%。
右肩上がりの成長を2021年も継続。Shopifyでの「サブスクリプション」とは、プラットフォーム利用料を指します。
サブスクリプションで収益力が高い企業は成長株の中でも有望視されていますよね。Zoom Video Communications、OKTAなど。
■ MRR(月次定期収入)
MRRは、各期末時点でShopifyとサブスクリプションプランを締結している加盟店の数に、有効(来月も維持と仮定可能)な月額プラン料金を乗じて算出。
「固い」収益はどれくらいかという指標ですね。
Q1-2021は$89.9M、YoY+62% 、CAGR+45%でした。
■ 米国のネット通販に於けるシェア
アマゾンは39%、Shopifyは8.6%。次いでウォルマートが5.8%でした。
かつてのECの覇者・イーベイは4.9%と4位にランクイン。イーベイはPayPalにスピンオフされたりと、年々力を失っているように感じてしまいますね。
財務状況(資本配分/自社株買い/M&A)
■ 資本配分
直近では、2020年5月に公募増資(1,850,000 株のClass A 劣後債を販売)。
2020年9月に9億9,000万ドルの転換社債の公募を完了。
■ M&A
ARプラットフォーム、Primirを買収。ニュースが出たのが6月で、詳細は後日出てくると思います。
Primer is an Augmented Reality platform that helps décor brands, designers, and design enthusiasts instantly visualize products at scale directly in one’s space.
(引用:Shopify buys Primer, the augmented reality home design app)
2019年にマサチューセッツ州に拠点を置くフルフィルメントソリューション企業である6 River Systemsの買収(約4.5億ドル)しました。
6RiverSystemsの物流マシーンは圧巻です。
SHOPのCANSLIM考察
「CANSLIM」は成長株発掘法の著者、ウィリアム・オニール氏の成長株の見極めに用いられる判断指標です。
オニール氏の理念は以下です。
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・CANSLIMを満たすかどうかで真の成長株かどうかを見極める。
・株価チャートで売買のタイミングを測り大きな利益の獲得を狙う。
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CANSLIMとは以下の頭文字です。これら全てを満たすと「大化け株」となります。(満たしていなくても有望銘柄として売買はOK、投資家の技量が試される)
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C(=Current Quarterly Earnings=当四半期のEPSと売上)
A(=Annual Earnings Increase=年間EPSの増加、高いROE水準)
N(=New Products, New Management, New Highs=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値)
S(=Supply and Demand=株式の需要と供給)
L(=Leader or Laggard=主導銘柄か、停滞銘柄か)
I(=Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)
M(=Marker Direction=株式市場の方向)
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また短期投資・中長期投資などと投資手法を分けず、「正しい銘柄を正しいタイミングで売買する」としています。
短期投資か長期投資かという選択はほぼないはずだ、ということです。
良い銘柄はそもそも売り時を与えてくれず、そのまま何倍株になると言っています。
まずは、CANSLIMを通して、Shopifyはオニールが定義する「大化け株」と言えるのかどうかを見ていきましょう。
筆者がShopifyで行った2021年6月26日時点の判定結果は以下の通りでした。
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C:◯
A:△
N:△
S:×
L:◯
I:△
M:◯
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明確に「×」が一つしかないところは流石すぎる結果と言えます。はっきりとした大化け株ではありませんが、文句なしでShopifyは有望銘柄であるといえる水準だと思います。
値動きの趨勢が上を向いた時を狙い澄まして、投資をしていっても良い銘柄として筆者は捉えています。
それでは各項目の詳細を見ていきましょう。
■ C(=当四半期のEPSと売上) ◯
C(=Current Quarterly Earnings)を見ていきます。
ここでは以下の2つを判定します。
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⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?
⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?
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⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?
当四半期のEPSが前年同期比で大きな伸び率を示しているかどうかを見ます。最低目標は25〜30%です。より保守的に見るのであれば40〜500%です。
ShopifyのQ1-21のEPSはYoY+958%でした。文句なしでクリアです。
⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?
次に売上の伸びを見ていきます。直近3四半期で25%以上伸びていますので、こちらも余裕でクリアですね。確認しなくてもわかります。
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※YoY = year over year(前年同期比)
Q3-2019:$390.6M(YoY+45%)
Q4-2019:$505.2M(YoY+47%)
Q1-2020:$470M(YoY+47%)
Q2-2020:$714.3M (YoY-97%)
Q3-2020:$767.4M(YoY+96%)
Q4-2020:$977.7M(YoY+94%)
Q1-2021:$988.6M(YoY+110%)←New!!
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⑴EPS、⑵売上双方クリアしているので、C(=Current Quarterly Earnings)は「◯」です。文句のつけようがありません。
■ A(=年間EPSの増加、高いROE水準) △
ここでは以下の2つを判定します。
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⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?
⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?
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⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?
年間EPSが過去3年連続で増加しているかどうか、増加率が25〜50%以上の銘柄かを見ていきます。
2年目のEPSが下がっている銘柄は除外されます。Shopifyの過去の年間EPSを見ていきます。
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2018年:$0.46
2019年:$0.37(YoY-20%)
2020年:$3.95(YoY+968%)
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2019年の第三四半期に決算でミスが出たため、2年目のEPSが下がってしまっているので、機械的に除外銘柄になります。
2020年は余りある成長をしており、2021年もその好調さは継続している点をどのように捉えていくかが肝要ですね。
ここではひとまず「×」とします。
⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?
ROEが最低でも17%を超えているかどうかをチェックします。
ShopifyのROEは26.42%です。非常に高いですね(ROAは3%台ですが)。
(YFinance)
ここの判定は「◯」です。
⑴⑵合わせて◯と×、ここではA(=年間EPSの増加、高いROE水準)は「△」とします。
■ N(=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値) △
N(=New Products, New Management, New Highs)を見ていきます。
株価が驚くような上昇を見せるには何か新しいもの(収益増加率を加速的に伸ばす原動力)が必要です。
Shopifyは世界の「EC化」を後押ししている大きな大きな存在です。その規模はアマゾンに次ぎ2位です。
(引用:経済産業省)
Shopifyのプラットフォームでは小店舗でも手軽にネットショップを開設でき、まさに「個人の時代」のムーブメントを作り出している企業とも捉えれます。
個人のみならず、小規模事業者、中型事業者、大手企業もShopifyを活用しグローバルに商品を展開する加速が出てきています。世界175ヵ国で170万以上のネットショップが日々運営されています。2020年のShopifyの流通総額(GMV)はなんと$119.6B(日本円で約12兆円!)。
一部メディアにはShopifyは「アマゾンキラー」とも呼ばれています(実際は提携しています。2015年9月:Amazon.comがマーチャント向けサービス「Amazon Webstore」を終了し、優先的な移行プロバイダーとしてShopifyを指名)
電子取引の風雲児として存在するShopifyは、ストーリー面においては完璧に近いです。時代を作っています。N(=New Products, New Management, New Highs)は即時に「◯」にしたいところです。
さて、N(=New Products, New Management, New Highs)は正しい株価ベースを抜けて最高値であるという条件も加わります。チャートを確認しましょう。
以下は6月28日時点のチャートです。
一度新高値を抜けましたが、なんと9日連続、9連騰し新値をつけてしまいました。凄い勢いです。今は新値を下回り、ベースを形成しています。つまり、握力の弱い投資家を振り落としている局面になります。
ここから振り落としを終えて、再度新値を試し、出来高をブレイクアウトするタイミングが教科書的には「買い」となります。
結論、現時点でShopifyのN(=New Products, New Management, New Highs)は「△」でしょうか。
■ S(=株式の需要と供給) ×
S(=Supply and Demand)を見ていきます。
Sは以下の複数項目があります。一つずつチェックしていきます。
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⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)
⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。
⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。
⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)
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⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)
例えば、発行済株式数が5,000万株ほどの比較的供給量の少ない銘柄ならある程度の買いが入ります(その分リスクも隣り合わせです)。
Shopifyの総発行株式は112.83百万株です。
(2021年6月28日時点データ)
Shopifyの浮動株の数を見ていきます。
大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましいです。企業として株価上昇に対する努力への期待度を示します。
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・Shares Outstanding(総発行済株式数):112.83百万株
・Float:(浮動株式数):112.55百万株
・浮動株比率:99.7%
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Shopifyの時価総額は2021年6月28日時点で 1832.24億ドル(約19兆円)なので「大企業」です。
同社の浮動株比率は99.7%(つまり残りは0.3%)。経営陣が保有している株式比率が1-3%を大きく下回っています。こちらは「×」です。
⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。
上記「財務状況」の項目でも触れましたが、オニール流の「自社株買いをしている企業が望ましい」という点については、 Shopifyは満たしていません。アップルやペイパルのように積極的な自社株買いを行う方針は出していません。
「×」です。
⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。
次に、総資本に対する負債比率の低い企業かどうかを見ていきます。
過去2-3年で負債比率が減少していれば、利息支払い費用が削減されEPS向上が見込まれます。
特にIPOしたばかりのグロース株は収益が小さいため、この利息費用のインパクトが大企業に比べて大きいので、しっかり見ておく必要があります。
(Balance Sheet)
(December 31, 2020/2019)
(December 31, 2018)
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■ 2020年12月31日
総資本:7,763 million
負債:1,362 million
負債比率:17.5%
■ 2019年12月31日
総資本:3,489 million
負債:474 million
負債比率:13.5%
■ 2018年12月31日
総資本:2,255 million
負債:164 million
負債比率:7.2%
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簡易的ではありますが、負債比率は年々上昇しているので、この項目は「×」です。
⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)
最後に、直近の出来高についてです。
(見難いのでクリックして拡大推奨)
4月28日、6月17日に出来高を伴った大きな株価上昇が起きています。
これは間違いなく機関投資家が入った証拠でしょう。今後断続的に機関の買いが入ってくる確度が高いです(機関は1日で買い終わりません)。「◯」でしょう。
⑴は×、⑵も×、⑶も×、⑷は◯。S(=Supply and Demand)は「×」ですかね。
■ L(=主導銘柄か、停滞銘柄か) ◯
業界内で最高の業績を記録しているかどうかを測る「L(=Leader or Laggard)」を見ていきましょう。
ここでは業界内上位2-3銘柄に入っているかどうかを判断します。
これは、レラティブストレングス指数が80〜90台かどうかで判断をします。
レラティブストレングス指数とは、ある特定の銘柄の値動きを市場の残りの銘柄の値動きと過去五二週間にわたり比較するものです。 各銘柄に1~99の数値が割り当てられ、高ければ評価が良いと判断されます。
2021年6月28日時点のShopifyのRS Rateは80でした。
銘柄検討を実施する大前提となる80の数字を上回っています。
ShopifyのL(=Leader or Laggard)は「◯」です。
■ I(=機関投資家による保有) ◯
I(=Institutional Sponsorship)を見ていきます。
株価を押し上げるには大きな需要が必要です。投資信託、年金基金、ヘッジファンド、保険会社など。機関投資家に保有されている銘柄であるかどうかが非常に重要になります。
また、その機関投資家は高いリターンを出す優秀な組織体(ファンド)なのか?という点も大切です。
見極め方として、最近の四半期で保有する機関投資家の数が着実に増加しているか、株主数が著しく増加しているか。
また株主となった機関投資家は誰なのかまで詳しく調べます。
「優秀なファンドが大人買いしているか」を満たさなければならないのでかなり高度な判定です。
まずはShopifyの機関投資家保有株数の直近の動きです。2021年3月末までの動きを見ていきたいところです。
(引用:Fintel「Institutional Ownership and Shareholders」)
3月末まで微増しています。
2020年から継続的に資金が入っています。機関投資家が好感を持っている銘柄であることがわかります。
参考までですが、以下はMarketSmithで確認できる、Shopifyに投資をしている機関投資家(ファンド)の数です。一応、こちらは増加傾向にあることが確認できます。
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Jun-20:1405
Sep-20:1636
Dec-20:1814
Mar-21:1967
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但し、ファンド数が増えても、優秀なファンドが買っていなければ、その銘柄は有望ではありません。
直近の株主は以下の通りです(Yahoo Finance:Holders)。名だたる投資ファンドがShopify株を保有し続けています。
Top Institutional Holders(機関投資家保有上位)
Top Mutual Fund Holders(投資信託(ファンド)保有上位)
ベンチマークを超えるリターンを超えることが使命とされるのがアクティブファンドです。
以下一流の7ファンドにShopifyは投資をされています。「Morgan Stanley Inst Fd Inc-Growth Port」は同じくハイパーグロース銘柄である「ZM」「OKTA」「Unity」にも投資をしています。
ARKも投資していますね。ARKに関してはTSLA、SQ、ZM、Unityで触れてきたので、もう飽きたのでここでは触れません。
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□ ファンド名(保有数良順)・・・10year Performance(Before Tax)
・Europacific Growth Fund・・・7.13%
・Vanguard U.S. Growth Fund・・・17.61%
・Harbor Capital Appreciation Fund・・・17.53%
・Growth Fund Of America Inc・・・14.71%
・Fidelity Growth Company Fund・・・19.92%
・New Perspective Fund Inc・・・12.26%
・Morgan Stanley Inst Fd Inc-Growth Port・・・21.77%
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直近四半期で機関投資家の保有数量も上昇、現在の上位株主から、優秀なファンドにも購入されていることが確認できます。I(=Institutional Sponsorship)は「◯」という判定になります。
■ M(=株式市場の方向) ◯
M=Marker DirectionはShopifyに関わらず全銘柄に関わることです。
「強気相場」であればハイパーグロース株を積極的に買っていっても良いとされています。2021年6月28日現在は「確固たる上昇相場」です。基本的には積極的に買っていってよい相場です。
その根拠は週刊レポートで確認してください(毎週末に定期更新)。
米国株式市場:今週の合戦の振り返り!
2021年6月28日時点の株価チャート
2021年2月に天井をつけ、3月〜4月の大型調整後(ハイパーグロース全般のマルチプルコンストラクション)で大きく一度下げました。その後4月28日、6月17日にそれぞれ出来高を伴った大きな株価上昇を記録しました。このまま断続的な機関の買いを待ちたいところです。
現在は他グロース株よりいち早く新値をつけ、今はベースを形成しています。
再度新値を試すタイミングで、出来高を伴ったブレイクアウトに期待したい銘柄です。マーケットが上昇トレンドである限りは、買いポイントの$1499で待ち伏せしておきたいですね。
-完-
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