【V/米国株銘柄分析】進撃する金融テクノロジー企業Visaの概要, ビジネスモデル, 今後の株価見通し(将来性/成長性)を直近決算&Earnings Callから考察。
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今後、優秀なビジネスモデルと米国経済の温度感を測るという意味で有望なVisaを新たに追っていくこととしました。
ちょうど、本日朝に決算も発表されたしの!
ビジネスモデルと最新決算を元に当記事を記載しておる。
どういう仕組みで収益を獲得しているかきになる衆や、決算動向含めて気になる衆はご覧あれ!
ちなみにライバルであるマスターカードについては私がだしますよ!
久しぶりにビジネス解説記事を出します。決算シーズンが落ち着いている時期に有望なグロース銘柄について適宜追加していきます。
また、取り上げた銘柄については狙いどきを逸しないために決算の度に定点観測を行い追跡していきます!
◇ 大事なお知らせ
本文に入る前に、一点大事なお知らせです。今まで本記事のようなビジネスモデル分析や決算速報は無料で配信してきましたが、今後さらなる「クオリティの底上げ」と、「発信領域の拡大」をしていくべく、2022年5月1日より有料マガジンにて発信させていただく運びとなりました。今後とも末永く、何卒よろしくお願い申し上げます。
(マガジンの詳細説明記事)
手前味噌な宣伝失礼しました。
Vは現在ベースの中での動きとなっており。本日の決算を受けて再びATHに向けて上昇できるかという起点にたっています。
それでは本文に移って行きます。本日発表された決算に関しては目次の業績推移の項目でお伝えしていますのでご覧ください。
会社概要
・企業名:Visa, Inc.(ティッカーシンボル:V)
・本社:カリフォルニア州フォスターシティ
・設立年月日:1958年9月18日(前身のBank Americard設立)
・IPO(上場):2008年2月25日(NYSE)
・主要事業概要:電子決済ネットワークを提供
歴史
1958年 :バンク・オブ・アメリカ(BofA)はフレズノ(人口25万人都市)でバンク・アメリカ・クレジットカード・プログラムを開始。バンク・アメリカ・カード開始までの数週間、 BofA はフレズノの郵便受けに 65,000 枚の未承諾クレジットカードを大量送付。 バンクアメリカー ドは、BofA の社内商品開発シンクタンク、カスタマー・サービス・リサーチ・グループとそのリーダー、ジョセフ・P・ウィリアムズの発案によるものであった 。
1950 年代半ばまでに中流階級のアメリカ人は、すでに複数の異なる加盟店でリボ払いの信用口座を持っておったんじゃ。
しかし、明らかに非効率的で多くのカードを持ち、毎月多くの別々の請求書を支払う必要があるため不便だったんよ。じゃから、支払いのための統一のカードの必要性がましておったんよの。
ウィリアムズによると、フローシャイムシューズは店舗でのバンクアメリカードの受け入れに同意した最初の大手小売チェーンであった[17]。
1959年:3月には、サンフランシスコとサクラメントでドロップが始まり、6月にはロサンゼルスでBofAがカードを配布、10月には、カリフォルニア州全体で200万以上のクレジットカードが配られ、バンクアメリカードが2万店舗で受け入れされることになった。 初期の問題に耐えられず発案者のウィリアムは1959年12月に辞任。
1961年:初めて黒字化
1966年:BofAはカリフォルニア州以外の銀行グループとライセンス契約を結ぶようになった。これは、いくつかの地方銀行カード協会の連合体によってBankAmericardに対抗するために作られた新しい競合相手、マスターチャージ(現在のマスターカード)に対抗するためであった。
1960年代後半:BofAはバンクアメリカード・プログラムを他のいくつかの国の銀行にもライセンス供与し、その国のブランド名でカードを発行を開始。
1970年:バンク・オブ・アメリカはバンク・アメリカ・プログラムの管理権を手放しバンク・アメリカ・プログラムの発行銀行が経営権を持ち、ナショナル・バンク・アメリカード・インクを設立しました。ホックはNBIの初代社長兼CEOに就任。
1976年:バンク・アメリカ、バークレイカード、カルトブルー、チャージックス、住友カード、その他すべてのライセンシーは、特徴的な青、白、金の旗を残した新しい名称「ビザ」のもとに統一。その後、現在に至る。
まさかの、最初の成り立ちがバンカメの1部門だったとは驚きですね!
CEO
現在のCEOはAlfred F. Kelly, Jr.となっています。
ぎらぎらしておってええのぉ!!こういう男の元に輿入れすれば裕福に暮らせそう。。
アルフレッド・F・ケリー・ジュニアは、2016年12月に最高経営責任者としてVisaに入社し、2019年4月に取締役会会長に就任しています。
ケリー氏は、キャリアの大半をアメリカン・エキスプレスで過ごし、1987年から2010年まで勤務していました。その23年の間に、2007年7月から2010年4月まで社長を務めるなど、複数の上級職を歴任しています。
競合会社の社長を引き抜いたということよの。まさに戦国時代。
Visa入社直前には、アルファベットの支援を受けニューヨークを拠点とするテクノロジーおよびデジタルメディア企業Intersectionの社長兼最高経営責任者を務めていました。
2015年にTowerBrook Capital Partners, L.P.の経営アドバイザーを務め、同時にローマ法王フランシスコのニューヨーク訪問の議長を務めました。2011年4月から2014年8月まで、ケリー氏は、スーパーボウルXLVIIIの資金調達と開催のために設立された「2014 NY/NJ Super Bowl Host Company」の社長兼最高経営責任者を務めていました。
因みにアメリカン・エキスプレス入社以前は、1985年から1987年までホワイトハウスの情報システム部長を務め、1981年から1985年までペプシコ社で情報システムおよび財務計画の様々な役職を歴任しています。
現在ではVisaのほかに以下の役職を務めめています。
✔︎Catalystの取締役
✔︎ニューヨーク大司教区のいくつかの団体の取締役
✔︎マザー・カブリニ・ヘルス財団の理事会会長
✔︎ニューヨーク・プレスビテリアン病院とボストン・カレッジの評議員
学歴としてはケリー氏は、アイオナ・カレッジでコンピュータと情報科学の学士号と経営学修士号を取得しています。
もう、Careerが氾濫しすぎてて意味がわからないレベル。笑うしかないです(笑)
複数の会社の役員やCEOを歴任しており、万を辞してVISAのCEOとなったということじゃな。経験は十分といえるじゃろう!
主要プロダクト(ビジネスモデル)
Visaは、革新的な技術を通じて、消費者、加盟店、金融機関、企業、戦略的パートナー、政府機関など世界各地の人々の間で、200を超える国や地域をまたがるお金の動きを促進することで収益を得ています。
典型的なVisa C2B決済取引の例で説明していきます。
消費者はVisaカードまたは決済製品を使用して加盟店から商品またはサービスを購入します。
これはワラワたちが店でクレカで支払う時のことをいっておるな!
うむ。以下の説明はVISAのannual reportの説明じゃ。複雑でわからなくなると思うが、読み進めてくれい。しっかり、その後に経産省の図解を用いてわかりやすく説明するゆえ
加盟店は取引データをACQUIRER(通常は銀行またはVisaカードや決済商品の受け入れをサポートする第三者処理会社)に提示し、確認と処理を依頼します。
ACQUIRERはVisaNetを通じて取引データをVisaに提示し、VisaNetはカード発行者(ISSUER)に連絡して口座名義人の口座またはクレジットラインを確認し、承認を得ます。
取引が承認されると、発行体(ISSUER)はACQUIRERに対して、取引額からインターチェンジ・リバースメント・フィー(以下IRF)を差し引いた金額を支払い、消費者の口座にその取引を計上します。
ACQUIRERは、購入金額から加盟店割引率(MDR)を差し引いた金額を加盟店に支払います。
意味不明すぎて、、、ちょっと頭がついていきません。というかVISAは何で収益をえているんですか?
うむ。ワシも混乱した。そこで探っていたところ経産省が非常にわかりやすい図をだしておった。
もうこの一枚で解決といっても過言ではないの
各プレイヤーについてまとめると以下じゃな。
ACQUIRERは店側と契約する決済会社
収益=
加盟店手数料ーインターチェンジフィーVISAライセンスフィー
ISSUERは消費者側と契約する決済会社(カード発行行う)
収益=
インターチェンジフィーVISAライセンスフィー
VISAはデータ処理等を行う国際ブランド
収益=
VISAヘのライセンスフィー
そもそも疑問なんですけど。
VISAはカードの発行もしないし、与信もみないから貸し倒れの信用リスクも追わないし、なぜフィーを貰えるのですか?
良い質問じゃ。VISAは電子決済ネットワークを保有していてACQUIRERとISSUER間の取引と清算を仲介しておるんじゃ。
VISAとしては、うちの電子決済システムを使う代わりに手数料頂戴ねということじゃな。カード発行せず、与信供与せず儲かるから素晴らしいビジネスモデルじゃわい。
VISAの収益は主にサービス収入、データ処理収入と国際間決済を行うInternational transaction revenueの3本柱で構成されています。
そこから原価としてClient Incentiveを支払って売上総利益としています
Visaの市場規模の推移
Visaの収益は電子決済が行われれば行われるほど成長していくので電子決済市場の市場の成長率をみることが重要となります。
最新のデータでは2021年時点では世界の電子決済市場は6.75兆ドルという水準ですが、2027年時点では12.55兆ドルに成長することが見込まれています。
年率換算で10.9%という成長率になります。市場としては巨大ですが、市場の成長率自体が高いというわけではありません。
Visaの業績推移 (最新決算を含む)
それでは現在までの業績推移を見ていきたいと思います。この数値には最新の2022年3末決算の数値を含んでいます。
好調な決算を受けて4%以上上昇しています。
□ 綺麗に増加する売上高
以下はVの売上高の推移です。(Yahoo financeの予想はここからincentiveを差し引いたNet Revenueとなっています)
コロナで落ち込んでいますが、そこから見事に復活しています。平常時の成長率は概ね電子決済市場の伸びと同程度であることがみてとれますね。
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※YoY = year over year(前年同期比)
Vは9末が年度末4Q決算
Q1-2021:$7,545M(YoY △3%)
Q2-2021:$7,721M(YoY +2%)
Q3-2021:$8,260M(YoY +30%)
Q4-2021:$8,964M(YoY +32%)
Q1-2022:$9,430M(YoY +25%)
Q2-2022:$9,683M (YoY+25%)
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売上の内訳は以下の通りの推移となっています。
決済ネットワークを使うことによるService RevenueとData Processing Revenueが主要な収益源となっています。各収入の直近決算の増加要因は以下となっています。
いずれにせよ、世界中でVisaを使った決済の総量が増えれば増加していきます。このVisaを使った決済Volumeについては追ってKPIの項目でお伝えしていきます。
好調の要因について以下が述べられています。
特に旅行に関してはコロナ前の水準の90%にまで戻っているとのことです。
基調的に現金取引は少なくなりデビットまたはクレジット決済が多くなってることが示されています。
□Client Incentiveを差し引いたNet Revenue
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※YoY = year over year(前年同期比)
Vは9末が年度末4Q決算
Q1-2021:$5,687M(YoY △6%)
Q2-2021:$5,729M(YoY △2%)
Q3-2021:$6,130M(YoY +27%)
Q4-2021:$6,559M(YoY +29%)
Q1-2022:$7,059M(YoY +24%)
Q2-2022:$7,189M (YoY+25%)
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最新決算の予想Net Revenueは6,830Mが予想されていたので大幅なアウトパフォームですね。
□ 利益率の推移
以下がVの利益率の推移です。
営業利益率で51%、純利益率で40%という非常に高水準の利益率となっています。
売上総利益率は先ほどの売上から、アクワイアラーへのincentiveとして支払っている販促費です。Client incentiveはVisaに加盟する店舗が増えることで当然増えていきます。
アクワイアラーに支払う販促費込みで売上と考えて、アナリストは売上予想としているわけですね。
営業費用の内訳については以下となっています。一番大きな要素はPernonnelつまり人件費となっています。
Marketing自体はアクワイアラーが行ってくれるので売上高に対して低い割合となっています。
ビジネス概要のところでお伝えしておる通り、決済ネットワークを使わせてあげることによって収益を獲得するモデルとなっておるからの。
カード発行も、与信供与も、加盟店発掘の営業も行っておらんから、非常の効率的に利益を上げているFintech企業ということができるの!
ROEは35%という水準となっており高い効率で利益を上げている企業であるということができます。また、このROEの高さは次の項目でもお伝えする通り自社株買の影響が大きくあります。
□ EPSの推移
グロース企業にとって最も重要なのは「1株あたり利益」(=EPS)の成長率です。以下はEPSの推移と成長率の推移です。
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※YoY = year over year(前年同期比)
Vは9末が年度末4Q決算
Q3-2020:$1.06(YoY △23%)
Q4-2020:$1.12(YoY △24%)
Q1-2021:$1.42(YoY △3%)
Q2-2021:$1.38(YoY +2%)
Q3-2021:$1.49(YoY +30%)
Q4-2021:$1.62(YoY +45%)
Q1-2022:$1.81(YoY +27%)
Q2-2022:$1.79(YoY +30%)
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コロナショックで凹んだ分を取り戻すべく成長率が加速しています。
ただ、2015年からのグラフを見ていただければ分かる通り、コロナショックでの反動と、その後の急回復を含めて一定のペースで上昇しているとうに見て取れます。
このペースを維持しているのは当然業績の拡大もありますが、もう一つ要因があります。
EPSは1株あたり純利益なので発行済株式数が減少すれば利益が同じでもEPSが上昇します。Vは自社株買を継続して行っており、発行済株式数は減少しています。
□ VISAのKPI(決済Volume)
VisaはVisaの電子決済ネットワークが増加すればするほど収益を拡大することができます。
決済Volumeは通常の状態では10%を中心とした成長率となっています。10%を下回っている時は基本的には経済が失速気味と捉えることができるでしょう。
現在はコロナショックでしぼんだ分を現在取り返す高成長率から、成長率が落ち着いてきたという段階です。
VisaやMastercardのような大手の決済ネットワークの取引決済Volumeは世界経済の温度計としても活用することができます。
特に今回は企業間の決算が好調だったようでEarnings Callでも以下の通り述べられています。経済は引き続き堅調であることがわかります。
VisaやMastercardの個別株取引を行うだけでなく、今後の世界経済の動向を見る上でも活用していきたい指標となっています。
上記の決済Volumeを地域別に見たものが以下となります。
本国である米国の成長率は以下となります。通常は10%程度で景気が悪くなると5%近辺となるという傾向がありますね。今期は13%とまだ平均レベルより上で推移しています。
13%増加していますが内訳としてはデビットで2%、クレジットで26%増となっています。デビットの成長率が低い理由は昨年度の景気刺激策で昨年デビットが膨らんだことによる反動となっています。
米国での取り組みについては以下の通りとなります。
□ガイダンス
ガイダンスはPress Releaseでは発表されていません。
Yahoo financeで予想されている数値は以下となります。
売上 7.06B YoY +15.2%
EPS $1.73 YoY+16%
ただ、これは今回の好調な決算がでる前の数値なので、今後上方修整される可能性が高いです。
Press Releaseでは示されておらんかったが、Earnings CallではCFOより以下のコメントがガイダンスに対してでておるぞ!
第3四半期の純収益は10%台半ばを見込むということでYahoo financeの予想の成長率とほぼほぼ一致しておるな!
更に第4四半期での純収益の成長率は暫定としながらも10%台後半から20%台の成長を見込むとしておる!
□ Earnings Call
Earnings Callの和訳は以下ですが内容は上記に付け加えています。
CFとバランスシートの状態
□ CF(営業CF、投資CF、財務CF)と配当性向
CFは以下の通りとなっています。直近は稼いだ営業CFをほとんど財務CF についやしています。
投資に関しては以下が述べられています。Tinkの買収がマイナスの大きな要因ですね。
財務CFのマイナスの大きな要因は自社株買と配当といった株主還元です。自社株買と配当を加味した総還元性向は基本的に100%を超えています。
あまり、投資をせずとも売上が伸びていくフェーズに突入しているため、株主還元に力を割いているフェーズに突入しているということですね
ただ、配当利回りは1%未満と、決して高配当と言える水準ではありません。主に自社株買を通じて株式価値を引き上げています。
□総負債比率
総負債比率は以下の通り、株主還元に注力している結果わずかではありますが上昇傾向にあります。
ただ、支払利息は売上高の1.5%程度という水準になっています。利息支払いが業績にさほど大きな影響を与えてはいません。
まとめ
・前進はバンクオブアメリカ(BofA)が始めたバンク・アメリカ・カードで半世紀以上の歴史を誇る
・CEOはAmerican Expressの元CEOのAlfred F. Kelly, Jr.。その他数々の経営経験があり信頼にたる実績がある。
・Visaはカード発行会社でも与信を提供する金融機関でもない。電子決済ネットワークのライセンスで利益を得ているFintech企業。
・売上は一定の割合で上昇。ならした成長率は電子決済市場の伸びと概ね一致。
・売上総利益は70%超え、営業利益も50%程度、純利益も40%程度と非常に効率的に利益を上げている。ROEも35%と非常に高い水準を維持
・EPSは自社株買もあいまって堅調に推移している
・直近は稼いだ営業CFを殆ど配当と自社株買いの株主還元に充てている
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