(全文無料で読めます)
(MSFTの会社概要・歴史・ビジネスモデル考察は以下を参照してください。)
「MSFT」のQ2-2022の結果が出ました。MSFTは6月が年度決算なので12末は2Q決算となります。
株価は200MA(黒)を2020年3月以降初めて下回り非常に神経質な展開の中での決算となっています。
以下が速報ツイートです。
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※YoY = year over year(前年同期比)
MSFTの2021年4Q決算は
・売上$51.7B/YoY+20.1%(アナリスト予想:$ 50.88B)。→◎
・EPSは$2.48/YoY+22.2%(アナリスト予想$2.31)→◎
ガイダンスも売上高とEPSともにクリアしています。非常に強い決算ですね。
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最初発表されてから一時△5%となっておったが、ガイダンスが発表されたタイミングで急回復してプラ転しておる!
では詳しく見ていきましょう。なお、Earning Callは一応全文掲載していますが、重要な部分は1-6の項目に盛り込んでいますので、1-6をご覧いただければ大方把握できると思います。
1. Revenue(売上高)
Q2-2022:売上$51.7B/YoY+20.1%(アナリスト予想:$ 50.88B)
順調の売上高を伸ばしていることが見て取れます。成長率は直近4四半期と比べて鈍化はしていますが過去水準からみて未だに高い水準を維持しています。
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年度末の決算期は6末
Q1-2020:$33.1B (YoY +13.7%)
Q2-2020:$36.9B (YoY +13.7%)
Q3-2020:$35.0B (YoY +14.5%)
Q4-2020:$38.0B(YoY +12.8%)
Q1-2021:$37.1B(YoY +12.4%)
Q2-2021:$43.1B(YoY +16.7%)
Q3-2021:$41.7B(YoY+19.1%)
Q4-2021:$41.7B(YoY+19.1%)
Q1-2022:$45.3B (YoY +21.9%)
Q2-2022:$51.7B (YoY+20.1%)
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クラウドとクラウド以外で大別すると以下の通りとなります。
クラウド全体:22.1B YoY32%
クラウド以外:29.6B YoY12%
前期にクラウド以外の売上が落ち込んだためにクラウド比率が46%とはなっていますが、順調にクラウドの売上に占める比率は上昇していっています。
クラウドについては業界別ソリューションが大きく成長しているとEarning Callでのべられています。以下抜粋です。
またクラウドについては長期契約が多く残存しており、今後の収益の増加を支えることがCFOにより述べられています。
売上を3つのセグメントで大別すると以下の通りとなります。Azurを含むIntelligent Cloudの比率が順調に勢力を拡大しています。(詳しくKPIの項目でみていきます)
また、製品別でみると以下のヒートマップとなります。Azureの成長率は高いですが全体的にはすこし2021年のコロナ特需の時から比べると鈍化傾向にありますね。
2.利益率の推移
売上総利益率、営業利益率、純利益率の推移は以下となります。
売上総利益は、前年同期比20%増加し売上総利益率は67%で、前年同期とほぼ同じでした。しかし、会計上の見積りの変更の影響を除くと売上総利益率は、主に以下のクラウドサービスの売上総利益率の改善により約 2 ポイント上昇しています。
売上で43%をしめるクラウド全体の売上総利益率は、前年同期比で若干低下し、70%とっています。ただ、サーバ及びネットワーク機器資産の耐用年数に関する会計上の見積りの変更による影響を除くと、マイクロソフトのクラウドサービス全体の改善により売上総利益率はおよそ3ポイント上昇と堅調なことがCallで示されています。
営業費用は、主に将来の四半期にシフトした投資により、想定を下回る14%の増加となりました。全社レベルでは、クラウドエンジニアリング、営業、顧客展開、ゲーム、LinkedIn などの主要分野への投資を継続した結果、従業員数は前年同期比 16%増加しました。営業利益は24%増加し、営業利益率は前年同期比で1ポイント拡大し43%となりました。会計上の見積り変更の影響を除くと、営業利益率は前年同期比で約3ポイント拡大しています。
基調となる利益率は総じて改善しているとみることができるでしょう。
3.EPSの推移
Q4-2021:(non-GAAP)EPSは$2.48/YoY+22.2%(アナリスト予想$2.31)
成長率こそ下落しているもののコロナ期の特需をつみました上で20%以上の成長を実現できているのは力強いでしょう。時価総額300兆円に迫る企業ですからね。
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年度末の決算期は6月末
Q1-2020:$1.38 (YoY +21%)
Q2-2020:$1.51 (YoY +37%)
Q3-2020:$1.40 (YoY +22%)
Q4-2020:$1.46(YoY +6%)
Q1-2021:$1.82(YoY +32%)
Q2-2021:$2.03(YoY +34%)
Q3-2021:$1.95(YoY+39%)
Q4-2021:$2.17(YoY+48%)
Q1-2022:$2.27(YoY+25%)
Q2-2022:$2.48(YoY+22%)
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3.MSFTのKPI
MSFTは大きく分けて3つの事業領域に分かれています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
3つのセグメントはそれぞれ成長を続けています。
詳しく分解しながら見ていきましょう。
Productivity and Business Process
法人向けのOfficeやOffice365を提供。そのほかにもDynamicsやLinkedInもこのセグメントに含まれる
売上高:15.9B YoY19%
営業利益:7.7B YoY24%
StreetAccountが調査したアナリストの予想は15.8Bを僅かにうわまわっています。
この四半期、マイクロソフトはウィンドウズ10の後継としてウィンドウズ11を発表し、ウィンドウズ11の特別版を搭載した249ドルの学校向け「Surface Laptop SE」を発表しています。また、企業が重要な目標を常に把握できるようにするソフトウェアを提供するAlly.ioの買収も発表しています。
Windows11についてはCallで以下の通り自信をのぞかせています。
LinkedInが好調なようでEarning Callでは以下の記述があります。つまりBusiness Product部門の6分の1がLinkedInが占めているということですね。
また、Teamsも好調なようです。Fortune500企業の殆どがTeamsを利用しているとのことでZMの勢いが気になるところです。
Intelligent Cloud
サーバーやクラウド事業が含まれています。この中にAzureも含まれています。
売上高:18.3B YoY25%
営業利益:8.2B YoY26%
このInteligent Cloudの中にAzureは含まれます。成長率は46%と低下していますが依然として50%近い高い成長率を実現しており、今期の成長率もアナリストの事前予想をクリアしています。
以下がAzureの成長率の推移です。
Microsoft Azure で提供されているハイブリッドクラウド環境やマルチクラウド環境、オンプレミス環境を統合的に管理できるサービスであるAzure Arcの顧客数は
前年同期比で3倍になっていると述べられています。
CVS Health、Johnson & Johnson Medical Devices、Wells Fargoの各社は、今四半期、MSFTのクラウドを優先プロバイダとして選択したそうです。
More Personal Computing
Windows OSのライセンス収入やXbox、Surfaceなどの携帯端末が含まれます。
売上高:17.5B YoY16%
営業利益:6.4B YoY23%
コンセンサスである165億6000万ドルを上回っています。
この部門に対するCFOによる説明は以下の通りです。1Qから2Qに収益が繰り延べられたことによる成長率の増加があり、一過性要因もあるということですね
。
マイクロソフトによると、第4四半期のウィンドウズ・ライセンスの売上は25%増加しています。テクノロジー業界の調査会社ガートナー社はPCの出荷台数は5%減少したと推定しているにも関わらずです。
Xboxハードウェアの売上は、マイクロソフトがXboxシリーズXおよびシリーズSを発売して1周年を迎えたことにより4%増加しました。前1QのXboxハードウェアの売上は166%に急増しているのでYoYだと2Qも高い成長率となります。
マイクロソフトのゲーム部門は、今月、同社が「コール オブ デューティ」と「ディアブロ」フランチャイズを運営するアクティビジョン・ブリザードを、マイクロソフトの46年の歴史の中で最大の取引となる687億ドルで買収する計画を発表して以来、投資家にとってより注目されるようになりました。
その他(広告とセキュリティ)
3つの領域にまたがり全体に関する広告とセキュリティの売上の進捗についてお伝えします。
広告の売上も順調に拡大しています。過去12ヶ月の総売上1849億ドルのうち広告収入が100億ドルの規模まで上昇してきています。
またセキュリティも150億ドル規模にたっしています。前年同期比45%増。
また、ゲームについては以下のコメントとなっています。
メタバースについては秀次郎(hidejiromoney)の以下の記事が参考になるかと思います。
4.ガイダンス
3Qガイダンスについても以下の通り発表されています。
この数値を落とし込んで2Q時点での発行済株式数で割返すことによって予想EPSまで算出したものが以下となります。
売上予想:◎ 48.9B YoY48.22% vs 予想48.22B
EPS予想 2.21 YoY13.2% vs予想2.17
ガイダンスまで含めて非常に力強い決算となっています。CFOコメントで重要な部分を抜粋します。
5. CF (営業CF,投資CF,財務CF)
CFは以下となっています。稼いだ営業CFを投資CFと財務CFで使用しているという状況です。
CFOのコメントを掲載します。
配当と自社株買の合計は最高値となっています。
配当と自社株買の合計を純利益で除した総還元性向は64%という水準になっています。
FCFは8.6BでYoYで4%の成長率となっています。
6. 財務状況
MSFTの財務状況は安定しています。以下は総負債比率ですが、50%台に下落基調となっています。総負債比率は53%と低下し続けています。
7.Earning Call
重要な内容は1-6に追記しています。全文の流れが知りたい方は以下をご覧ください。
https://note.com/sengokuinvest/n/nf3471d91b896