【GOOGL/米国株銘柄分析】GAFAMの一角!陰キャラの下克上プラットフォームを展開する「アルファベット(Google/グーグル)」の概要, ビジネスモデル, 今後の株価見通し(将来性/成長性)を直近決算とオニール流CANSLIMの観点から考察。
このマガジンは取り上げた企業の投資を推奨する意図は全くないことを改めて確認いたします。企業の業績チェック、ビジネスモデル、新着ニュースをシンプルに定点観測する読み物です。
世界最強企業群「GAFAM」の一角、Google(&他グループ企業)の持株会社「Alphabet Inc.(アルファベット)」を取り上げます。
(最新決算の詳細は以下目次記事に掲載しています↓↓)
Googleといえばブロガー、Youtuberなど。数々の隠キャを救ってきたプラットフォームですよね?
それは、言い得て妙(笑)ブロガー活動等でたしかに多くの陰キャラが陽キャラに稼ぎでマウントする機会が増えた。
さて、今回は「アルファベット(持株会社)」の説明してもあんま意味ないから中核企業のGoogleの説明をメインでしていくぞよ。
豆知識ですが、Googleの名前は「googol」 から来ています。数字の1の後に100個のゼロが続き、大量の情報を提供するための検索エンジンであることを意味しています。
(Google株価の軌跡:2004-2021)
(6月16日時点株価チャート)
今回の記事では、「Alphabet Inc.(アルファベット)」の会社概要・ビジネスモデルと今後の「株価」の成長性を、直近の決算結果(Q1-2021)とオニールの成長株発掘指標である「CANSLIM」の側面から掘り下げていきます。
秀次郎(Twitterアカウント)が担当者として随時更新していく予定じゃ。フォローしておいてくだされ。
中身は目次から知りたいところだけジャンプして読むと良いぞよ。全部読むのは大変じゃし、まじで疲れる故に投資を検討した時に「そういえば」的に活用していただけると有難いぞよ。わい自身も活用しておる。
会社概要
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・企業名:Alphabet Inc.(ティッカーシンボル:GOOG/GOOGL)
・本社:米国カリフォルニア州マウンテンビュー
・設立年月日:Alphabet Inc.に2015年10月に再編(Google設立は1998年9月)
・主要事業概要:広告事業、多国籍コングロマリット企業
・傘下企業:Google, X Development, Calico, Nest, Verily, Fiber, Makani, CapitalG, GVX Development, Calico, Nest, Verily, Fiber, Makani, CapitalG, GV, etc
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アルファベットの中核企業、Googleをここからは見ていきましょう。アルファベットの話は一旦ここで終わり(はやい)。 Googleを主語にして解説していきます。
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・企業名:Google LLC(グーグル)
・本社:米国カリフォルニア州マウンテンビュー
・設立年月日:1998年9月
・上場日(IPO):2004年(NASDAQ)
・主要事業概要:オンライン広告技術、検索エンジン、クラウドコンピューティング、ソフトウェア、ハードウェアなど■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
グーグルの設立は1998年9月。1998年といえば、サッカー日本代表が初めてW杯に出場し、3戦全敗とボコにされた年です。
(JFA.jp)
中田が若い。強豪アルゼンチンなど世界の洗礼を受けた日本ですが、その後の2002年日韓W杯ではベスト16と躍進しました。「負けたことがある というのがいつか大きな財産になる」という堂本監督の言葉を実現した形になりました。
(スラムダンク31巻より)
また、1998年は日本が完全失業率が戦後最大になり、「平成大不況」という言葉が新聞の見出しを踊ったり、「タイタニックポーズ」が流行ったり。
Windows98が発売されたり、松坂が甲子園決勝でノーヒットノーランかましたり、MLBではマグワイア選手が70本ホームランかましたり、海外ではインドとパキスタンが地下核実験したりと物騒な報道もありました。
しかし、1998年のハイライトは間違いなくパイレーツの「だっちゅーの」が1998年年度の新語・流行語大賞を受賞したことです。(画像自粛)
だっちゅーのが流行ってしまう、こんな激動の年に、Googleは設立されたのですね。だっちゅーのがあのグーグルを生んだ(違
1998年は筆者個人的に思い入れのある年だったので、長くなってしまいました。ごめんなさい。
ちなみに以下はカリフォルニア州マウンテンビューに位置するグーグルの本社(Googleplex)です。
広い〜大学みたい。みんなカラフルな自転車で移動するんだね。楽しそう。
ちなみに日本Googleのオフィスは東京は六本木ヒルズの森タワーに入っています。
ビルは凄いけど日本オフィスの中身はあんま魅力感じなかったわ。普通。日本はオフィスに予算割いてもらえなかったんか?
怒られますよ。普通に。ツイッターにGAFA会長いるの知ってる?
そういえば、 Googleのインターンが題材にされた映画もありました。まぁまぁ面白かったですよ。
会社の歴史
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■ 1996~2004年IPOまで(〜Googleにも黎明期はあった〜)
・1996年1月:スタンフォード大学の博士課程に在籍していたラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの研究プロジェクト(Google検索エンジン)開始。
・1997年9月15日:ドメイン名 www.google.com が登録される。
「ググれカス」伝説がここで始まったのですね。↑は昔のロゴです。今はポップになりました。
・1998年9月4日:Googleを会社として設立。拠点はカリフォルニア州メンローパークにあるガレージ。同年にサン・マイクロシステムズのアンディ・ベクトルスハイム、アマゾンのジェフ・ベゾス、スタンフォード大学教授、起業家のラム・シュリラムなどからエンジェル投資(約100万ドル)を受ける。
スタンフォードのエリート、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンがこんなガレージでグーグルを始めただと・・・? 今世界時価総額ランキング5位・・・? ふぁっ?
真のエリートは自分に自信があるから立派なオフィスなんて必要なくて、周りの目なんて毛ほどにも興味ないんですよ。You know what I mean?
・1999年6月:ベンチャーキャピタルのクライナー・パーキンス社やセコイア・キャピタル社などを主要投資家とする2500万ドルの新たな資金調達ラウンドを発表。
・1999年3月:カリフォルニア州パロアルト(シリコンバレー)にオフィスを移転。
半年でガレージ卒業♫ 天才にはあまりにも不相応♫
・2000年:検索キーワードに関連した広告の販売を開始。
・同年6月:Yahoo! のデフォルト検索エンジンとして、Inktomiに代わってGoogleが採用されることが発表される。
・2001年:エリック・シュミットをグーグルの会長兼CEOとして採用。
・2003年:カリフォルニア州マウンテンビューの「Googleplex」へ移転(2006年に3億1900万ドル(約320億円)で施設購入)。
■ 2004年新規株式公開(IPO)〜
・2004年8月19日:新規株式公開。公募価格85ドル、グーグルの時価総額は230億ドルを突破。
規模感的には今のユニティ(U)くらいですね。
・2005年:「Google Earth」を発表。
・2006年11月13日:YouTubeを16.5億ドルのグーグル株で買収。
グーグルのYoutubeの買収には逸話があって、受付嬢にポンとネタっぽく株渡してたら、グーグルに買収されて受付嬢が億り人になっちゃったって話大好きなんです♫ 「何をやるか」より「どこにいるか」。これ大事ですよね・・・汗
ちなみに、創業者以外の従業員に関してもデータが公開されている(参照)。
Shannon Hermes (受付嬢) - $1.3 million 約1億5千万円
Julie Supan (チーフ・プレス・スポークス・パーソン) -$4.9 million 約5億1千万円
受付嬢までもがミリオネア($1 million以上の資産を持つ人)になってしまうところが、いかにもアメリカン・ドリームだ。こんなサクセス・ストーリーがあるからこそ、一攫千金を目指した優秀な人たちがベンチャー企業に集まる。(引用:GoogleがYouTube買収の詳細を発表。受付嬢が1億5千万円って…)
・2008年3月:DoubleClickを31億ドルで買収。
・2010年1月:自社ブランドの初のAndroid携帯「Nexus One」を発売(2016年廃止)。
・2011年5月:グーグルへの月間ユニークビジター数が初めて10億人を突破(1日あたり約30億件の検索、11のデータセンターを建設しサーバーを設置)。
・2012年5月:モトローラ・モビリティを125億ドルで買収。携帯電話&無線技術に関する膨大な特許ポートフォリオを獲得(Android提供可能に)。
・2013年6月:Waze(クラウドソースによる位置情報プラットフォーム)を9億6600万ドルで買収。
・2013年9月:Calicoの立ち上げを発表。
・2014年1月:ロンドンの非公開人工知能企業であるDeepMind Technologiesの買収発表(4億ドルとの報道)。
・2015年8月:「Alphabet inc,(アルファベット)」というコングロマリットとして企業グループを再編。GoogleはAlphabetの最大の子会社。サンダール・ピチャイ氏がGoogleのCEOとなり、ラリー・ペイジはアルファベットのCEOとなった。
(サンダール・ピチャイ氏)
・2019年3月:ビデオゲーム市場に参入、Google Stadiaと呼ばれるクラウドゲーミングプラットフォームを立ち上げることを発表。
・2019年6月:米国司法省は、グーグルを独占禁止法違反で調査すると報告。
・2020年10月:米国司法省はグーグルが検索市場と検索広告市場で独占的な地位を乱用しているとして、独占禁止法違反の訴訟を提起。
・2021年1月:オーストラリア政府は、グーグルとフェイスブックがメディア企業にコンテンツを使用する権利を支払うことを義務付ける法案を提案。これに対し、グーグルはオーストラリアでの検索エンジンへのアクセスを閉鎖すると発言。
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CEOの経歴
GoogleのCEOはサンダー・ピチャイ氏です。
ピチャイ氏はインド系アメリカ人、Alphabetとその子会社Googleの最高経営責任者(CEO)を務めています。
インドのマドラス生まれ、渡米し、スタンフォード大学で材料科学・工学の修士号を取得、さらにペンシルバニア大学ウォートンスクールでMBAを取得。
ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンと同様スタンフォード出身。スタンフォードの絆がグーグルを成長させた...!!
ピチャイ氏は、材料技術者としてキャリアをスタート。その後泣く子も黙る「McKinsey & Co.」を経て、2004年にグーグルに入社。
出た、超人類型!技術畑からマッキンゼー!この種族は働きビト界隈では日本でも最強とされていますね。陽キャ理系でないとマッキンゼーでは活躍できない。
「Google Chrome」「Chrome OS」「Google Drive」「Gmail」「Google Maps」「Android」など、我々が普段使用している主要サービスを担当。
実績が認められ、2015年8月10日にグーグルの次期CEOに選出。
ピチャイは、2016年、2020年にTIME誌の「最も影響力のある100人」に選出。
WIREDに詳しいピチャイ氏の生い立ちがあるのですが、恵まれた環境の出身ではなく、スタンフォードも奨学金で入学。みんなお馴染みGoogle Chromeは大成功していますが、これはピチャイ氏が自社ブラウザ開発を提案したことがきっかけだったみたいです。すげぃ!
インド出身のグーグル新CEO サンダー・ピチャイが愛される理由
主要プロダクト
Google(Alphabet)といえば広告、広告、広告、広告、広告、広告、広告です。Q1-2021決算の結果でいうと、広告による売上がGoogle全体の売上の80%にのぼります。
同じくGAFAMの一角、FaceBookも広告、広告、広告、広告、広告、広告、広告です。FacebookはFacebook自体とインスタグラムなどで収益を上げています。詳しくはこちら。
巨大テック企業の正体は「広告」です。インターネット広告を牛耳っているのがGoogle、FaceBookです。
巨大テック企業が広告なのか・・・と思ってしまったのは秘密ですが、実際に米国を軸に考えると、超消費大国には、やはり広告だよなという。
Googleでいえば、Googleで検索すると検索上位に広告が出てきますね。ブロガーの記事を読んでいると「スポンサー」と書かれた(たまに書かれてない)様々な商品画像が出てきます。ブログのみならず、大手メディアにも広告画像は差し込まれています。
あとはYoutubeとかもわかりやすいですね。動画が始まる前に5秒とかの鬱陶しい宣伝入りますよね。見てる途中でも広告入ったりします。
右上にも広告出てますね。クリックされるだけでGoogleの収益になります。
Web上に様々な広告が散りばめられています。ちなみにGoogleを使っている人は知らず知らずの内に個人データが死ぬほど抜き取られています。性別、年齢、よく閲覧するメディア、記事の内容、etc。
Googleは私たちのことを何でも知っていますので、私たちが欲しいな、と思う商品の広告をすかさず見せてきます。エッチな画像とか見てたらエッチな広告が出てきます。奥さんが Googleの仕組みに気づかないといいですね。
このようなことはFacebookもやっているしAmazonもやっています。データをたくさん取り(ビッグデータ)、AIに学習させて、人々に広告を見せ、モノを買わせる。
ひ、秀でてるね〜!しかし、このように個人情報が抜き取られ放題なのはどうなの?ということも、ブロックチェーン技術が注目されている背景の一つです。詳しくは仮想通貨マイニング企業「【MARA/米国株銘柄分析】 ビットコインマイニング企業(Marathon Digital Holdings)の概要・ビジネスモデル・今後の株価見通し(将来性/成長性)を決算とCANSLIMの観点から考察。」の記事で。
ついでにこのプライバシー問題、FaceBookとAppleの対立も泥沼化しています。
個人情報保護をめぐって米IT大手のアップルとフェイスブック(FB)が対立を深め、両社トップによる舌戦を繰り広げている。アップルが今春から、アプリによる利用者情報の追跡通知を強化すると表明。FBは、収益源の広告ビジネスが打撃を受ける恐れがあるため、猛反発している。FBがアップルの提訴を検討しているとの報道もあり、米ハイテク集積地シリコンバレーの隣人同士の争いが泥沼化している。(引用:アップルとFBが泥沼対立 シリコンバレーの隣人同士がなぜ?)
話は変わりますが、人々のデータを取り、広告を見せ購買活動へ繋げていくにも、自社のプラットフォーム(検索エンジンやYoutubeなど)にお客さんがいなければ始まりません。魅力あるコンテンツを用意する必要があります。
そこで一役買っているのがYoutuberやブロガーです。後述しますが、Googleは彼らに「Traffic Acquisition Costs (TAC)」という報酬を与え、コンテンツを制作させています。
ブロガーやYoutuberもサラリーマン辞めて発信して「やりたいことで生きていく!自由ウェイ!」と言っても実はGoogleが雇う社員やねん(笑)位置付けは受託フリーランス。うまくやれば青天井に儲かる点は全然違うけど。
2020年通年でいえばGoogleのTACは$32,278Mでした。約320億ドルです。日本円で約3.2〜3.4兆円です・・・。
魅力あるコンテンツを集めるというのは、とても大変であることをこの数字が表している気がします。Youtuber、ブロガーに活躍してもらうことも、Googleの収益のためには必須なのです。
最近は芸能人もYoutubeに移ってきてるので、Googleとしてはしばらくウハウハ状態でしょうね。日本のテレビ局が保持していたコンテンツ力がどんどん外資のGoogleへ。
ここまでが、Google(Alphabet)の中核・Googleの広告事業です。
他にも、現在伸びている領域はGoogle Cloudです。前年同期比+45%と高い水準です。
Google Cloud Platform(GCP) とは、Google がクラウド上で提供するサービス群の総称です。Google 社内で使われているものと同じテクノロジーやインフラを使用して、お客様のインフラ環境をクラウド化できます。基本的な構成要素が初めから各種サービスとして用意されているため、それらを使用してすばやく開発を行うことができます。
Google Cloud Platform(GCP) とは、Google がクラウド上で提供するサービス群の総称です。Google 社内で使われているものと同じテクノロジーやインフラを使用して、お客様のインフラ環境をクラウド化できます。基本的な構成要素が初めから各種サービスとして用意されているため、それらを使用してすばやく開発を行うことができます。
(引用:Google Cloud Platform(GCP)とは?)
こちらはアマゾンのAWSとマイクロソフトのAzureと競合関係にあります。シェアはAWS、Azure、Google Cloudの順番です。上位3社が圧倒的です。今までに構築したネットワーキングと、潤沢なキャッシュでクラウド市場をぶっ叩いています。
シェアトップのAWSは35%成長でシェア32%。2位のMicrosoft Azureは50%成長でシェア19%。3位はGoogle Cloudで、56%成長のシェア7%。この上位3社だけでシェアの合計は58%、約6割となります。いかにクラウド市場で上位ベンダの存在が圧倒的なのかが分かるでしょう。
(引用:グローバルのクラウドにおけるシェア、AWSが32%、Azureが19%、Google Cloudが7%。上位3社で全体の6割近くを獲得。2021年第1四半期、Canalysが発表)
Googleの決算で注目すべきは、広告収益が鈍化していないか。クラウドビジネスは順調かどうかに現時点では集中して見るのが良いでしょう。
茶菓子TIME〜なぜティッカーがGOOG・GOOGLと2つあるの?〜
2014年にティッカーシンボルは2つに分裂しました。クラスAがGOOGL、クラスCがGOOG。違いは議決権です。
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・GOOG:保有者に議決権なし
・GOOGL:保有者に議決権あり
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議決権ありの株は、創業者を含む古くからの株主の議決権を守るため。
議決権なしの株は、外部株主の影響力を排除して経営に影響を及ばさないためです。
我々個人投資家はどちらを購入しても問題ありません。GOOG株とGOOGL株の株価に乖離が生じた場合、GOOG株保有者にGoogleが保障することになっています。
業績(Q1/2021決算)
「Alphabet/Google」は、上記で見てきた通り、主に広告で収益を上げる企業です。クラウドも業界3位ながら、着実に成長してきています。
さて、企業決算分析をする上で、最優先で見なければならないのは、「実績(売上高・EPS・来期予想ガイダンス)」が決算前のアナリスト予想をしっかり上回っているかどうかです(ガイダンスを出さない企業もあるので注意)。
Googleの2021年第1四半期決算(2021年4月27日)は以下の通りの結果でした。
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□ 2021年第1四半期決算結果:
※YoY = year over year(前年同期比)
・売上:$55,314M、YoY+34.4%(アナリスト予想:514億ドル)→◎
・EPS:$26.29、YoY+166%(アナリスト予想:$15.64)→◎
・TAC:97.1億ドル(前年同期:74.5億ドル)
・部門別売上高(&前年同期):
⑴ Google Search & other:31,879M(YoY+30%/前年同期:24,502M)
⑵ YouTube ads:6,005M(YoY+49%/前年同期:4,308M)
⑶ Google Network:6,800M(YoY+30%/前年同期:5,223M)
⑴+⑵+⑶=Google advertising(広告売上合計)
=44,684M(YoY+32%/前年同期:33,763M)
・Google Services total:51,178M(前年同期:38,198M)
・Google Cloud:4,047M(前年同期:2,777M)
・Other Bets:198M(前年同期:135M)
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実績はアナリスト予想を大きく超えてきています。Googleの規模で売り上げがYoY+34.4%で伸びているのは異常事態です。やはり、異次元な企業体ですね。
それでは詳細を見ていきましょう。因みに次回の決算は7月29日に予定されています。
■ Revenue(売上高)
Q1-2021:売上553億ドル、YoY+34.4%(アナリスト予想:514億ドル)
市場予想を超えてきています。
以下は過去の売上推移です。
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※YoY = year over year(前年同期比)
Q1-2018:$31.15B(YoY+26%)
Q2-2018:$32.7B(YoY+26%)
Q3-2018:$33.7B(YoY+21%)
Q4-2018:$39.3B(YoY+22%)
Q1-2019:$36.3B(YoY+17%)
Q2-2019:$38.9B(YoY+19%)
Q3-2019:$40.5B(YoY+12%)
Q4-2019:$46.1B(YoY+17%)
Q1-2020:$41.2B(YoY+13%)
Q2-2020:$38.3B (YoY-2%)
Q3-2020:$46.2B(YoY+14%)
Q4-2020:$56.9B (YoY+23%)
Q1-2021:$55.3B(YoY+34%)←New!!
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Q1-2020後半〜Q2-2020はCovid-19が直撃。
しかし、その後人々の巣篭もりが続きました。そして、デジタルの活用が増えたことで、2020年第一四半期(Covid-19の影響が比較的少ない)を大きく上回る結果になりました。
部門別の売上高は以下です。
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⑴ Google Search & other:31,879M(YoY+30%/前年同期:24,502M)
⑵ YouTube ads:6,005M(YoY+49%/前年同期:4,308M)
⑶ Google Network:6,800M(YoY+30%/前年同期:5,223M)
⑴+⑵+⑶=Google advertising(広告売上合計)
=44,684M(YoY+32%/前年同期:33,763M)
・Google Services total:51,178M(前年同期:38,198M)
・Google Cloud:4,047M(前年同期:2,777M)
・Other Bets:198M(前年同期:135M)
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
■ EPS(1株当たりの当期純利益)
Q1-2021:$26.29、YoY+166%(アナリスト予想:$15.64)。
EPSも予想を大幅にクリアしています。
EPS予想は「Yahoo Finance」で取れます。アナリストは保守的に予想を出すため、決算企業はこれを超えなければ市場から好感されません。
Googleの過去EPS(non-GAAP)とYoYの推移は以下の通りです。
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
Q1-2018:$9.59
Q2-2018:$11.75
Q3-2018:$13.06
Q4-2018:$12.77
Q1-2019:$11.90(YoY+24%)
Q2-2019:$14.21(YoY+21%)
Q3-2019:$10.92(YoY-16%)
Q4-2019:$15.35(YoY+20%)
Q1-2020:$9.87(YoY-17%)
Q2-2020:$10.13(YoY-29%)
Q3-2020:$16.40(YoY+50%)
Q4-2020:$22.30(YoY+45%)
Q1-2021:$26.29(YoY+166%)←New!!
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Q1-2020は一時要因あるも、EPSがYoY+166%はとんでもない決算です。
2021年6月14日時点でGoogleの時価総額は1.66兆円程度です。このサイズの企業のEPSがYoY+40%など、また一時要因とはいえ100%を超えてくるのは、「世界を変えた企業」の堂々たる結果と言えそうですね。
Operating Income/Margin(営業利益/営業利益率)
営業利益は164.4億ドル、YoY+106%でした。
営業利益率は30%、前年同期は19%(Covid-19中の数字なので参考)。
このマージンの高さを生かして、後に触れる株主還元策(自社株買い)を実施しています。
■ 営業CF(キャッシュフロー)
近年は営業CFが加速していることがわかります。
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Q1-2018:$11,642M
Q2-2018:$10,132M
Q3-2018:$13,210M
Q4-2018:$12,987M
Q1-2019:$12,000M(YoY+3%)
Q2-2019:$12,627M(YoY+25%)
Q3-2019:$15,466M(YoY+17%)
Q4-2019:$14,427M(YoY+11%)
Q1-2020:$11,451M(YoY-5%)
Q2-2020:$13,993M(YoY+11%)
Q3-2020:$17,003M(YoY+10%)
Q4-2020:$22,677M(YoY+57%)
Q1-2021:$19,289M(YoY+68%)←New!!
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
■ フリー・キャッシュフロー
COVID-19時期を乗り越え、デジタル需要増加と共にFCも増加。
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Q1-2018:$4,343M
Q2-2018:$4,655M
Q3-2018:$7,928M
Q4-2018:$5,906M
Q1-2019:$7,362M(YoY+70%)
Q2-2019:$6,501M(YoY+40%)
Q3-2019:$8,734M(YoY+10%)
Q4-2019:$8,375M(YoY+42%)
Q1-2020:$5,446M(YoY+-26%)
Q2-2020:$8,602M(YoY+32%)
Q3-2020:$11,597M(YoY+33%)
Q4-2020:$17,198M(YoY+105%)
Q1-2021:$13,347M(YoY+145%) ←New!!
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
企業KPI
■ 部門別売上高と営業利益
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
⑴ Google Search & other
31,879M(前年同期:24,502M)
⑵ YouTube ads
6,005M(前年同期:4,038M)
⑶ Google Network
6,800M(前年同期:5,223M)
⑴+⑵+⑶=Google advertising
44,684M(前年同期:33,763M)
COVID-19で2020年3-6月期は成長が止まりましたが、その後大きく広告収入は増加しています。今後、ワクチン普及によりさらに成長していくのかどうか。グーグルは旅行広告が多く、COVID-19で自粛を強いられていた国民のが思い切り外出することで、さらに収益を伸ばす可能性があります(それを見込んで、すでに株価自体は上昇しています)。
・Google Services total:51,178M(前年同期:38,198M)
・Google Cloud:4,047M(前年同期:2,777M)
・Other Bets:198M(前年同期:135M)
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■ 部門別営業利益
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・Google Services total:19,546M(前年同期:11,548M)
・Google Cloud:-974M(前年同期:-1,730M)
・Other Bets:-1,145M(前年同期:-1,121M)
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■ Traffic Acquisition Costs (TAC)
TAC、こちらは日本語ではトラフィック獲得コストとIT業界では呼んでいます。トラフィックを獲得するためのコスト。つまりこれは簡単に言えば、ブロガーなどコンテンツを提供する人の給料です。
コンテンツが存在しないと、検索エンジンなど誰も使いません。「卵焼き 作り方」と調べてもスカスカの状態では、ググる気に全くなりませんよね。
そこでグーグルはブロガーの他に、Youtuberはもちろん、ブラウザを提供する企業(グーグル自身もGoogle Chromeを提供)、サードパーティの検索エンジン企業(エキサイトとか色々)などに報酬を与え、質の高いコンテンツ(お客さんを呼び寄せてくれる人)を保持しているのです。
ブロガーやYoutuberに支払う報酬ってのは、IT業界の人ならすぐわかると思いますが「Google Adsense」ってやつですね。ブログとかに広告貼ってあったり、Youtubeで最初に5秒とか広告出ますよね。あれです。クリックしたり、表示時間が長いと報酬が高くなったりします。
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Q2-2019:$7,238M
Q3-2019:$7,490M
Q4-2019:$8,501M
Q1-2020:$7,452M
Q2-2020:$6,694M
Q3-2020:$8,166M
Q4-2020:$10,466M
Q1-2021:$9,712M ←New!!
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年を追うごとにコストは増加。
財務状況(資本配分/自社株買い/M&A)
■ 資本配分
直近で公募などは実施していません。
■ 自社株買い
自社株買い実施です。投資家には有難いニュースです。
アルファベット社の取締役会は、同社のクラスC資本株式を最大500億ドルまで追加で買い戻すことを承認。買い戻しは、一般的なビジネスや市場の状況、その他の投資機会に応じて、公開市場で随時実施される予定。
過去の自社株買い(Repurchases of capital stock)の推移は以下の通りです。
広告事業が中核の事業ではキャッシュ創出力が高く、自社株買いもしっかり行なっていることがわかります。近年は増加傾向にありますね。
■ M&A
過去のM&AはなんとWikipediaにリストとしてまとまっていました。
List of mergers and acquisitions by Alphabet
すごい数のM&Aを実施してきています。合計243社を買収。
2021年はFitbit、Provino、Dysonicsを買収。
Fitbitは我々にも馴染みがある会社ですね。Appleウォッチに対抗する布石でしょうか(想像です)。
Provinoは、機械学習用のネットワーク・オン・チップ(NoC)システムを開発している新興企業です。
Dysonicsは、3Dオーディオ技術を開発しているスタートアップです。オーディオ関連のハードデバイスを開発中とのこと。こちらはAirpodsに対抗?(想像です)
FY21ガイダンス
発表なし。
CANSLIM考察
「CANSLIM」は成長株発掘法の著者、ウィリアム・オニール氏の成長株の見極めに用いられる判断指標です。
オニール氏の理念は以下です。
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・CANSLIMを満たすかどうかで真の成長株かどうかを見極める。
・株価チャートで売買のタイミングを測り大きな利益の獲得を狙う。
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CANSLIMとは以下の頭文字です。これら全てを満たすと「大化け株」となります。(満たしていなくても有望銘柄として売買はOK、投資家の技量が試される)
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・C(=Current Quarterly Earnings=当四半期のEPSと売上)
・A(=Annual Earnings Increase=年間EPSの増加、高いROE水準)
・N(=New Products, New Management, New Highs=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値)
・S(=Supply and Demand=株式の需要と供給)
・L(=Leader or Laggard=主導銘柄か、停滞銘柄か)
・I(=Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)
・M(=Marker Direction=株式市場の方向)
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さらに詳しくは以下の記事で確認してください。成長株でリターンを獲得するにあたり、オニールのCANSLIM投資戦略は非常に有益です。
筆者がGoogle(ティッカーシンボル:GOOGL・GOOG)で行った2021年6月15日時点の判定結果は以下の通りでした。
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C:◯
A:△
N:△
S:◯
L:◯
I:△
M:◯
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明確に「×」がないところは流石すぎる結果と言えます。はっきりとした大化け株ではありませんが、文句なしでGoogle(Alphabet)は有望銘柄であるといえる水準だと思います。値動きの趨勢が上を向いた時を狙い澄まして、投資をしていっても良い銘柄として筆者は捉えています。
それでは各項目の詳細を見ていきましょう。
■ C(=当四半期のEPSと売上) ◯
C(=Current Quarterly Earnings)を見ていきます。
ここでは以下の2つを判定します。
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⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?
⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?
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⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?
当四半期のEPSが前年同期比で大きな伸び率を示しているかどうかを見ます。最低目標は25〜30%です。より保守的に見るのであれば40〜500%です。
GoogleのQ1-21のEPSはYoY+166%でした。文句なしでクリアです。
⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?
次に売上の伸びを見ていきます。売上はYoY+25%以上、直近3四半期も伸び率は加速しています(COVID-19一時要因ありますが)。
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※YoY = year over year(前年同期比)
Q1-2018:$31.15B(YoY+26%)
Q2-2018:$32.7B(YoY+26%)
Q3-2018:$33.7B(YoY+21%)
Q4-2018:$39.3B(YoY+22%)
Q1-2019:$36.3B(YoY+17%)
Q2-2019:$38.9B(YoY+19%)
Q3-2019:$40.5B(YoY+12%)
Q4-2019:$46.1B(YoY+17%)
Q1-2020:$41.2B(YoY+13%)
Q2-2020:$38.3B (YoY-2%)
Q3-2020:$46.2B(YoY+14%)
Q4-2020:$56.9B (YoY+23%)
Q1-2021:$55.3B(YoY+34%)←New!!
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⑴EPS、⑵売上双方クリアしているので、C(=Current Quarterly Earnings)は「◯」です。
■ A(=年間EPSの増加、高いROE水準) △
ここでは以下の2つを判定します。
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⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?
⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?
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⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?
年間EPSが過去3年連続で増加しているかどうか、その増加率が25〜50%以上の銘柄かを見ていきます。
2年目のEPSが下がっている銘柄は除外されます。Googleの過去の年間EPSを見ていきます。
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2018年:$47.17
2019年:$52.38(YoY+11%)
2020年:$58.7(YoY+12%)
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3年連続で年間EPSは増加していますが、増加率は10%台です。「△」でしょうか。
⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?
ROEが最低でも17%を超えているかどうかをチェックします。
Googleは23.69%です。
(YFinance:GOOG)
広告で収益を上げる会社ならではのROEの高さですね。ここの判定は「◯」です。
⑴⑵合わせて「△」が妥当かなと思います。
■ N(=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値) △
N(=New Products, New Management, New Highs)を見ていきます。
株価が驚くような上昇を見せるには何か新しいもの(収益増加率を加速的に伸ばす原動力)が必要です。
Googleといえば検索エンジン開発で人々の様々な疑問を解決してきました(といってもYahooなどが先んじてサービスは始めており後発組ではあります)。
近年もクラウドコンピューティングサービス(AMZN, MSFTと競合関係)や、ビデオゲーム市場(クラウドゲーミングプラットフォーム立ち上げ)にも参入。Youtube買収により、才能ある個人クリエイターを世に多数輩出もしています。
しかし、大陸横断鉄道が認可されたり、Windowsのように家庭パソコンをい一気に普及させるような「我々の生活に革命を起こす」ようなサービスの発表は近年は発表されていません。
近年取り組んでいる自動運転車開発部門のウェイモのタクシー配車サービス、ARcore(拡張現実プラットフォーム)などは革命を起こす可能性を秘めています。しかし、まだこちらを評価するには時期尚早です。
(6月16日時点株価チャート)
N(=New Products, New Management, New Highs)の「正しい株価ベースを抜けて新高値」はOKです。綺麗に高値抜けしています。
総じて、N(=New Products, New Management, New Highs)は「△」というところでしょうか。
■ S(=株式の需要と供給) ◯
S(=Supply and Demand)を見ていきます。
Sは以下の複数項目があります。一つずつチェックしていきます。
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⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)
⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。
⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。
⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)
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⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)
例えば、発行済株式数が5,000万株ほどの比較的供給量の少ない銘柄ならある程度の買いが入ります(その分リスクも隣り合わせです)。
Google(Alphabet)の総発行株式は670.16百万株です。
Googleの浮動株の数を見ていきます。
大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましいです。企業として株価上昇に対する努力への期待度を示します。
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・Shares Outstanding(総発行済株式数):670.16百万株
・Float:(浮動株式数):583.5百万株
・浮動株比率:87%
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Googleの時価総額は2021年6月15日時点で 1.67兆ドル(約170兆円)なので「大企業」です。超大企業です。
同社の浮動株比率は87%。経営陣が保有している株式比率が1-3%を上回っています。「◯」です。
⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。
上記「財務状況」の項目でも触れましたが、オニール流の「自社株買いをしている企業が望ましい」としています。
Googleは実施しています。「◯」です。
⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。
次に、総資本に対する負債比率の低い企業かどうかを見ていきます。
過去2-3年で負債比率が減少していれば、利息支払い費用が削減されEPS向上が見込まれます。
特にIPOしたばかりのグロース株は収益が小さいため、この利息費用のインパクトが大企業に比べて大きいので、しっかり見ておく必要があります(Googleはもう20年近く経つのですが、一応確認はします)。
(Balance Sheet/FY2019&2020)
(Balance Sheet/FY2018)
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■ 2020年12月31日
総資本:319,616 million
負債:97,072 million
負債比率:30.4%
■ 2019年12月31日
総資本:275,909 million
負債:74,467 million
負債比率:27%
■ 2018年12月31日
総資本:232,792 million
負債:55,164 million
負債比率:23.7%
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非常に簡易的ではありますが、負債比率は2018年から2020年にかけて増加しています。こちらの判定に関しては、「×」ということになります。
⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)
最後に、直近の出来高についてです。
(見難いのでクリックして拡大推奨)
Googleの出来高に関しては教科書通りといいますか、3月の調整で一部売られるも、4月27日の好決算で綺麗に出来高が増え、株価も上昇しました。
「機関の買い」が入っていることが確認できましたので「◯」です。
S(=Supply and Demand)は、⑴◯、⑵◯、⑶×、⑷◯でした。トータルで考えると「◯」でしょうか。
■ L(=主導銘柄か、停滞銘柄か) ◯
業界内で最高の業績を記録しているかどうかを測る「L(=Leader or Laggard)」を見ていきましょう。
ここでは業界内上位2-3銘柄に入っているかどうかを判断します。
これは、レラティブストレングス指数が80〜90代かどうかで判断をします。
レラティブストレングス指数とは、ある特定の銘柄の値動きを市場の残りの銘柄の値動きと過去五二週間にわたり比較するものです。 各銘柄に1~99の数値が割り当てられ、高ければ評価が良いと判断されます。
2021年6月15日時点のGoogle(Alphabet)のRS Rateは85でした。
銘柄検討を実施する大前提となる80の数字を上回っています。
Google(Alphabet)の、L(=Leader or Laggard)は「◯」です。
■ I(=機関投資家による保有) △
I(=Institutional Sponsorship)を見ていきます。
株価を押し上げるには大きな需要が必要です。投資信託、年金基金、ヘッジファンド、保険会社など。機関投資家に保有されている銘柄であるかどうかが非常に重要になります。
また、その機関投資家は高いリターンを出す優秀な組織体(ファンド)なのか?という点も大切です。
見極め方として、最近の四半期で保有する機関投資家の数が着実に増加しているか、株主数が著しく増加しているか。
また株主となった機関投資家は誰なのかまで詳しく調べます。
「優秀なファンドが大人買いしているか」を満たさなければならないのでかなり高度な判定です。
まずはGoogleの機関投資家保有株数の直近の動きです。
(引用:Fintel「Institutional Ownership and Shareholders」)
傾向としては機関投資家のポジションは2020年から横ばいです。
参考までですが、以下はMarketSmithで確認できる、Googleに投資をしている機関投資家(ファンド)の数です。一応、こちらは増加傾向にあることが確認できます。
[GOOG]
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Jun-20:3918
Sep-20:4010
Dec-20:4069
Mar-21:4171
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
[GOOGL]
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
Jun-20:5215
Sep-20:5360
Dec-20:5509
Mar-21:5623
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2020年9月からは増加傾向にあります。
次に優秀なファンドが買っているかどうかです。当然買っているのは間違い無いのですが、どのような顔ぶれになっているのかを見ていきます。
直近の株主は以下の通りです(Yahoo Finance:Holders)。名だたる投資ファンドがGoogle(Alphabet)株を保有し続けています。
□ Top Institutional Holders(機関投資家保有上位)
[GOOG]
[GOOGL]
当然ですが、GoogleはS&P500指数のトップ企業です。相当な数のインデックスファンドに組み入れられています。Vanguardがその筆頭ですね。VTIなど優良な金融商品を展開しているファンドです。
□ Top Mutual Fund Holders(ファンド保有上位)
[GOOG]
[GOOGL]
ベンチマークを超えるリターンを超えることが使命とされるのがアクティブファンドです。
以下一流のファンドにGoogleは投資をされています。
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□ ファンド名(保有数良順)・・・10year Performance(Before Tax)
・Growth Fund Of America Inc・・・14.71%
・Price (T.Rowe) Blue Chip Growth Fund Inc.・・・17.07%
・Vanguard/Wellington Fund Inc.・・・10.09%
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Growth Fund Of America Incに関しては、Squareにも投資を実行し上位ファンドに位置しています。
直近四半期で機関投資家の保有数量は横ばいですが、現在の上位株主から、優秀なファンドにも購入されていることが確認できます。総じて考えると、I(=Institutional Sponsorship)は「△」という判定になります。
■ M(=株式市場の方向) ◯
M=Marker DirectionはGoogleに関わらず全銘柄に関わることです。
「強気相場」であればハイパーグロース株を積極的に買っていっても良いとされています。2021年6月15日現在は「確固たる上昇相場」です。基本的には積極的に買っていってよい相場です。
その根拠は週刊レポートで確認してください(毎週末に定期更新)。
2021年6月16日時点の株価チャート
Google(Alphabet)は2020年3月の下落からいち早く回復したものの、他ハイパーグロース株に比べるとその値上がり率は限定的でした。
しかし、2021年の2-4月の調整からいち早く抜け出し新高値をつけました。現在は出来高も伴い買い場となっています。
景気回復ピークも迎え、テックに再度資金が入っていくフェーズに移っており、GAFAMに投資するのは手堅い選択肢になるかもしれません。
ー完ー
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