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幕末エピソード12 武勇伝あるある「1対〇〇人」を大人になってやってみた
幕末エピソード12ですよ!
おっさらーい。
長州が京都で《禁門の変》おこしちゃう。
↓
同時期に《四国艦隊下関砲撃事件》おこる。
↓
まとめると、「長州ボロボロ」って感じ。
悲劇コンボでピヨりまくりの長州。
それなのにここへきて、最大! 最強! のピンチがやってきます。
長州の悲劇、
1stシーズン、シュー…ドン! 《八月十八日の政変》
2ndシーズン、シュー…ドン! 《禁門の変》
3rdシーズン、シュー…ドン! 《四国艦隊下関砲撃事件》
そして4thシーズン、シューーー………ドン!
《長州征討(ちょうしゅうせいとう)》
幕府が大軍で攻めて来ることが決定したんです。
長州、完全にオワリました。
朝廷から「長州やっちまいな」の勅命(天皇の命令)をもらった幕府は、《征長軍(長州やっちゃう軍)》ってのを編成。
参加する藩の数、35。
兵の数、驚きの約15万。
参謀には西郷隆盛さんが任命され、
第一次長州征討(だいいちじちょうしゅうせいとう。第一次長州征伐でもオッケー)
という、大イベントが始まります。
もう一回言っときます。長州オワリました。
ところが……です。
参謀の西郷さんの発言で、一気に事情が変わります。
西郷隆盛「長州を攻めるのはやめましょう。彼らが『恭順(従います!)』の姿勢を見せるのであれば、それで終わりにしましょうよ」
聖母・隆盛(男です)。
長州征討なのに征討しないことを提案。
かなりのイケメン発言ですが……実は西郷さん、少し前までは「長州滅ぼしてやんよ!」というゴリゴリの武闘派。
それが一転、西郷マリアに変身です(男のままです)。
この急な優しさの裏には“ある人物”の考えが影響した(んじゃないか?)と言われてるんですが、その人物こそ、
勝海舟です。
勝さんとの出会いは「幕府に『勝』っていう優秀な男がいるから、会ってみてよ」という、人からの紹介。
ただそのときの西郷さん、幕府の長州攻めの準備がグッダグダな様を見てるので、
西郷「幕府の中に優秀な人間? どうなんだか……。何を言ってもよゆーで論破してやるさ」
こんな感情。
ガチコンいったるつもりで勝さんと会うことにします。
西郷「ちょっといいすか? 長州やっつけた外国の艦隊がその勢いで大坂に来るってウワサあるし、長州征伐の準備は全然グダグダだし、幕府……大丈夫なんすか?」
勝海舟「幕府はオワコンだからね」
西郷「……え?」
勝「幕府の中にも優秀な人はいるよ。でもほとんどの連中が自分のことばっかで、広い視野持ったヤツなんていないわけよ。だから外国との交渉も、幕府なんかじゃできるわけねーしww」
西郷「(身内のことムチャクチャ言うじゃん……)じゃ今後はどのように?」
勝「もう幕府のシステム自体に限界がきてるのさ。これからは雄藩(力のある藩)のトップが4、5人集まって、会議をした上でこの国の政治を進めていくべきだと思う。でだ……長州は雄藩だ。今言った会議メンバーの候補だと思わねーか? その長州を攻め滅ぼすということは、イコール日本が弱くなるということ。長州を滅ぼすのは日本にとっての損失。いいかい? 今は“内輪もめ”をしてるときじゃない」
西郷「…………わーーー!!」
西郷さん唸ります(「わー」とは言ってないでしょうが)。
大久保(利通)さんに送った手紙の中でも
『勝さんて人に会ったんだけど、マジ驚いたー! 最初はカマしてやるつもりだったんけど、こっちが頭下げちゃう結果になった! どんだけ頭良くて、いろんなこと考えてるか底知れないよあの人は。ほれたーー!』
と、勝さんをベタ褒め(ポップにするとこう)。
一方、勝さんものちに
『今までにこの世で恐ろしいヤツを2人見た。横井小楠と西郷隆盛だ』
と語るほど、西郷さんをバツグンに評価しているんですね(横井小楠(よこいしょうなん)て人も、新しい考え持ったスッゴイ人です。明治政府の基本方針は、この人の考えたことが下敷きになってたりします。横井さんの影響を受けた人は、勝さんや西郷さん、他にもわんさかいるよ)。
こうして、英雄同士は出会い、お互いを認めあいます。
やがて、幕末が最大のターニングポイントを迎えるとき、2人は再び顔を合わせることになるのですが、それはまた別のお話……(いや、ま、別ではないんですけどね)。
そんなこんなで戦争しないことを決めた西郷さんは、長州にそのことを伝えます。
西郷「そちらへの進軍を“いったん"ストップさせます。ただし、そのためには謝罪の意思表示が必要だ」
長州「……謝罪の…意思表示?」
西郷「ますば、《禁門の変》の中心となった三家老と四参謀(って人たちがいたよ)の首を、差し出してもらおう」
エグめだけど、やっぱそれなりの条件は必要。
が、長州ってところは、攘夷を叫んで暴れまくった藩。
京都を追放されても「オレたちが正しいんだ!」と勝手に戻って来たり、外国にもガンガン戦いを挑むような連中です。
いくら幕府が大軍で攻めてこようが、素直に言うことを聞くわけがない。
しかし……、
長州「はい」
聞きます。
すごく素直に言うこと聞いて、あっさり三家老と四参謀を処刑。
イケイケなあの姿はどこへ。ファンがっかりだよ(誰へ向けての何目線かわかりませんが)。
しかし、西郷の言うこと聞くのは、これ当然。
このときの長州を引っ張っていたのは、あの“イケイケ”な連中じゃないから。
長州には2つの派閥がありまして……。
今まで暴れまくった、晋作たち尊王攘夷のイケイケ派=《正義派》と、
幕府には絶対従うというグループ=《俗論派(ぞくろんは)》に、
分かれていました(この呼び名は晋作がつけたらしいです。自分たちに「正義」ってつけるあたりさすが)。
で、あるときゾクロン派がブチ切れます(漢字だとお堅いのでカタカナでいくね)。
ゾクロン派「テメーら、セイギ派が好き勝手にやってきたおかげで、長州ボロボロじゃねーか! もうこれ以上任せてられねえ。オメーらのやり方は全否定する! いいか、長州藩を守るために、俺たちは幕府の言うことにひたすら従うからな!!」
怒りのストームを巻き起こしたゾクロン派は、セイギ派の偉い人たちを処刑したり、牢獄にブチ込んだりして、長州を支配。
だからこのとき、幕府の言うことにはなんでも従う“いい子ちゃん長州”に仕上がってたんです。
そんな長州に、幕府から、『これができたら、本当に戦争はナシだよ』っていう条件が届きます。
1、藩主父子からの謝罪文の提出
1、山口城の破壊
1、五卿の九州への移動(『七卿』がね、1人死亡して、1人いなくなって、『五卿』になってたんだよ)
ゾクロン派「なかなかイージーだぞ!!」
まず、藩主父子からの「ごめんなさい」お手紙を届け、1個クリア。
山口城の破壊も、瓦を10数枚壊しただけでオッケー(形式的なものでよかったらしいです)。
残すは《五卿の九州への移動》だけ……なんだけど、ここでキョーレツなストップが。
セイギ派「絶対ぇダメだ! 《五卿》メンバーは、朝廷とオレたちとの最後のつながり、全員で守ってきた最後の砦だ! 九州になんて行かせねーかんな!」
とにかくセイギ派が大反対。
そのセイギ派の中でも特に強く反対したのが、
《諸隊》
と呼ばれる、様々な部隊のメンバーたち(高杉晋作が奇兵隊を作ったことをキッカケに、御楯隊(みたてたい)、遊撃隊、力士隊……などなど、たくさんの部隊が出来上がっていたんです)。
ゾクロン派と諸隊は、ガチゴチにいがみ合い、
ゾクロン派「『諸隊は解散しろ!』って言っただろ! ダラダラ抵抗してんじゃねー!」
諸隊「解散なんてしねーよ! 五卿の九州行きも認めねーからな!」
「解散しろ!」「認めねー!」、これぞ、地の果てまで続く平行線。
晋作の作った奇兵隊三代目のリーダー、
赤禰武人(あかねたけと)
さんて人は、「ゾクロン派と仲良くした方がいいよ!」と主張するんですが、奇兵隊の幹部やってた
山縣有朋(やまがたありとも。のちに《日本陸軍の父》なんて呼ばれる人だよ)
さんなんかに、「テメどっちの味方だよ!」と反対され、諸隊内でも平行線です。
ところが、そんなモメモメの諸隊のもとへ、
西郷「よ!」
諸隊「わ!!!!!」
突然の西郷。
諸隊を説得するため、長州藩という”どアウェイ”に、「よ!」と、少年ジャンプのマンガに出てくる主人公みたいな現れ方をします。
諸隊「ど、堂々と敵地に乗り込んでくるだなんて……い、一体なんの用すか……?」
西郷「五卿の九州行きを認めてくんねーか? そしたら戦争にならなくて済むからさ」
諸隊「………あんたみたいに気合いの入った人が言うなら……でも……」
グラ〜と揺れ動き始めた諸隊。そこへダメ押しが入ります。
五卿レッド「……九州に行こう!」
五卿ブルー「そうだね、レッド!」
五卿ピンク「それでいいの?」
五卿レッド「ああ。これ以上、長州のみんなに迷惑をかけるわけにはいかない! オレたちから進んで九州へ行こうじゃないか! なぁ!」
五卿グリーン&イエロー「わかった!」
諸隊「………(いつ色分けしたんだろ?)」
『公卿戦隊五卿レンジャー』自身が、九州行きをオッケーしたのでした(西郷さんと諸隊の幹部たちが話し合った内容はわかってないけど、なんにせよ五卿たちはオッケーしてるよー。あと色分けなんてしてないよ)。
守るべき五卿はいなくなるし、抵抗する気も萎えてきた……。
アカネ(赤禰)の言う通り、やっぱりゾクロン派と仲良くやった方がいいのかな……
という空気が諸隊に流れ始めたころ、
「そんなもんはゼッタイ認めるわけにはいかない!!」
と、1人大反対する男が。
長州に波乱が訪れるとき、“とにかく舞い戻ってくる男”が舞い戻ってきます。
もう不死鳥かどうかもよくわかんないですが、
みなさまの予想通り高杉晋作
です。
諸隊幹部「長州藩がゾクロン派に乗っ取られると、身の危険を感じて九州へ逃げたセイギ派の晋作!」
諸隊幹部「逃げたわりにはセイギ派の家老たちが処刑されたことを知ると、メッチャ怒った晋作!」
諸隊幹部「長州へ戻って、ゾクロン派と戦うことを決意した晋作!」
そんな晋作が(いつもの晋作ですね)、独りゾクロン派と戦うことを主張したんです。
晋作「戦いを挑むのは12月14日だ!」
もう日取りまで決めちゃう。
赤穂浪士が吉良邸に討ち入りした日、しかも師である吉田松陰が脱藩をした日、それが“12月14日”。この日を決戦の日に定めます。
自分が立ち上がれば、諸隊のみんなもついてきてくれるはず。なぁみんな、一緒に戦おうじゃないか——。
諸隊幹部「戦いません! やめてください!」
反対して、止められます。
晋作からすれば、歯がゆさ満点。
自分が作った奇兵隊や、それキッカケで出来た諸隊が思い通りにならないんですから。
作ったロボが博士の手を離れ、勝手に動き回ってる感じに近い(っぽい)。
もどかしさ全開の晋作は、諸隊メンバーの説得にかかります。
晋作「お前らははアカネにダマされてんだよ! そもそもあいつはただの百姓だろう!? 国がヤバいとか、藩主父子がピンチだとか、あいつにわかるわけないんだ! オレは毛利家に代々300年仕えた家の者だ。アカネのような百姓と比べんじゃねー!」(差別発言バリバリですが、実際にこんなこと言ったらしいす。)
さらに
晋作「頼む、一匹の馬を貸してくれ。オレはその馬に乗って藩主父子のもとに駆けつける! 一里進んで死んだとしても、十里進んで死んだとしても、その距離だけ長州や毛利家のために命を尽くしたことになる。頼む! オレに馬を貸してくれ!」(これも実際の言葉から。)
自分がどれほど長州を思っているか、藩主父子の身を案じているか……目は血走り、口は裂けんばかりに、心からの叫びをぶつける晋作。
そのエネルギーの凄まじさと、決意の固さに、その場の全員が心を動かされ……なかったし、賛同しませんでした。
諸隊のみんな「(シーーーン)」
ビックリするくらい響いてません。
そもそも身分の低い人たちで構成された諸隊ですから、晋作の「オレはエリートだ」的な演説がささるわけないし、むしろ鼻につく。
政治家「みなさん、私に清き一票を! 私はこの町のことを本気で考えている! なぜなら私は家柄がいいからです!」
一般市民「は?」
これと一緒。
結局反感だけ買い、仲間集まらずです。
でも、そんな晋作に声をかけたのが、
伊藤博文「晋作さんが立ち上がるなら……オレはついていきます!」
あなたとコンビに伊藤博文だったんです。
そして訪れる決戦の日。
この日と誓った12月14日……だったのを、準備に手間取り、翌日にズラします(おちゃめ)。
本当の決戦日がやってきます。
元治元年12月15日(1865年1月12日)
高杉晋作の狂気に感染した者たちが、五卿の滞在する深夜の功山寺(こうざんじ)に集結。
伊藤博文率いる力士隊。
石川小五郎率いる遊撃隊。
一つの藩を相手取ったこの戦いに、参加した人数、わずか84名。
下関では珍しく降り積もった雪と、それを照らす月明かりのみが、門出を祝います。
晋作は、眠りから覚めた五卿の1人、三条実美に、ゾクロン派を討つことを告げ、叫んだんです。
「これより! 長州男児の腕前をご覧に入れましょう!!」
(是よりは長州男児の腕前お目にかけ申すべし)
高杉晋作VS長州藩政府。
誰の目から見ても無謀なクーデターが始まります。
晋作はまず、下関の出張所、つまりはゾクロン派のいる場所を襲撃し、瞬く間に占拠。
その勢いのまま、息もつかせぬスピードで三田尻(山口県防府市)にある海軍局を襲い、なんと軍艦を奪うことに成功します。
ただ、ゾクロン派も黙ってません。
このクーデターにブチギれ、捕らえていたセイギ派の高官を処刑。
さらに、反乱分子を討つため、大軍を出動させるんです。
しかし、時代の流れは晋作に味方します。
報告する人「し、晋作さん! 山縣さんたちがゾクロン派を攻撃したって!」
晋作「!」
報告する人「し、しかもその戦いに……勝ったって!!」
晋作たち「………よっしゃぁぁぁーーー!!」
セイギ派の仲間をことごとく処刑し、諸隊を潰そうとするゾクロン派に、山縣たち諸隊の怒りが大爆発。晋作とともに立ち上がることを決意したのでした。
そして、この勢いに民衆の力がプラスされます。
一緒に戦いと志願する者が晋作のもとを訪れ、農民と商人からは、食料や軍資金が届けられたのです。
大きな力に膨れ上がった諸隊は、次々とゾクロン派を撃破。
最後の仕上げに、奪った軍艦でゾクロン派のいる萩城(はぎじょう)近くに向かうと、その城にめがけ、
晋作「ぶっ……放せぇぇぇーーー!!」
ドーーーーーーーーーーン!!
空砲を放ち、ド派手な脅しをかけたのでした。
もはや勝ち目がないと悟ったゾクロン派は、萩城を出て行きます。
しかし……これだけハデなクーデターを征長軍が見逃すはずがありません。
西郷「長州は条件を満たしたので、征長軍は解散します」
幕府「え!? 高杉暴れてるよ!? 解散すんなよ!」
西郷「それ長州の問題なんで、介入しません」
幕府「……えマジで解散!?」
見逃します。てかちょっと前に解散してます。
というわけで、
晋作「長州を……奪い返したぞー!!」
諸隊「おおおぉぉぉーーー!!!」
信じられないことに、晋作の勝利。
1人の人間が発した狂気が、時代を振動させながら恐るべきスピードで伝播し、ついには長州という国をひっくり返してしまいました。
晋作の圧倒的な決意が起こした奇跡、
功山寺挙兵(《回転義挙》とも言います)
は、こうして幕を閉じたのでした。
熱狂に包まれた長州藩は、その熱に溶けたかのように形を変えていきます。
藩のスタンスは、
『表向きは幕府に従う感じ出すけど、戦闘の準備はバリバリすっから。あっちが攻撃してくんならいつでもやったんぞ』
に統一され、イケイケ長州藩が復活しました(この考え『武備恭順』て言うよ)。
その軍事面を、「西洋式にリニューアルしましょ」ってことで、海外の知識いっぱい持ってる軍略の天才、
大村益次郎(おおむらますじろう。事実上、日本陸軍創った人だよ)
って人に任せます。
そして、新しい長州には新しいリーダーが必要ということで、晋作たちの強い希望により、
伊藤「あ、帰ってきた!!」
桂小五郎「た……ただいま(おずおず)」
晋作たち「おかえりーー!!」
《禁門の変》以来、京都から但馬(兵庫県だよ)に姿をくらませていた……桂小五郎を迎え入れたのでした。
長州が変わります。
中身が変われば、交流も変わる。
このあと長州は、驚きの“お友達”を作ることに。
それに関連して次回、やっと“あの有名人”の登場ぜよ!
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