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「やれたかも」に狂うBalatro、甘やかしのCookie Clicker【2024/6/5追記】
ローグライクポーカーゲーム・Balatroのプレイ時間が100時間を超えている。
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最近のめり込んでいる自覚はあったので何時間くらいやってんのかな、と確認したらこの数字だった。一瞬見なかったことにしようかと思った。
何か嫌な予感がしてCookie Clickerのプレイ時間を確認する。
私は一時期ブラウザ版のCookie Clickerにめちゃくちゃにのめりこみ、その後「Orteil兄貴には恩義がありますからね……」という顔で買ったsteam版にも購入以来(確認したら2021年の9月だった)結構な時間を費やしている。
一応説明しておくとCookie Clickerとはクッキーをクリックして獲得したクッキーを元手にクッキーを自動生産する施設を買い天文学的数量のクッキーを焼くゲームである。ジャンルは多分放置ゲー。
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流石に追い抜いてはいなかったが、こうなってくると逆に「そんなにやりこんでないなCookie Clicker」という雰囲気すらある。そんなわけあるか。上を見ればキリがないが450時間は十分「やってる」領域だ。
ブラウザ版からの付き合いなので実感としてのプレイ時間は倍以上だと思うが、それにしても比較して明らかにBalatroにのめり込み過ぎている。このゲーム今年の2/20リリースだぞ。
人生で一番時間を費やしたゲームがおそらくFate/Grand Orderで、2位をCookie Clickerと着せ替えゲームフェアリードールが争い続け、3位があつまれどうぶつの森とかだと思うのだが、そこにものすごい勢いで発売から3か月ちょっとのゲームがつけてきている。
あつ森を追い抜いていたら怖いのであつ森のプレイ時間は確認していない。
しかしなんでこんなにのめり込んでいるのだろうかこのゲームに。
Balatroはローグライクポーカーゲームだが、上記ラインナップから透けている通り私はローグライクにもポーカーにもゲームにも詳しくないので、このゲームがどの程度特異なのかという解説は出来ない。
100時間も別に騒ぐほどのプレイ時間ではないのかもしれない。
だが私はこいつにうっかり出会ってしまい、私の観点からこいつに狂っているので、だから私とこいつの話をする。
とはいえゲームの概要くらいは説明できる。
プレイヤーはトランプのデッキ1セットを与えられ、そこから引いた手札でポーカーの役を作る。
ポーカーの役にはそれぞれチップと倍率が設定されており、強い役を強いカードで作るほど多くチップを獲得できる。それぞれのラウンド(以下ブラインド)で目標チップが設定され、その値を自分の作った役の総チップで突破できればクリア。
対人戦無し、キャラクターもストーリーもなし、NPCですらない目標値とのタイマン勝負だ。
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ブラインドをクリアすると報酬金(ゲーム内通貨だ。Balatroの外には持ちだせないし課金で増やすこともできない)を与えられ、ショップに行く。
ショップではデッキ全体に効果をもたらすジョーカーカードや特定の役の倍率を上げる惑星カード、デッキのトランプを強くしたりデッキを圧縮できたりするタロットカードなどがランダムに並ぶので、それを買ってデッキを強化し、より多くのチップを稼げるようにして次のブラインドに向かう。
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狙いのカードがショップに並ぶとは限らないし、並んでいても資金が足りるとは限らない。
うまくやるとデッキが全部スペードになって一生Aのフラッシュファイブ(スートと数字が全部同じ5枚で作る役。普通のポーカーではインチキなしには出せない)を出し続けられるようになったりするが、フラッシュを出すよりハイカード、つまりカード1枚だけの方が強くなるときもザラだ。
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仮に手札に4枚キングがある場合倍率は最低でも役のベース倍率×5.0625になる。
こうなると手札の強化具合によるがキングのフォーカードより別のカードでハイカードを出した方が強いことがある。
最初は300点、400点がやっとだったデッキから、そのうちぽんと10000点だの50000点だのが出てくるようになり、それに合わせてラウンドの目標値もどんどん跳ね上がっていく。しかも3ブラインドおきに訪れるボスブラインドは特定のスートを封じられたり、カードを裏向きに配られたりといやらしいギミックが待っている。
そして敗北すればすべての強化は無に帰す。ローグライクとはそういうものらしい。また300点が精々のデッキを握って最初のブラインドから走り始めなければいけない。
ボスブラインドをクリアするたびアンティが上昇し、(アンティもブラインドも元は強制的な賭け金を示す語らしいが、Balatroではステージやラウンドを指す)一応の勝利目標であるアンティ8のボスブラインドでは通常100,000点を要求される。
しかもそれを突破したプレイヤーに待っているのは、本物の修羅の道、エンドレスモードだ。要求チップは加速度的に跳ね上がる。
自分はひとまずジョーカーなどのコレクションのコンプリートを目指しているが、アンティ12に到達しないと解放されないカードがあるのにまだアンティ11のボスブラインドを突破できていない。要求チップは14,400,000。
100時間やって?という架空Balatroプレイヤーの嘲笑が聞こえなくもないが架空なので無視する。Balatroプレイヤーの平均プレイ時間を私は知らない。
……という説明を最近会った友人にもしている。
「そのうちめちゃくちゃ大きい数字が出るようになる」というあたりで友人たちが皆「Cookie Clickerじゃん」と言う。Balatroの話をするくらいの距離の友人は大体全員私がCookie Clickerにのめり込みまくった過去を知っていて、誰もBalatroをやっていないので、こいつまたやってらと笑う。
実にまっとうな反応だと思う。
その上で言うが全く違う。
Cookie ClickerとBalatroはそれぞれまだ見ぬ巨大な数字を叩きだす面白さがあり、愛すべきゲームであり、それだけが共通点だ。もたらす快楽の種類は全く違う。
Cookie Clickerは「待ち」のゲームだ。クッキーを増やし、増やしたクッキーで施設を買う。クッキーを増やす方法は数あるが、最終的には「待ち」に帰結する。クッキーの生産を待つ。ゴールデンクッキーを待つ。農場の作物が育つのを待つ。ランダムドロップを待つ。
待つ。待つ。待つ。
待っていれば必ずクッキーは増える。
逃してはいけないタイミングは極一部のやり込み要素にしか存在しない。厳密な管理は縛りプレイの領域で、そうしないルーズさをゲームは許す。さっき買わなかった施設はクッキーさえ貯まればまた買える。クリスマスやイースターなどの季節の行事すらクッキー次第でお買い上げできる。
私はかつてそれをぼんやりとした自分への許しとして受け取った。私がぼんやりしていても増えていく、シビアな選択と判断を強要せず私を甘やかす巨大な数字の喜びがCookie Clickerにはある。
しかしBalatroに待ちは無い。プレイヤーのターンしかない。選択だけが要求され、取り返しもつかない。あの時買わなかったジョーカー、今出さなかったカードを後悔しながら敗れていく。私が判断を誤っただけで可能性はあった、「ああ出来てさえいれば」と思いながら。甘やかしはしないが、光はちらつかされている。
その「可能性」にこそ狂うのだと思う。掴めなかった過去の可能性、そしてランダムなショップのラインナップと手札に対する未来の可能性。次はもっといい引きが来るかもしれない。次こそは。次こそはその運をきちんと乗りこなすことが出来る。自分にもやれる。
Balatroの快楽はCookie Clickerのそれとは対極にある。自分の選択で勝利を掴めるかもしれないという可能性と、それを実現できる快楽。
やってきたゲームのラインナップから察しているかもしれないが、私はおおよそ反射神経や器用さを要求されるゲームが得意でない。リアルタイムの戦闘や対人戦のあるゲームも不向きだ。
それでもBalatroはやれる。対人ゲームではないし、タイムリミットもない。なにより運が絡む。努力や修練とは関係なく、常に一定の可能性が光っている。それは多分、レベリングの努力で必ずボスに勝てるゲームよりも私を狂わせる。不器用さやトロさをねじ伏せて「やれる」可能性を見てしまう。もう一回が止まらなくなる。
ギャンブラーは、多分こうやって生まれる。リアルマネーを賭けるゲームでなくて本当に良かった。
別に特別な話ではないのだろう。ローグライクゲームに初めてハマった人間は全員こうなっているのかもしれない。全国数百万のローグライクゲーム愛好家たちが、こいつは何を今更言っているんだという目を向けている気がする。
ただ私がそれを知ったのはこの春だった。この春初めて、ローグライクゲームに狂っている。
私は今、自分ののめり込み具合にビビってこの文章を書いている。別にこの3ヶ月Balatroにすべてを費やしていたわけではないが、その時間でやれたことがあったと言われたらぐうの音も出ないし、ゲームをやり込んだ時間を無駄とは言いたくないが別のゲームも後ろに控えている。去年末に買って積まれ続けているFate/Samurai Remnantとか。
だが私は、私がこのゲームをどこまで「やれる」のか見てみたいとも思っている。本当にやれるのか、可能性はただ光っているだけなのか。もう少しそれを確認してみたいと思う。
とりあえずアンティ12にたどり着いたら報告しに来ます。
2024/06/05 追記
アンティ12に到達し、ついでに1撃100,000,000点をクリアしたのでコレクションもコンプリートできた。
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喜びすぎて点数を出した瞬間とかデッキ内容を撮り逃しているが、達成した時の戦法としては
・DNA(プレイしたカードが1枚の場合、それを複製して手札に加える)
・Shoot the Moon(手札のQ1枚につき倍率+13)
・Brainstorm(一番左のジョーカーの効果をコピー)
・Hologram(倍率×1からスタートしデッキにカードが増えるたびに掛け率0.25ずつ増加。1枚増加で×1.25、2枚増加で×1.5)
・なんかワンペアの時に効果あるやつ(後半ハイカードばっかりだったためチップ増か倍率増か思い出せない。倍率×1.5になるポリクローム状態なので残していただけ)
の5枚のジョーカーを構えていた。
スチール&レッドシールのQを作れたのでDNAで毎ターン複製、さらにBrainstormでもう一枚複製してHologramの倍率を稼ぎ、2手目以降はジョーカーを並び替えてShoot the Moonの倍率強化をコピー。手札で倍率を盛るため、出す役はハイカードが基本だ。
アンティ13までたどり着けたがデッキの中身は最終的に半分がスチール&レッドシールのQになっていたはず。
やはりハイカードつよい。ゴーストデッキはスペクトルカードで強化&圧縮&複製が捗るので高得点出しやすい気がする。
さて、アンティ12にたどり着いちゃったけどどうしようね。
達成感はある。嬉しい。
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ただ、達成率1.6%の難関実績を前に「やれたなあ」というか「やれてしまった」という慄きを含んだ感触がある。運が絡んだ成果は、自分の戦果というより恐るべき偶然の結果のような気が今になるとする。後みんな思ったほどやり込んでない。私は自分がビビっていたよりさらにこのゲームに狂っていたというのか?
さてアンティ12は当座の目標ではあったが別にBalatroそのもののゴールではない。かといって完全主義者++(全ジョーカーで最高難易度までクリア)とか目指したくね~~達成者いるのか?
まあ次この記事が更新されるときはそれをうっかりやれてしまった時だと思う……来ないよなそんなとき……多分……どうだろね……まあしばらくはこの可能性にも、はるか遠くの星の如く光っていてもらおうか……