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院長挨拶


2006年に獣医師免許を取得して以来、ヘビ以外(へびはどうしても触れません)の飼育動物全般の診療を行ってきました。10数年の間でも飼育動物の治療技術は目まぐるしく進化しています。これまで3件の動物病院の立ち上げを院長として行ってきました。地域それぞれに特徴がありますが、時代の推移ともにいずれもより高度なより専門的な治療を求められていく傾向がありました。ここ数年は、二次救急施設でのセンター長を拝命しており、より重篤な動物やより高度な技術が必要な症例の治療をチームとして行っておりました。多くの病気に関しては、標準治療と言われる、一般的な治療で治療で良くなるケースが殆どです。膨大な科学データに基づき研究がされていますので、まずは標準治療が重要となります。しかし、救急病院という特性上、あまり見ないような、教科書的ではない疾患や、標準治療から逸脱した病態の症例が多く集まりますので、どういう治療が適しているのか常に勉強し動物との対話を繰り返して判断していきます。なんとか生還するケースもありますし、残念ながら力及ばないケースもあります。そういった症例を多く見る中で、もっと早い段階で治療に介在できるのであれば予防できるのではないかと考え、「予防医療」を啓蒙する活動もしています。知ることで行動することで防げる動物の病気やケガがあります。ということを色々な活動を通してお伝えをしてきました。予防医療には、1次予防、2次予防、3次予防とあります。1次予防とは、そもそも病気をしないように予防すること。2次予防は、病気の早期発見を行い、早期治療により悪化することを予防すること。3次予防は、すでに発症した病気に対して適切に治療をしさらなる悪化や合併症を予防することです。1次予防として、熱中症予防として暑い時間の散歩は避ける、異物誤食の予防としてそもそも動物の生活スペースに異物を置かない、転倒や落下の回避のため適した床材の選択や動物自身の足裏のケアーなど基礎的な事から、病気に対しての知識を持っていただく事などがあります。2次予防としては、定期的に動物病院へ通っていただき、健康診断を行い、見つかった異常に対して、早期に対処してことが重要です。3次予防としては、疾病の重症度を早期に判断し、標準治療をベースにより良くなるように統合的にアプローチすることが重要となります。これまで、色々な治療を行ってきた結果、根本的に重要であると改めて考えていることは、病気をしない方法を見つける、あるいは病気をしても治りやすい状態を作り出すことです。ホメオスタシスと呼ばれる、外界の影響を受けても一定の条件に収まるよう調整する生体の恒常性を保つこと。東洋医療の表現を使うと未病と呼ばれる、病気の前駆状態から引き戻すことに対してどう考えどう行動するかということがとても重要であると考えています。私は、それを、「軸を整える」と表現しています。風邪をひいたり、怪我をしてもすぐに治る様に、より大きく体調を崩しそうになってもすぐに治る方向で調整のできる状態を作ることが大切です。例えば、スポーツにおいて、ボディーワークにより体軸を整えると技術の向上が早まり、メンタルトレーニングで精神的な軸を整えることでより高度な駆け引きが可能となると言われています。スポーツ選手やトレーナーは、高度な知識と高度な肉体感覚によって人々の感動につながるようなパフォーマンスを生み出します。あるいは、介護の現場ですと、古武術の体軸を整える技術を取り入れて、介護する人される人の双方に負担の少ない形で体の移動をさせることができます。動物においては、4足歩行であるため大きく体軸がぶれるケースは少ないものの、環境の変化や家族の精神的な変化などを敏感に察知し、精神的な軸は影響を受けやすいと考えています。同じ環境で生活している人と動物は相互に影響しあっており、お互いに良い影響を与え合うことが病気の予防に大きく関わっているのではないかと考えています。昨今、科学技術の急激な進歩により、色々な「軸を整える」方法が出てきています。どの方法が良いかは個々の状況によると思いますので、色々なアプローチがご提供できるよう環境を整えていきたいと思います。


西洋医療を基軸としながらも、先進医療や代替医療を組み合わせ、動物にとっても飼い主様にとってもよりよい治療法や生活環境を一緒に考え、ご提案いたします。


せんげん台動物病院 院長


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