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政次の手紙#09

文次殿

時候もよくなった事と存じます。ますます元気で勉強している事と大いに安心致しております。ただ今、入隊しているところは昨年来、南支方面の全軍より下士官志願の秀才を集めて指導兵を教養する一種の学校だと聞く。非常なる猛訓練をやって速成の下士官をつくるところだそうな。ずいぶん難事だろう。しかし、そこを切り抜ければ段階も上がるし、多少楽になる事と思う。しかしますますその任務は重大性を生じる事は覚悟せねばなりません。最近、上田幸男君の通信の中で帰還兵の話しよりて認識致しました。幸男さんは十一月一日付けで上等兵に昇進された由。汝はいまだ三つ星にはなりませんか。芹野君、用山君の音信の中にも君が元気を知らせてあった。

内の方も皆々達者で大いに頑張って働いている。今年末は大量の注文があって忙しいが、底蓋も?竹も買い入れて打ち込みているから割合に数量は多産に出ている。新樽も一丁?八円、??十四円と二種に限定されていて値段も高く、集金注文取り等と手数もいらず。ずいぶん楽にできています。
ご存じの通りの新体制、大政翼賛で地方の組織も大変改組され、区長等廃止されて隣組、町内会、町常会等を密に入りてきました。
皇軍将兵の労苦を想い銃後国民の意気はますます上がり、国運の隆盛を祈るものであります。特に近年??の訓練を非常に猛しくやっています。君らは軍人としては一層国民の熟練を顧み、大いに奉公の練を尽くさねばなりません。おそれ多い事ながら天皇陛下の御近況をもれ伝わるに君ら軍人として我ら国民として忠ならざるを得ず。

花田君もいよいよ妻帯せられる事になりました。新屋敷(地名)の????の妹?子さんを私が世話して(仲立人として)本月三日結婚挙式のはずです。
また豊村の??さんへも本年七月頃、新屋敷(地名)の??(人名)令嬢笑子さんを私が世話致し、初めて長い間苦心致しましたが、いよいよ十二月五日??(結婚前の手続きと思われる)を持ち込みまして、一月九日結納、三月六日挙式の運びとなりました。余談ながらお知らせ致します。

慰問品や手紙が未着の由でしたがその後、何回目まで到着致しましたか。私どもの写真はでき次第に送ります。また必要の物は送りますから遠慮なくお知らせください。近頃、田中博さんの方が組合倉庫建設のために移転せられる事になりまして、私方向こうの竹置物屋敷を相談されましたから四万円で売りました。内の方を少し改築して竹入場その他を造作致しております。いまごろ、陸海軍ともに召集が行われております。慰問袋準備中に付き、そのうち送ります。
では健康第一に。ご音信を待つ。


 昭和15年12月19日 午前二時したため

本文中?は解読不明、( )は注釈

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