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小宮友根さんによる私の論文への度重なる「批判」について
非常に当惑している。小宮友根さんが、『社会学評論』288号(72‐4)の公募特集「ジェンダー研究の挑戦」において掲載された私、千田有紀の論文「フェミニズム、ジェンダー論における差異の政治-平等から多様性へ」に対して、Twitter上でずー-----っと長きにわたり、「批判」を、やめて下さらない件である。
これまで私のこの論文について、『社会学評論』の「ジェンダー研究の挑戦」に掲載されました。、小宮友根さんの『社会学評論』掲載論文の「批判」にこたえて。、「論文には論文で批判を」といったことに対して寄せられた、小宮友根、清水晶子さんらによる批判にこたえて、リツイート罪?、などの「記事」(?)で小宮友根さんによる論文への度を越えた「批判」について言及してきました。そしてSNSにおける小宮友根さんと森山至貴さんの度を越えた「根拠なき批判」について、今後は、何らかの判断を求めるかもしれない宣言。を書かせていただきました。
私も、少し覚悟を決めて、小宮さんとのやり取りをしてみました。ところが小宮友根さんのTwitter上での活動は、当惑しました。結論としては、私個人が対応できることは、もう限界にきていると感じました。対応を始めた頃は、このような感じでした。
私は千田さんに正気に戻ってもらいたいと思っています。ご自身ではお気づきでないかもしれませんが、正直トランスジェンダーに関する千田さんのご発言や文章は、情報の入手先がトランス排除のネットワークであることが透けて見える大変に危険なものばかりです。 https://t.co/mcKXXgWYH1
— KOMIYA Tomone (@frroots) July 28, 2022
研究者ならネットの人的繋がりから情報を入れるのではなく、Transgender Studies Quarterly掲載の論文を片っ端から読むとか、Transgender Studies Reader 1 & 2 を全部読むとか、学術的な蓄積の上に立とうとすることができるはずではないですか。
— KOMIYA Tomone (@frroots) July 28, 2022
学術的な蓄積から目を背け、「そっちは危険ですよ」という声には耳を塞ぎ、「そうだそうだー」と囃し立ててくれる人とだけ繋がってそうした人向けにネットで情報を仕入れ喋っていたら、数年後にはHanadaやWill御用達の文化人間違いなしですよ。千田さんにはそうなって欲しくないと心から思っています。
— KOMIYA Tomone (@frroots) July 28, 2022
「正気に戻ってもらいたい」などというのは、侮辱罪にあたるのではないか、などという指摘を多くの人から受けていましたが、小宮さんは気にされていないようでした。それどころか、「正直トランスジェンダーに関する千田さんのご発言や文章は、情報の入手先がトランス排除のネットワークであることが透けて見える」、「研究者ならネットの人的繋がりから情報を入れるのではなく」、「学術的な蓄積から目を背け、「そっちは危険ですよ」という声には耳を塞ぎ、「そうだそうだー」と囃し立ててくれる人とだけ繋がってそうした人向けにネットで情報を仕入れ喋って」いる、「数年後にはHanadaやWill御用達の文化人間違いなし」といった根拠のないことをつぶやき続けられていました。「トランス排除のネットワーク」というのがなんであるのか、私には皆目見当もつきません。そして相変わらず、私への論文に対する批判を続けられるのです。↓
「スコットランドでは妊娠出産政策から『母親』という単語を削除した」という千田さんの論文内の記述について「それ反トランスのネットワークの中で出回っているよくあるデマの類ですよ」と指摘した際も千田さんは同サイトのタイムズ記事の翻訳を「根拠」として上げてらっしゃいました。
— KOMIYA Tomone (@frroots) July 30, 2022
私の論文の注の5に、「スコットランドでは、妊娠出産政策から『母親』という単語を削除している」というこの一文をめぐって、小宮さんは「デマ」であると私の論文への批判をおやめにならないのです。私が、The Timesを根拠にあげ、その日本語訳も「小宮友根さんの『社会学評論』掲載論文の「批判」にこたえて。」のなかでリンクをあげたことは、どうも掲載サイトが、「反トランスのネットワーク」であり、記事が「デマの類」であるとおっしゃるのです。
何度も何度も何度も何度もツイートされているので、どれを選択するか悩むのですが、例えば以下。
私は千田さんが依拠されているデイリーメールやタイムズやBBCなどで言及されていると思われる文書へのリンクを実際に示し、それが政府の妊娠出産政策文書ではなく、またトランス差別的だという理由で語の置き換えがおこなわれたわけでもないと考えられることを述べています。https://t.co/yrQlBaZKze
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 8, 2022
いやこれ反トランスのデマの類ですので、検証もせずに論文に載せてたら問題でしょう。https://t.co/9lBKHCxwJr
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 8, 2022
あと別にこの注だけじゃなくてブログで言及した論点についてはどれももっと細かく追求できます。それが目的で書いたエントリじゃないからしてないですけど。でもこちらの指摘に対して根拠も示さず「まだあんなこと言ってる」みたいな揶揄をしてくるなら追求しますよ。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 8, 2022
それはそれとして、当該の文書において「トランス差別的だ」という理由で「母親という語が削除された」証拠をお願いします。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
ストーンウォールが後でどう言い訳したとしても、報道されているんですから。多数の検証を小宮さんが1人で覆すんですか?https://t.co/zq0zKsZiYc
— ぽんたcafe (@ekodayuki) August 9, 2022
そのテレグラフの記事のどこにスコットランド政府が「トランス差別的」だという理由で mother を pregnamt woman に置き換えた証拠があるんですか。まさか反トランス団体のLGBアライアンスのディレクターの語りの部分ですか。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
「トランス差別的」だという理由でスコットランド政府が文書の表現を変えたのだと千田さんが判断された根拠をお尋ねしてます。デイリーメールの記事とテレグラフの反トランス団体のコメントが根拠というわけではないのでしょう?
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
デイリーメールの記事とテレグラフの反トランス団体のコメントを根拠にしたということでいいんですか?それ反トランスのデマを流すことになってますよ。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
どう見てもトランスの人に配慮したわけではない語の変更を、デイリーメールの記事とテレグラフ反トランス団体のコメントに依拠して「トランス差別的だという理由で語が置き換えられた」という事実として挙げるのがデマの拡散じゃなくて何なんですか…。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
デイリーメールの記事とテレグラフの反トランス団体のコメントが歴史的事実というならとんでもない話ですね。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
千田さん、反トランスデマ拡散しておいて「私はトランス差別してない」とか「対話しましょう」とかいうのは通らないですよ。情報のソースにはくれぐれも気をつけてご自身で1次資料にあたって下さい。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
繰り返しますが、放送作家でジャーナリストのスティーブン・ノーラン氏が、BBCのポッドキャスト「Nolan Investigates」で情報公開法(FoI)に基づいて公開を求めました。スコットランド政府は、2013年からStonewall社の「Diversity Champions」計画に参加しており、ストーンウォールは、包括的な政策ツールキットに掲載されている用語を採用するよう促している。こうしたストーンウォールの方針のせいで、産休の概要を説明する書類から、「母親」という文字が書き換えられたのです。
これはある意味、世界を揺さぶったニュースであり、タイムスだけではなく、テレグラフもデイリーメイルも同様な記事が描かれています。しかし小宮さんによれば、
どう見てもトランスの人に配慮したわけではない語の変更を、デイリーメールの記事とテレグラフ反トランス団体のコメントに依拠して「トランス差別的だという理由で語が置き換えられた」という事実として挙げるのがデマの拡散じゃなくて何なんですか…。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
デイリーメールの記事とテレグラフの反トランス団体のコメントが歴史的事実というならとんでもない話ですね。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
繰り返しますが、このような報道に依拠した私は「デマ」を拡散したのであり、「一次資料」に当たらない研究者であり(注ひとつのために、報道のもとの資料にまで当たらないといけないとは、かなり高いハードルだと思いますが)、「私はトランス差別してない」とか「対話しましょう」とかいうのは通らないというのです。
デイリーメイルとテレグラフがダメなら、The Timesもダメですかね?これを見て皆さん、判断して欲しいんですがこのニュースがデマだ、デマの拡散って言われても困惑しませんか?(日本語訳サイトをつけておきます)。これを私に調査しろというのが、小宮さんの主張。https://t.co/5QGZKgIEsw
— ぽんたcafe (@ekodayuki) August 9, 2022
ストーンウォールの多様性チャンピオンズインデックスに応じてスコットランド政府が自分とこの産休方針の文言を(おそらく)ゲイカップル包摂的に変えたことが確認できる。これを「トランス差別的だから母親という言葉が消された」と言う根拠はなんですか、とずっと聞いてる。https://t.co/zlOuQjZOok
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
そのスレッドで言われてるようなことは全部わかって上で聞いてるんです。で、出てくるのは「デイリーメールとテレグラフがそう言ってるから」だけ。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
千田さんにトランス差別的な情報を流してほしくないからに決まってるでしょう…
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
小宮さん自身が、ご自身の「母親」という言葉が消去されたことに、トランスジェンダー差別は関係ない、という主張の根拠を出されてきました。
では、小宮さんの資料を見てみましょう。
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ストーンウォールは、「妊娠出産政策からまだ残存している「母親」というようなジェンダー化された言葉を削除し、ジェンダーニュートラルなものに置き換えろ、といってますね。詳しくは、ストーンウォールの包括的政策ツールキットを参照のことと」と。言っとるやん。
— ぽんたcafe (@ekodayuki) August 9, 2022
スコットランド政府の出産政策から「母親」という言葉が削除されたのは、LGBT+の代表的な慈善団体の働きかけによるものであることが明らかになりました。
という先のThe Timesの記事(ストーンウォールは、政府の政策から「母親」という言葉を削除させた)の中にも(小宮さんによれば翻訳が掲載されているのは、デマサイトだそうなので申し訳ないのですが)
LGBTウェブサイト「Pink News」の最高責任者であるベンジャミン・コーエン氏は、性別に関係のない用語の導入を支持しています。
「このことを心配しているのは、実際には比較的少数だが、声高な少数派だ」と彼は言います。
また、「包括的なポリシーを持つことは、家庭を持つレズビアンやゲイのカップルにとって、実はとても重要なことなのです。トランスジェンダーの男性が出産した場合、その人が自分自身を表現する方法ではないため、「母親」というレッテルを貼るのは不適切です。政策は、さまざまな状況の人々を包含するものでなければなりません」と述べています。
という具合に、ピンクニュースのCEO自身も、母親という言葉を置き換えることが「包括的ポリシー」だと述べていらっしゃいます。
デイリーメールの記事とテレグラフの反トランス団体のコメントを根拠にしたということでいいんですか?それ反トランスのデマを流すことになってますよ。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
語の置き換えの理由についてはこちらご参照。mother が pregnant woman に置き換えられた説明としてはよほど整合的です。どう見てもトランスの人に配慮した変更じゃないのわかりますよね。https://t.co/VoF0izGhdV
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 9, 2022
該当箇所を見てみたいんですが、
• Paternity leave policy – added “This policy applies to all employees and a reference to ‘partner’ or
— ぽんたcafe (@ekodayuki) August 11, 2022
‘spouse’ includes same-sex partners and spouses.”; ここは確かに小宮さんの言うとおりに、同性婚を視野に入れているとしても、
removed reference to “male and female” colleagues
— ぽんたcafe (@ekodayuki) August 11, 2022
when discussing eligibility, これが同性婚のためだけと100パーセント言い切れますかねぇ?ストーンウオールがジェンダー化されてない言葉を使えと言っているのに。
stating instead that “ Paternity leave is available to where you are the father,partner or spouse of the child’s mother (or, in the case of adoption, you are the adopter’s spouse or partner); changed ‘adoptive father’ to ‘adoptive parent’ここの父親が削除されてないんだよねぇ…。
— ぽんたcafe (@ekodayuki) August 11, 2022
つまり「母親」は削除しているのに「父親」は削除していない非対称性がある。変だよねぇ。私は、論文の注では「ストーンウォールが」とか一切言わず「母親」が削除されたことに言及し、男女非対称だって書いたから、まさにその非対称性の例じゃないのかなぁ?
— ぽんたcafe (@ekodayuki) August 11, 2022
同性婚のためだといっても、女性や男性といった従業員の性別に言及するのをやめて、さらに「母親」だけが削除され、「父親」が削除されないのは、非対称で変ですよね(本文ではその非対称性にも言及しているので、我ながらいい例なのではないか。と思いました)。小宮さん、これで納得してくださるといいのですが。頼みますよ…。
ところで、少し前のツイートに戻りますが、
「デマ」というのは、それ自体は「トランス差別的だから」という理由によっておこなわれたとみなすことが困難な事柄について、組織内の産休方針だという文脈も曖昧にして、あたかもトランス活動家が不当な言葉狩りをしているかのように描くことについての評価です。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 10, 2022
ちょとここで「デマ」の性質が変わって、私が「言葉狩り」をしたように描いたことにシフトしていますね。
注というのは本文についているものですから・・・。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 10, 2022
本文に「言葉狩り」と書かれてあるのでしょうか? 🙂
— Argenco🌹🌷 (@Argenco2) August 10, 2022
「かのように」です。
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 10, 2022
「言葉狩り」と小宮さんは言いますが、「母親」という言葉がトランスジェンダー差別とされてきたのは端的に事実ですよね?
— ぽんたcafe (@ekodayuki) August 10, 2022
小宮さん自身が「言葉狩り」だという判断を持ってらっしゃるんではないでしょうか。
私は政治的に正しい表現が変遷したことを、ただ単に叙述しただけで、中立を心がけました。 https://t.co/YH4mSYsku2
非難してるのは、そこにジェンダーの非対称性があることであって、小宮さんのいうように、トランス活動家の不当な言葉狩りの非難という描き方をしていますかね?(私の個人的な意見はさておき)。 https://t.co/hUQYJJY3ZZ
— ぽんたcafe (@ekodayuki) August 10, 2022
残念ながら「中立」には読めないですし、そのことについてさらに細かく説明してもよいですが、千田さんはご納得されないでしょうし、後は読者にまかせてはどうですか。 https://t.co/sRUwbsvBWY
— KOMIYA Tomone (@frroots) August 10, 2022
ずっと小宮さんには私の論文の批判を続けられてきたのに、突然、「読者に任せたら」といわれて面喰いました。でもまたその後も、小宮さんの批判は続いています。
『社会学評論』が公開されてから4か月、ずっと小宮さんに批判を続けられていますが、もうそろそろ本当にやめにしていただけると助かります。最初は根拠なき「差別」だったのですが、今度は「デマ」。正直言って、疲労困憊しています。
私の注の1行にずっとこだわり続けることで、学問が進展するとは思いませんし、小宮さんの目的が私の論文の信用を落とすことに見えてしまい、当然苛立ちます。もしもBBCの検証報道が間違いなら、小宮さんが英語で書かれれば大ニュースと思います。不毛な批判ではなく、お互い学問にいそしみたいと私は願っています。