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UXリサーチをどうやってビジネス成果につなげるか?に悩んでる

ユーザーが困っているのは分かったけれど、ちゃんと売上につながるの??というフレーズを耳にすることがあります。

現在、UXリサーチの重要性が高まる中で、UXリサーチをどのようにしてビジネスの成果に結びつけるか?が度々話題にあがるように感じます。

そしてその壁に絶賛ぶちあたり中の、noteでUXリサーチャーをしている仙田です。

  • なぜビジネス成果を意識して悩んでいるのか

  • 今ビジネス成果に繋げるためにどんな工夫をしているのか

について、2024年2月に開催された「リサーチャー交流会2024」で発表した内容をベースに、個人的な悩みと実践について書いてみます。


UX職にはビジネス視点が足りない?

度々SNSで「デザイナーやUXリサーチャーも、ビジネスを広く捉える視点が必要ではないか?」という投稿が話題になっています。

先日、以下の記事が界隈で話題になりました。

以下、超雑訳です。

・UX職の人は顧客体験が重要だと主張するばかりで、ビジネス的な視点が欠けていることもあるのではないか
・時にはユーザーの体験を一時的に損なってもで、大きな視点ではビジネス上の利益をもたらすこともあるはず
・海外ではUX職の求人が減っているデータもあるが、UX職が顧客体験のみにフォーカスしており、事業に貢献していないことがその要因の一つなのではないか

さらに海外の状況を見てみると、UXデザインが幻滅期に入ったとされる記事もあります。

欧米ではUX職の需要がピークを過ぎ、多くの企業がリソースを他の分野にシフトしているという報告があります。

自分が辿った(noteでの)UXリサーチの変遷

僕も例に漏れず、「リサーチャーとして事業やビジネスの理解が足りない!と強く感じています
なぜそう思うに至ったのか、自分がUXリサーチを始めた経緯から少しお話させてください。

【リサーチチーム立ち上げ】(2021年)

僕がnoteに新卒入社してから約1年後、リサーチチームを立ち上げました。

当時社員は100名程度で、定常的なUXリサーチをする仕組みは整っていませんでした。
兼業でリサーチ活動を開始し、専任のUXリサーチャーとなりました。

noteのUXリサーチチームが立ち上げ当初苦労したこと より

チーム立ち上げ初期のお話はこちらのnoteに詳しく書いています。

【リサーチ浸透頑張り期】(2021年〜2022年)

2021年から2022年にかけては、リサーチの社内浸透に力を入れました。

ユーザーインタビューやユーザビリティテストを中心に、コア機能の体験を磨き、新機能のコンセプト調査を行いました。

当時リモート新卒入社だった自分が「リサーチをやっている仙田ってヤツがいるらしい」とみんなに認識してもらうところからスタート。

そのためにも「とにかく数を撃つ」「ユーザーの声を社内に届ける」ことにフォーカスしていました。

Youtubeライブ配信を全社チャンネルで告知。ワンクリックでインタビューを覗けるようにしたり。

浸透期のお話は以下のnoteに詳しく書いています。

そしてnoteは「クリエイターファースト」を掲げる会社。
もちろん数字も見つつですが、「クリエイターが困っている!」と分かれば開発や施策に繋がりやすく、リサーチ起因の施策が実装されやすかったです。

同時に社内整備を進め、リサーチナレッジのドキュメント化やnoteでの発信の他、PdMやデザイナーにリサーチ指南したり、ポータル作成などを進めていました。

その甲斐あってか、この時期は、PdMやデザイナーからのリサーチ依頼が頻繁に舞い込んできました。

【リサーチ事業につなげる期】(2022年末〜)

2022年末、note株式会社が上場しました🎉

上場しても、クリエイターファーストで事業を前に進めることに変わりはありません。
しかし、同時に足元でしっかり売り上げを立てられる組織になることが求められました

それはUXリサーチにおいても同じこと。

UXリサーチを起点にした施策がどう数値的な成果に結びつくのか、どんなアクションにつながるのか。しっかりと説明できる必要がでてきました。

しかし、僕はこれまで「こんなインサイトがあるからこの機能を実装すべきだ!」としか言えてなかったので、その機能がどのように数値的な成果に繋げるのかうまく説明ができませんでした。

このような変化もあり、社内からリサーチ依頼がぐっと減ってしまいました

今まで以上に、ただ待っているだけでは仕事が生まれない状況です。
リサーチから施策の提案をした時に、その施策がいかに数的な成果につながるか示さないと、前に進めるすることが難しくなりました。

その結果、冒頭の「リサーチャーとして事業やビジネスの理解が足りない!」という状況に陥ったのです。

数字の成果に繋げるための工夫

このような背景から、今は定量的な評価指標の一つに「リサーチによって生まれたアクションの数」を置いています。
ただ「へ〜」で終わらないためのリサーチを意識して活動しています

そのためにしている工夫をつらつらと書いてみます。

【PdMへのリサーチ】
PdMや事業開発メンバーに、今抱えている課題や今後取り組む予定の施策、ミッションを丁寧にヒアリング。
プロジェクトが始まってからリサーチをしていては、意思決定に間に合いません。なので先んじて準備ができるようにヒアリングをしていました。

PdMや事業開発のメンバーへのヒアリングをまとめたドキュメント

PdMが今やっていること、1〜2ヶ月後に着手しようと考えていることを聞きいたあと、こちらでリサーチを企画しを、結果が活用できそうか再度ヒアリングに行く、の繰り返し。

【事業計画からリサーチ起案をする】
今期/来季の事業ロードマップをみて、会社として注力しそうな施策を探す。
この施策ならこんな課題がありそう(仮説)だから、こんなリサーチできるかもな?と想像します。
そして実際にリサーチ企画書を作り、関係者に「こんな調査やりたいんですけど活用できそうですか!?」と提案しにいくの繰り返し。

【施策のインパクト試算】
ただ「ユーザーが求めてるから、この施策をやったらいいと思う!」では施策を進められません。事業につながる必要があるか以下のような情報を集めています

  • 定性調査から生まれた仮説の裏付けとなる定量データ

  • 法的リスクの確認

  • 他社成功事例の補足

それらを盛り込むとこんな感じ。

「このリサーチ結果からこんなインサイトが得られました。実際にx%のユーザーがこんな行動をしています。なのでこんな機能を開発すべきだと思います。他社でもこのような成果が生まれています。この機能を利用するユーザーは全体のx%で、見込みで事業KPIのxxにxx%ヒットする可能性があります。ロジックはxxです。また開発するのはxxチームで、開発日数はxday/人ほどだそうです」

今後の方針

ユーザーインサイトを元に施策、戦略を立てることができるのはUXリサーチの強みであり、自分の仕事だと考えています。
そこは忘れずにしっかり立ち戻る。

しかし、それだけでは前に進めることが難しいのも事実。

そこで短期的なアクションに繋がりやすいユーザビリティテストや堅実に成果を積みつつ、中長期的目線の探索調査を提案し続けていくつもりです。
そして、そのために事業構造や意思決定プロセスへの理解度を深め続ける!が今自分が考えている計画です。

今後、リサーチでユーザーの課題を解決し、事業にも貢献するためにはどうすればいいのか?試行錯誤を続けていきます。


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