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【青天の霹靂事件簿・第二章】リハビリ病院から「老健」へ入所しました
前回【次なる行き先の「老健」探し真っ最中】という記事を書きましたが、あれからいくつか「老健」を見学しに行き、母は先日リハビリ病院から「老健」へ入所しました。
普通は「家族面談」という名の見学に家族が訪れた後、本人との面談を経て、一か月くらい待ってベッドに空きが出てから入所するというのが一般的な流れだそうです。
母の場合は最終的に入所した「老健」が、本人の面談をしに病院に来てくれてから「家族面談」という”逆パターン”だったためか、話がトントン拍子に進んでしまったという感じでした。
母にしてみれば、あっという間に退院という流れになってしまったのがショックだったようでした。主治医の先生、理学療法士・作業療法士の方々、看護師さん…。皆さんに本当によくしていただいたこともあり、最後の病院での面談でも「寂しい寂しい」と涙ぐまれてしまい、私としても複雑な想いでした。
でも期限の3か月が半月早まっただけなので、そこは納得してもらうしかありませんでした。退院の朝、看護師さんたちが大勢見送りをしてくれました。「老健」行きの介護タクシーの方が「こんな風に見送りしてもらえるのは珍しいパターンだと思いますよ」とおっしゃってくださった言葉に、私自身も少し救われました。
実は4つ「老健」へ見学しに行った、その一番最後が今回入所した「老健」でした。それまでに3つ見ていましたがどこも一長一短で、このまま決め手がなければ別な候補を出してもらわないと…という不安も抱えながらの日々でした。
それにしても実際に見学に行ってみないと、ホームページの情報だけではまったく分からない″肌感覚″というか、そういうものが確かにありました。
★「老健A」
最寄り駅からも歩けるのは便利でした。建物は古くて、こんなものなのか…と感じました。受付で面談の予約を伝え、部屋ではなく入口すぐ横にあるテーブルとイスに通されました。そこから女性の相談員の方が一方的に話をして、私たちはほぼ聞くだけの状況が続きました。
一番印象に残ったのは、何か身体的な異常が起きたときに近くの病院に運ぶ話、その際の付き添いのお願いやかかる費用の話でした。これについては何度も何度も繰り返し言われ、母は確かに足は不自由になってしまったけれど他は至って元気なので、少し複雑な思いで聞いていました。
予約の際、所要時間1時間半と言われていたので当然施設内の見学をさせてもらえると思っていました。ところが見学はできず、1時間半ほぼ説明だけされて面談は終わりました。
★「老健B」
電車ではアクセスが難しく、バスで行きました。大きな病院の敷地内にあるので、建物はかなり立派でした。男性の相談員の方は電話で予約したときから冷たくそっけない態度でしたが、実際にお会いしてもそんな感じでした。
別室に通されて、一通り簡単な説明をされました。4人部屋の空き状況は厳しいかもしれないので、その際は個室にしばらくいて(個室は月々36万円~37万円の費用がかかります)それから4人部屋に移ってはどうかと提案されました。かかる費用が3倍ほどなので、簡単に個室にと言われても…と少々困惑しました。
こちらは部屋などの見学はできましたが、以前読んだ介護の本に書いてあった「見学時に要確認!こんな施設に要注意」という内容が当てはまりまして…。たまたま共用のトイレのドアが開いていたんですが、トイレが非常に臭かったんです。相談員の方は慌ててトイレのドアを閉めましたが、衛生的ではないのかな?という不安を抱きました。
数日後からの電話攻撃がすごかったです。同じ方とは思えないほどの高い声のトーンで、留守電に「判定会議もOKで、4人部屋もすぐにでも大丈夫です」と…。
★「老健C」
最寄り駅からの徒歩時間がある程度かかり、バスだと徒歩1分だったのでバスで行きました。大きな建物で、非常にキレイでした。入る際には靴を脱いでスリッパに履き替え、検温&手洗いもしました。ここら辺徹底しているのは安心材料でした。相談員の方は制服を着ていて、非常にしっかりした施設という印象でした。
こちらはホームページではまったく情報が分からずでしたが、運営母体が日本全国で介護施設を経営されているようで、パンフレットは立派でした。必要な説明事項も書面にすべて簡潔にまとまっていて、まったくムダのない完璧さ。ただ面会が月に1~2回、1回15分程度というのがひっかかりました。
★「老健D」
最寄り駅からの徒歩だとかなり時間がかかり、バスだと徒歩3分だったのでバスで行きました。建物自体は古い感じではありますが、中はキレイでした。入る際には靴を脱いでスリッパに履き替え、検温&手洗い&うがいも徹底していました。
エレベーターで別室に通され、説明を受けました。部屋の見学はできませんでしたが、施設内の様子や一日の過ごし方が分かるように写真付きのファイルが一冊にまとまっていて、非常にイメージしやすかったです。相談員の方からも母のことをいろいろ質問されて、入所者のことを詳しく知りたいという気持ちが感じられました。
面会もちょうど緩和されたタイミングで、毎週面会に行こうと思えば行けるようで、1回30分というのも大きなポイントでした。
4つの施設とも夫も一緒に「家族面談」に行ってくれましたが、二人とも「ここだね!」というのが最後に行った「老健D」でした。
面談の日に入所日の相談までするとは微塵も思っていなかったんですが、今ならベッドが空いているけれど、翌月になると分からないと言われました。
こういうのはタイミングのようですし、これは”縁”かもしれないと直感的に感じたので入所日候補についても決めてきました。
何より相談員の方の人柄が大きかったです。他の施設ではビジネスライクというか、人間味があまり感じられない相談員の方ばかりでした。でもこちらの相談員の方は、今年母に起きた一連の出来事をすべて話したら「私だったら気持ちが凹んでしまっていたでしょう。それは本当に辛かったでしょうね」と言ってくれました。
何気ないひと言ですが、“自分の言葉“でこういうことを言ってもらえるのは信頼できる気がしたんですよね。母の面談に行ってくださったケアマネジャーの方も、とても感じの良い方でした。こちらの職員の方たちは、きっと熱心な方が多いと感じられました。
あと大きな決め手としては「スマホ持ち込みOK」でした。入所した「老健」だけが4人部屋でも「スマホ持ち込みOK」で、他の施設はNGでした。2人部屋や個室ではOKというところもありましたが…。
トラブルの原因になるというのが理由らしいんですが、母とはほぼ毎日LINEでやり取りしていて、持ってきてほしい物などを連絡してもらう手段もLINEでした。なので「スマホ持ち込みNG」は厳しいかなぁと思っていました。
「老健C」は「スマホ持ち込みNG」と面会の件以外は非常に魅力的な施設でしたが、それこそ入所させたらそれっきりすべてお任せみたいになってしまう感じがして、そこが気になりました。
入所してから母に面会に行きましたが、一日に何度もやっていたリハビリ時間も短くなり、全体的に元気になった印象でした。心に少し余裕ができたんでしょうか。
毎日”おやつ”が出るそうで、それも喜んでいる様子でした。面会時間が30分あると、いろいろ話ができますね。15分だと、少し話してあっという間に終わってしまう感じなので。
元々は社交的な母ではあるので、気の合う人でもできるといいんですが…。
当面はこちらにお世話になり、その先のことはまた考えていかなければなりません。先日、介護保険の更新の手続きにも行ってきました。なんだかんだと次々やることがあって、今年は落ち着く暇がありません。
(母の2024年)
S病院(大腿骨頸部骨折で手術&入院)→某リハビリテーション病院→3週間弱自宅→2泊だけ某病院入院→再びS病院(脊椎圧迫骨折で手術&入院)→某病院(リハビリテーション科入院)→某老健入所
何回“プチ引っ越し“したか…という感じで、こう書き並べてみると母にとってはまさに壮絶な1年でした。愚痴も言わずに、よく耐えてきてくれたと思います。
来年はあと一つ大事な大事な決断が待っているので、これから先の残された母の人生が充実した楽しいものになるよう、しっかり考えていきたいと思っています。